2010年10月13日(水)
| それじゃ続きよ。確かにジャンドは強かったんだけど、弱点があったの。それはジャンドが3色のデッキで、おまけにデッキのメインとなるカードが3マナ以上と、やや遅いデッキだったということなのよ。 |
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| ふむふむふむふむ。じゃあ展開が早いデッキでジャンドと戦えば……。 | |
| ナイスな発想ね! ジャンドの立ち上がりを叩いてスローダウンさせるデッキ、そしてダイスケ君が言ったようにジャンドよりも早くゲームを決めてしまう速攻系のデッキが頭角を現し始めたわ。 |
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| ▲青系のデッキの多くが採用した《広がりゆく海》は、3色のマナが必要というジャンドのマナを攻めるカードです。また《ゴブリンの先達》や《ステップのオオヤマネコ》のような低マナ・高パワーのクリーチャーで短期決戦をしかけるのも、ジャンドには有効でした。 | ||||
| つまり、とにかくジャンドを倒すためのデッキっていうのが出てきたわけだ。 | |
| そう、このジャンド対アンチジャンドというような状況がまんえんした環境がメタゲームの第2段階ね。それからさらに時間が経過すると、アンチジャンドデッキの中でも青白コントロールというタイプが環境の中心に位置するようになってきたの。 |
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| ▲青白コントロールは、除去呪文と防御的なクリーチャーで強固な守りを築き上げ、一度唱えてしまえばコストのかからないプレインズウォーカーの能力で戦場をコントロールしていく構成を取ります。 | ||||
| 青白コントロールはジャンドの攻めを受けきることができた上に、もう1つの有力なアンチジャンドデッキだった赤系のデッキともしっかり戦えるデッキだったのよ。 |
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| なるほど、新たな最強デッキの誕生ってわけだね。 | |
| ええ、そしてもちろん、この青白コントロールにもアンチ青白というようなデッキが出てきたわ。それが“バント”デッキ。これは緑のクリーチャーでマナを加速させてクリーチャーを展開し、青白コントロールの除去呪文には、こちらも青の打ち消し呪文で対抗するというスタイルのデッキだったわ。 |
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| ▲バントデッキは《貴族の教主》や《水蓮のコブラ》のようなクリーチャーによってマナを加速し、《失われたアラーラの君主》と《エルドラージの徴兵》のコンボや《復讐蔦》のような除去されにくいクリーチャーで攻撃していきます。高い攻撃力に加えて青が入っているため、相手の致命的な呪文を打ち消せるのが強力なポイントでした。 | ||||
| これらのデッキは《復讐蔦》や《失われたアラーラの君主》のような“戦場に出てすぐ攻撃に加勢”できるクリーチャーが主力になっているのが特徴ね。これらは青白コントロールデッキの《審判の日》や《精神を刻む者、ジェイス》のバウンス能力に対して非常に有効だったのよ。 |
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| じゃあ、このバント・デッキが最終的には最強ってことになったんだ。 | |
| ところがそうでもないのよ。実はバント・デッキは《稲妻》のような軽量ダメージ呪文が多いデッキが苦手なの。マナを加速させるためのクリーチャーを破壊されてしまうから。 |
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| じゃあジャンドとか赤系の速攻デッキが……。 | |
| バント・デッキに押されてるとは言っても、まだまだ青白コントロールデッキも流行っていたわ。 |
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| えぇ!? じゃあどうなったの? | |
| 最終的には、バント、青白コントロール、ジャンド、赤系速攻がそれぞれ存在するような、混沌とした環境になったの。言いかえればどのデッキにもチャンスがある、一番バランスのいい状態ね。これがメタゲームの最終段階よ。 |
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| なるほどなぁ。 | |
| こういう風に、最強と言われているデッキがどんどんと上書きされていくのがメタゲームよ。現在の環境に多く存在するであろうデッキに優位に戦えるデッキで大会に出ることが、すなわちメタを読むってことになるわね。 |
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| でも、最終段階ってことはここで終わりなの? | |
| いいえ。ある時期がくるとメタゲームはまた最初の新しいデッキが環境のトップに君臨するという状態になるわ。その時期というのが、第17回で話したローテーションの時期よ。 |
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| あっ、そうか。使えるカードが大きく変わるから! | |
| そそ。実際、これまで話してきたのは2010年の6月くらいまでの話ね。2010年7月に発売された『M11』で、環境はまたも大きく変わったわ。代表的なのはこんなカードたちね |
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| ▲『M11』の追加後は《原始のタイタン》《耕作》の追加により、コンボの達成しやすさ、破壊力が急上昇した《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》デッキや、同様に《定業》《思い起こし》によって大きく強化された《紅蓮術士の昇天》デッキなどがメタゲームの中心に躍り出てきました。 | ||||
| 新しいカードが入ってくるたびにメタゲームは変化するわ。これが意味することはつまり、常にいろんなデッキに可能性があるってことね。 |
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| じゃあ、今度出た『ミラディンの傷跡』でも……。 | |
| そうね、きっとこれまでにないデッキが生まれてくると思うわ。特に“感染”っていう勝利手段も増えたことだし。 |
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| どんなデッキが出てくるか、楽しみだねぇ。僕もいろいろ試してみようっと。 | |
| どうかしら、メタゲームについて、わかってもらえた? |
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| うん。Aっていう強いデッキがあって、それが流行るとAに対して強いBが出てきて、さらにBに強いCが出てきて……っていうふうにどんどん環境が変わっていくのがメタゲームってことだよね! | |
| そういうことね。というわけで、今回は“メタゲーム”についてお話ししました。 |
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| 最初は難しいんじゃね? って思ったけど、説明されたら意外とカンタンだったよね。 | |
| まぁ、メタゲームを意識するのはもっともっと大会とかに出てからでもいいわ。好きなデッキ、好きなカードで大会に出る、これって『MTG』の立派な楽しみ方だからね。 |
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| うん、最初はサイドボードにちょっと流行ってるデッキに効きそうなカードを入れて、試してみようと思うよ! | |
| それがいいわね。じゃあ、今回はここまで。また次回、お会いしましょう。さようなら! |
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| またねー!! |
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[Text by ねこひげ合同会社/ゆば]