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2010年9月22日(水)

その怖さ、まさに販売中止級! DS『閉ざされた病棟』に怖がりライターが挑みます

文:電撃オンライン

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■常にまとわりつく“裏世界”の恐怖

 本作を特徴づけているもう1つの要素が、現実世界と対応するもう1つの“裏世界”の存在。ゲーム中、ウィリアムが施設内を歩いていると突然、予告なしに視界がぐにゃーっとゆがみ、それまで歩いていた世界とはまったく別の、おどろおどろしい異世界へと飛ばされてしまうことがあります。

 この裏世界がとにかく怖いっっっ! 裏世界は地形こそ現実のブライト・ドーン治療センターと同じですが、壁や床が血で真っ赤に染まっていたり、大量のモンスターたちが床から次々沸き出してきたりと、その恐怖は比較にならないほど。ひとたび裏世界に迷い込んでしまったら、とにかくひたすら先へと進む以外に脱出方法はありません。本作では基本的に、現実世界と裏世界とを行き来しながらゲームを進めていくのですが、もうこの裏世界がイヤでイヤで……。表のブライト・ドーン治療センターも相当不気味ですが、裏世界から帰ってきた後では天国に思えるほどです。

『閉ざされた病棟』 『閉ざされた病棟』 『閉ざされた病棟』
▲現実世界をはるかに上回る恐怖が待ち受ける裏世界。はたしてこの世界は、一体誰が作り出したものなのか!?

 この裏世界が本当に存在するものなのか、それともウィリアムの妄想の産物なのかは不明ですが、いつ迷い込むかわからない裏世界の恐怖が、探索時の緊張感をさらに倍増させているのは紛れもない事実。裏世界にはセーブポイントもないので、体力を回復しにセーブポイントまで戻ることも不可能。うっかり残り体力わずかの状態で裏世界に突入してしまった時の絶望感といったらもう……。皆さんも常日ごろから、残り体力にはちゃんと気を配っておきましょう。

■プレイヤーを物語へと引き込む“謎”の数々

 謎が謎を呼ぶストーリー展開も本作の見どころの1つ。この施設は一体どういうところなのか? 自分は何者で、どうしてこんなところに収容されていたのか? 主人公が受けた脳外科手術とは何だったのか? “自分からの手紙”は本当にウィリアム自身が送ったものだったのか――? 記憶喪失の主人公と、一切の情報を提示されないプレイヤーの存在がシンクロし、知らず知らずのうちにプレイヤーを物語へと引き込んでいきます。

『閉ざされた病棟』 『閉ざされた病棟』 『閉ざされた病棟』
▲ウィリアムを常に監視し、意味深なメッセージを送る謎の医師。こいつが事件の黒幕なのか、それとも……?

 また個人的に、イベントシーンで説明しすぎていない点も好印象。最近のゲームなら、どこかで親切な人が出てきて長々と種明かしをしてくれそうなものですが、このゲームではそういう“直接的な説明”をほとんどしません。

 手がかりとなるのは、施設内のあちこちに張られた張り紙とか、患者のカルテとか、それに要所要所に落ちている“自分からの手紙”くらい。これらの情報をつなぎ合わせ、プレイヤー自身が推理することで初めて物語の本筋は浮かび上がってきます。種明かしを聞くと「なーんだ」となってしまうホラーゲームも多い中、本作には“すべてを説明しないからこそ”の怖さがある。もしかしたら異常なのは主人公のほうで、裏世界も異形のモンスターも、全部主人公の妄想なのかもしれない。だとしたら、あの“自分からの手紙”は? 主人公を監視する医師や警備員たちの真意は……? そんな風に考え始めると、単に“怖い”だけではない、本作の“おもしろさ”が見えてくるハズ。謎の答えはぜひ、自分でプレイして確認してみてください。

『閉ざされた病棟』 『閉ざされた病棟』 『閉ざされた病棟』
▲謎を解くための手がかりは、施設内のあちこちに散らばっています。ここに書かれていることがもし本当だとしたら……。

■DSだからといってナメてはいけません!

 ストーリークリアまでの時間は、プレイスタイルにもよりますが大体4~5時間といったところでしょうか。筆者の場合、あまりの怖さに15分ほど遊んでは休憩し、怖さが薄れてきたらまた再開……という遊び方をしていたので、軽く20時間以上は遊んだような気になっていました。クリア後、プレイ時間を見て「ええっ、これだけしか遊んでないの!?」とビックリしたのはここだけの秘密です。

 正直、遊ぶ前は「まあ、ホラーゲームといってもDSだし……」とナメてかかっていた面もあったのですが、実際遊んでみてその考えがいかに甘かったかを思い知らされました。すいません! やっぱDSでも怖いモノは怖いです! ホラーゲームの怖さって、結局グラフィックの問題じゃないんですよね。薄暗い病院の廊下に響きわたるうめき声を聞いて、少しでも「うわぁ、リアルだ……」と思ってしまったら、あとはもうグラフィックなんか関係ない。人を震え上がらせるのにハードスペックなんか必要ないということを、イヤというほど思い知らせてくれたゲームでもありました。

 ぶっちゃけ「こんな怖いゲーム、二度と遊びたくない」というのが正直なところですが、ホラーゲームの感想としてこれ以上のホメ言葉はないかもしれません。まだまだ世間では暑い日が続いていますが、寝苦しい夜を少しでも涼しく乗り切りたい人、3度の飯より怖いモノが好きな人はぜひ遊んでみてはいかがでしょうか?(てっけん)

『閉ざされた病棟』 『閉ざされた病棟』 『閉ざされた病棟』
▲前作の舞台は病院内のみでしたが、今作では屋外にも出ることができます。雪に覆われたマップで、ウィリアムを待っているものとは……?
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▲個人的にもっとも怖かったモンスターその1。動きはゆっくりですが、倒すことができないため、通路を利用して逃げ回るしかない!
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▲もっとも怖かったモンスターその2。奇声をあげながら暗闇から飛びかかってくる姿に、リアルで「ヒッ!」と叫んでしまいました……。
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▲ゲームをある程度進めることで、限られた体力とアイテムでどこまで戦えるかを競う“サバイバルモード”も解放されます。

(C) 2010 Renegade Kid LLC. All rights reserved. Licensed to Intergrow Inc. for distribution and publishing in Japan.

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