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2010年8月6日(金)

【電撃攻略本・座談会】ゲーム攻略本の過去・現在・未来Vol.1-2

文:電撃オンライン

『電撃ゲームス』

 7月29日発売の『電撃ゲームス Vol.11』(アスキー・メディアワークス刊)に掲載されている座談会を、電撃オンラインで3回に分けてお届け。ゲーム攻略本について、電撃の攻略本制作に携わったメンバーがアツく語る!

【座談会 参加者紹介】

電撃攻略本編集部/デスク
多田羅洋平
攻略本編集部の心臓とも呼べる、神経質なイケメン。『MH3(トライ)』をはじめ、大作の攻略本を数多く担当し、現在は『電撃ゲームス』も手伝っている。

電撃攻略本編集部
木原大輔
攻略本編集部の現場編集者として、近年エース格に成長しつつある男。最近では『ニーア』の完全攻略+設定資料集や『ゼノブレイド』の攻略本を担当。

元・電撃攻略本編集部/副編集長
野村一真
現『電撃ゲームス』副編集長で本記事の執筆も担当。過去に攻略本編集部で『MHP 2nd』『MHP 2nd G』『サカつく3』『SO3』などの攻略本を手掛ける。

元・電撃攻略本編集部/編集長
倉西誠一
過去に『電撃PlayStation』や電撃攻略本編集部の編集長を務め、現在は『電撃ゲームス』を手伝ってくれている偉い人。狩られ道さんとも呼ばれるブロガー。


Vol.1-1の続き)

野村 ええ。でも、その前にもう1段階あって、これが最も大切なんですが、“その攻略本が世の中に求められているのか”というのがあるじゃないですか。そのゲームに攻略要素はあるのかとか、そもそも、おもしろいゲームなのかとか。

倉西 そのうえで“装着率”が関係するわけだね。

多田羅 でしたら、まずは装着率の説明を。装着率というのは、ソフトの実売本数に対して、その攻略本が何部売れるのかを表す比率のことです。

野村 私が攻略本編集部に所属していたころで考えると、RPGやS・RPG、SLGなら大体30%ぐらいで、ACTは10%前後だったと記憶している。

多田羅 これらの値は、過去の攻略本の実績データから算出します。同ジャンルの同系統のゲームの攻略本データを何冊もたどっていくと、ソフトの実売本数に対して、大体どのぐらいの割合のユーザーが攻略本を買ってくれるのかを予測できます。

野村 装着率はジャンルで見るのが基本だけど、ソフトの内容によるところも大きいよね。メジャータイトルのシリーズものだったりすると、内容が継続路線で安定していることが多いから、装着率も安定する傾向にある。だけど、そうじゃないタイトルのときがポイント。ゲームを見る目が重要になる。

木原 我々の編集部でいうテイスティングというシステムですね。私もかなり担当しました。ゲームをひたすらプレイして、まずは根本的におもしろいかどうかを判断する。次に攻略要素があるのか、それが果たして読者が求めているレベルのものなのか、そういったことを見極める。その結果、許諾をもらうこと自体、やめたものも結構ありますよね。

多田羅 テイスティングのために、編集部でヒマそうにしているライターさんを捕まえて、ちょっとお小遣いを渡してプレイしてもらうとか(笑)。

倉西 そのお小遣いを渡してっていうのが、ゲーム雑誌では普通ありえないよね。記事を作るためにゲームをプレイするのがライターの仕事なのに、攻略本の場合、テイスティングのように、記事を作るためじゃないケースがある。攻略本を出す価値があるかどうかを判断するために、お金を渡してゲームをやってもらう。う~ん、攻略本は特殊だな(笑)。

多田羅 特殊技術への対価って感じですね。その人には、ゲームを的確に判断する目が求められるんで。意外なタイトルがすごくおもしろくて、さらに攻略本の必要度が非常に高いという場合には、驚くべき装着率を見せることもあります。

野村 そういえば、最近の装着率ってどう?

多田羅 昔はある程度ジャンルで判断できたんですけど、昨今は本当にタイトルごとって感じで、ジャンルが同じでも、かなり差がある印象です。

倉西 パターン分けがしづらくなっているよね。

多田羅 RPGやS・RPGが全盛だったころは、ある程度パターン化ができていたんですが、今は正直、ジャンルはあまり参考にならない。

倉西 統計的に判断しづらくなっているよね。ざっくり言うとさ、昔はゲームという1つのくくりしかなかったし、ユーザーも圧倒的に10代の男子だった。それが、ゲームが一般化するにつれ、ジャンルが同じゲームでも、RPG的だったり、ACT的だったりと区分けされてきて、ユーザーもそれぞれで分かれてきた。で、今となっては、もうジャンルですらない。タイトルごとでユーザーが分かれている。だから、統計が本当にとりづらい。

多田羅 まさに、それを感じます。

野村 ジャンルというくくり自体が相当曖昧になってきてるじゃないですか。『電撃ゲームス』の副編集長が言うのもなんですが、ゲーム雑誌のジャンル分けって、もう、おかしいんじゃないかと(笑)。

倉西 ああ、あれね。『ラブプラス+』なんてETC(コミュニケーション)だし。

多田羅 もう、わけがわからないですね(笑)。

倉西 RPGとかSTGとか、あのアルファベット表記は、今だからこそやめたほうがいいな。

野村 ちょっと話を戻して、攻略本の装着率に関してですが、ソフトに対するユーザーの好みが細分化されてきたことにより、1作品あたりのソフトの売れ行きが落ちているとも思います。ソフト自体の本数が下がっているから、攻略本自体が売れなくなっている印象を受けるけど、それって装着率という点では実は関係ないのでは? という気がしている。

多田羅 結局、タイトルによりけりですね。

野村 う~ん、そうなんだ……。やっぱり具体的なデータは出せないわけだね。

(8月7日掲載 Vol.1-3へ続く)

『電撃ゲームス』攻略本アンケート

 電撃ゲームスでは、ゲームの攻略本に関するアンケートを募集しています。アンケートにお答えいただいた方には、抽選で“『電撃ゲームス』編集部のお宝グッズ詰め合わせ”をプレゼントいたします。なお、アンケート結果は、『電撃ゲームス』の“ゲーム攻略本の過去・現在・未来”という連載コーナーで、議題として取り上げさせていただきます。


電撃ゲームス

この記事が掲載されている『電撃ゲームス Vol.11』は、全国の書店で定価650円(税込)で好評発売中です。


データ

▼『電撃ゲームス Vol.11』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2010年7月29日
■価格:650円(税込)
 
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