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2010年5月18日(火)

機動力を武器に自由なゲーム作りを! ウィッチクラフトの金子彰史さんに迫る

文:電撃オンライン

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――自分たちで制作したゲームはプレイしますか?

 もちろん遊びます! 自分たちで体験すると、原因を把握した上で、なぜそうなっているかを理解できるんです。たとえば「このシーンは、制作している時にあんなことがあったから、こうなってしまったのか!」というふうに。それをふまえて「次の時は、こうならないようにしよう!」というエネルギーを手にするために、体験しますね。

 作り終えた後に遊んでいると反省点が挙がり、反省会のような形になるんですよ。でもそれをまとめると、仕様が固まり次の指針が決まる。なので、作ったタイトルを遊んで、話し合うことは大事だと思っています。

――個人的な感覚ですが、『ワイルドアームズ』シリーズは次の作品が出るたびに進化・変化を感じられたのですが、それはやはり“次への反省会”をしているからなのでしょうか?

 それはよくも悪くも……ですね。不出来な部分を次回作ではなんとかしようとプラスに働いているところは間違いなくあります。

 ところが、自分はヘソ曲がりな部分があるので、いいと言われたところも次ではあえて変えていたりもします。それを考えると、よくもあり、悪くもありですね(笑)。収まるべきところに収まるのを怖いと思う自分がいます。

――4月に会社を移転することになったのはなぜですか?

 スタッフが増えたために、前のオフィスでは入りきれなくなってしまったことが第一の理由です。『リリカルなのはA’s PORTABLE』以降の開発タイトルは規模が大きくなり、また取り扱っているタイトル数も増えてきたため、“ウィッチクラフト巨大化計画”を発動し、移転に踏み切りました。……とはいっても、最寄の駅は変わらず山手線の大塚駅となっています。より駅近で、立地条件のいいところに越してきました。

 今回のオフィス移転にともなって、金子の行きつけのうどん屋から遠く離れてしまったのですが、これからもうちのスタッフが、バカバカしいことを大真面目に取り組めるよう、執務環境の改善も兼ねて今のオフィスを選びました。

――少し前から求人を行っているようですが、クリエイターになりたい人、ウィッチクラフトに入りたい人に望むことはなんでしょう?

 弊社への入社を希望される方には、まず最大限の感謝をいたします。とはいえ、企業への就職というのは一大事に違いありません。ですので入社ということであれば、ここはお互いの幸せのためにも、感謝の念とは別に、客観的にいろいろと線引きをさせてもらいます。

 まず、プログラマー、デザイナー、プランナー、すべての職種に共通して言えることですが、まずは自分を上手に売り込んでください。「自分のできること」と「自分のやりたいこと」。この2つを的確にアピールできて初めて、選考するこちらは正しく判断できるようになります。

 その上で求めるのは責任感です。弊社は自由な社風を旨としているので、だからこそ個人に強い責任感を要求しています。ごちゃごちゃと小うるさいルールで縛るのではなく、スタッフ1人1人の意識に決まりごとの大半を委ねていますので、モラルは高く、それでいて寛容なタイプを求めています。

――責任感以外に、「こんな人だとなおいい」という願望はありますか?

 超々個人的な要望になるのですが(笑)、いい意味でフランクな人間が望ましいです。もっと具体的に言うならば、金子をあまり社長扱いしないような人! 自分は、社長になりたくて会社を作ったのではなく、いつまでも現場で遊びたいから会社を作りました。だから、飲みに行ったら上座に俺を持っていこうとするとか、率先してコップにビールを注ぐとか、そういうところで金子を社長扱いしないような、同僚感覚で付き合えるようなフランクな人間が俺好みだったりします。とはいえ、無礼と不躾(ぶしつけ)はまた別の話。上手に使い分けてほしいところです。

――職種としてはどんな人を欲しているのでしょうか?

 この業界、プログラマーはいつの時代も不足しています。あとは『リリカルなのはA’s PORTABLE』の発売以降に顕著になったのですが、デザイナーの中でもキャラクター志望の方が増えてきました。あまりにも大勢がキャラクターを志望されるので印象がかぶってしまいますし、競争過多ですごい倍率になっています。たとえば今のタイミングに限ってだと、メカだったり風景だったりでアピールしてきた方が目立つと思います。

 弊社の公式サイトで求人をはじめて1カ月になるのですが、新たな戦力は引き続き大募集中です。というのもこの春以降、お仕事のお話をいただき続けている状況ですし、それを見越した上でまだまだ増員できる広さのオフィスに越してきていますので。会社の巨大化という“お祭り”に参加してくれる元気のいいスタッフと一緒に仕事したいと考えています。

