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2010年6月18日(金)

PCのSLGメーカー・Paradox Interactiveは『Victoria II』など新作6タイトルを出展

文:電撃オンライン

 Paradox Interactiveは、E3の商談用ブースで、PC用SLG『Victoria II』『Commander Conquest of the Americas』など6タイトルをプレイアブル出展していた。ここではそのうち4作品を紹介する。

●『Victoria II』

Paradox Interactive
▲Paradox InteractiveのJohan Andersson氏。新作についてこんなに熱く説明してくれる人はめったにいない、というぐらい熱い語ってくれた。

 1836年から第2次世界大戦までの期間に、国家ランキングトップ8に食い込むことが最終目的のリアルタイムストラテジー。Paradox Interactive作品の特徴は、地図上に存在するほぼすべての国家を選択可能なことで、今回も例にもれずプレイヤーは200以上の国から1つを選んでゲームを開始することができる。

 ドイツやフランス、イギリスなどの列強がひしめく中で、内政を整え、他国の征服や植民地化を進め、史実に基づくミッションに対応していかねばならない。国家ランキングは軍事、文化、工業の3つのカテゴリでポイントが付与される。

 前作からの改良点は、経済システムがより自然になりお金の流れにリアリティがあること。政治改革の要素が増えた点などだ。細かいところではUIやグラフィック、マルチ対戦機能が向上している。

 『VictoriaII』の解説をしてくれたのは、同社のリードゲームプログラマーであるJohan Andersson氏。パラドックスの魅力は? とたずねると「うーん、地図を見てるのが好きなタイプの人にはたまらないゲームかな」とのことであった。北米での発売は8月を予定している。

Paradox Interactive Paradox Interactive Paradox Interactive
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●『Commander Conquest of the Americas』

 本作は貿易ゲームとストラテジーの両方の要素をあわせ持つタイトルで、日本でもサイバーフロントから発売された『East India Company』をベースにしており、開発元はNitro Games。そのためインターフェースはかなり似た作りだ。ゲームは1532年からスタートし、プレイヤーはヨーロッパ7カ国から出身国を選択。国家の繁栄と名誉のために、新大陸すなわちアメリカの植民地化を目指して貿易や政治的取引に励む。

 『East India Company』との最大の違いは、4人のアドバイザーの存在だ。アドバイザーにはそれぞれ軍事や経済といった専門分野があり、その専門にもとづいたアドバイスを出してくる。プレイヤーがこのアドバイスを聞くかどうかは任意だが、あまりに無視しているとアドバイザーは怒り出す。4人が全員怒ってしまうとゲームオーバーなので自分のプレイ方針とバランスを見つつ、こなす必要がある。

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●『Lionheart: King’s Crusade』

 十字軍とサラセン軍の戦いがテーマの本作は、Paradox Interactiveの自社タイトルではなく、開発元はハンガリーのNeocoredGamesだ。舞台は12世紀、第3回十字軍に参加し獅子心王と呼ばれたリチャード1世がタイトルになっている。

 プレイヤーはサラセンか十字軍かどちらかを選び、キャンペーンを進行させていく。十字軍側でプレイする時の目的は、中東全域の征服。サラセン側の場合は十字軍との戦闘に勝利し、撤退させることだ。シナリオミッションはそれぞれ16ずつ、合計32個を用意し、これにシナリオバトル、1対1のマルチプレイも可能。

 軍事ユニットには専用スキルを習得させたり、装備をアップグレードして強化したりといったカスタマイズ要素が用意されている。またNeocoredGamesのZOLTAN VARGA氏は、3Dで描かれるユニットを指して「騎馬ユニットの表現のために、本物の馬にモーションキャプチャーをつけたんだよ。実に楽しい作業だった」とお茶目な発言をしていた。

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●『Ship Simulator Extremes』

 小型ボートから沿岸警備隊まで、ありとあらゆる船の独特な操縦が味わえる『Ship Simulator Extremes』。フライトシムに次ぐマニアなジャンルと思われるだろうが、実は『Ship Simulator 2006』や『Ship Simulator GoldEdition』など、シリーズ累計で45万本を販売。国内でも日本語マニュアル付き版が、オーバーランドより販売されていた。

 最新作でもホバークラフト、タンカー、タグボート、巡洋艦までよりどりみどり。さらに極寒の南極から、暖かなポリネシア諸島のボラボラまで、世界の海を体感できる。さらに今回はあの環境保護団体“グリーンピース”の正式な許可を得て、グリーンピースが使っている船もラインナップに含まれている。

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 いずれの作品も、ヨーロッパおよび北米での発売は決まっているが、日本では未定。ただ、いくつかのタイトルについては、すでにサイバーフロントと交渉に入っているとのこと。Paradox Interactiveは、日本では一部のコアゲーマーを除けばあまり知名度はないが、非常に良質なストラテジー&シミュレーション作品を作っているメーカーだ。

 PR担当のShams Jorjani氏に、北米におけるPCパッケージゲームの市場について質問してみたところ、貿易ゲームには一定の需要があるし、ストラテジー作品の市場は決して大きくはないが、縮小もしていない。むしろわずかずつとは言え、成長しているとのこと。

 また『VictoriaII』のような作品は、忙しい社会人を引退した60代のプレイヤーがじっくり取り組むのに向いており、また史実をベースに“もしもの世界”を楽しむ大人のためのゲーム。今の20代、30代は興味がなくても、彼らが50歳を過ぎた時にきっと興味を持ち購買層になってくれる。ゆえに我々に必要なのは市場規模に合わせて、決して予算の見積もりを間違えないこと。そこさえ間違えなければビジネスとしてはきちんと成り立つジャンルである、と述べていた。

(C) Copyright Paradox Interactive AB

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