 もうひとつ付け加えると、開発職だけではなく事務や受付を担当してくれる方も募集しています。今までは自分も含めて開発スタッフが不慣れながらも電話応対などをしていたのですが、取り扱う案件も増えてきましたのでそれもままなりません。だらしない金子を支えてくれる、普通にちゃんとしてる人に来ていただけると助かります。

 他にも、金子の仕事を手伝ってくれたり、または別のラインを仕切ってくれたりする、ディレクターなんかも必要としているのですが、ここで自分がうだうだとしゃべるよりも、興味のある方は弊社サイトをご覧になっていただくのが間違いないかもしれません。ご応募をお待ちしています。

――会社が動き出して3年目を迎えました。今後の展望は?

 悲しいかな、ウィッチクラフトはしがないデベロッパーです。ですので発表前のタイトルに関しては、あまり景気のいいお話はなかなかできないのが実情です。ただ、タイトルに関しては、あいかわらず動いています。これは、パブリッシャーさんとの問題にもなってくるので、うちが頑張ってできることではないんですが、発表できるタイミングをお待ちください。

 とはいえ、弊社の方針としましては、これからも変わらず“いろいろなこと”にチャレンジしていきたいと思っています。ここで言う“いろいろなこと”とは、これまでやってきていないようなことばかりではありません。“これまでやってきたこと”も含んだ上での“いろいろなこと”です。おもしろそうなことに対して積極果敢に踏み込める機動力こそが、ウィッチクラフトの本領です。イメージに捕らわれない、または下手にイメージを固定しないようにやっていきたいと思っています。

――これから挑戦してみたいことはありますか?

 今までやったことないものは、ぜひトライしていきたいですね。それがゲームでないとしても、おもしろそうなことであれば、ぜひとも。なんでも。

 アテのない遠い目標になってしまいますが、やはり、いつかパブリッシャーというのは1つの目指すべきところです。自分の息子や娘といえる作品には、最後までかかわりを持っていたいというのが親心ともいえる、開発者の本音です。だからいつの日にか、たとえ作品の規模は小さいとしても、自分たちの作ったものに対して「自分たちの作品です」と言えるようにはしていきたいです。

――会社ではなく、金子さん自身としては?

 もう少しマシな社長になりたいです。おそらくは日本で一番、社員に盛り立てられている社長ですので、最低限、手前ェの2本足で立てるようにはなりたいところですが……(笑)。逆に言うと、ちゃんとしてしまった時点で金子らしくない気がします。だから、このままでもいいのかもしれません。奥深いです、社長業。だから今も、こうして毎日を楽しくやらせてもらっています。

――今後も期待しています。ありがとうございました。

金子彰史さんインタビュー
▲長時間のインタビューに応じてくれた金子さんが手掛けた作品の一部。次はどんな作品が飛び出すのか、注目しておきたい。

(C)2009-2010 WITCHCRAFT All Rights Reserved.
(C)なのはA’s PROJECT
(C)2010 NBGI
(C)2009 WITCHCRAFT (C)2009 D3 PUBLISHER
(C)Sony Computer Entertainment Inc.
(C)2007 Sony Computer Entertainment Inc.
(C)2006 Sony Computer Entertainment Inc.
(C)2005 Sony Computer Entertainment Inc.
(C)1996 Sony Computer Entertainment Inc.
”WILD ARMS”and ”ワイルドアームズ” are registered trademarks of Sony Computer Entertainment Inc.

データ

▼『魔法少女リリカルなのはA’s PORTABLE -THE BATTLE OF ACES-』
■メーカー:バンダイナムコゲームス
■対応機種:PSP
■ジャンル:ACT
■発売日:2010年1月21日
■価格:通常版 5,229円(税込)/リリカルBOX 13,629円(税込)
※開発:ウィッチクラフト、ディレクター:金子彰史
 
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▼『暗闇の果てで君を待つ』
■メーカー:ディースリー・パブリッシャー
■対応機種:DS
■ジャンル:AVG
■発売日:2009年10月22日
■価格:通常版 5,460円(税込)/限定版 7,560円(税込)
 
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■『暗闇の果てで君を待つ』限定版の購入はこちら
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▼『SIMPLE DSシリーズ Vol.48 THE 裁判員~1つの真実、6つの答え~』
■メーカー:ディースリー・パブリッシャー
■対応機種:DS
■ジャンル:AVG
■発売日:2009年5月21日
■価格:2,800円(税込)
 
■『SIMPLE DSシリーズ Vol.48 THE 裁判員~1つの真実、6つの答え~』の購入はこちら
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