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2010年11月2日(火)

コロボックルを優しく見守る箱庭ゲーム『みんなで牧場物語』紹介レポート

文:電撃オンライン

 マーベラスは10月15日~17日にかけて、PC用ブラウザゲーム『みんなで牧場物語』のクローズドベータテストを実施した。あの『牧場物語』シリーズ流れを汲む、ある意味最新作にあたるわけだが同時にシリーズ初、そしてマーベラス初のPC用ブラウザゲームでもある挑戦的なタイトルだ。

 先着5,000名限定で行われたクローズドベータテストは、サーバ稼働時間の変更やオープンから1時間半で長い緊急メンテナンスに突入するなど不具合も見られたが、ゲームバランスの調整なども途中で入り、ベータテストとしての意義は十分はたせたようだ。

 読者の中には、「そもそもオンライン版の『牧場物語』って、どうなってるの?」と、本タイトルに注目している歴代シリーズファンもいることだろう。本記事ではごく簡単ではあるが『みんなで牧場物語』の概要をお伝えする。

『みんなで牧場物語』 『みんなで牧場物語』 『みんなで牧場物語』

■“オレの嫁”は登場しない牧歌的生活を楽しむための島

 まず最初に、本タイトルは『牧場物語』シリーズがもつ“ほのぼのさ”や“ノンビリ牧場ライフ”といった根幹部分はきちんと引継ぎながらも、オンラインゲームとして独自の進化を遂げていることを知ってほしい。主人公を始め、ライバルや嫁候補といったキャラクターは『みんなで牧場物語』には登場しない。プレイヤーは最初に女神から与えられる島にアレコレ指示を出すが、実際に仕事をしてくれるのは“コロボックル”という妖精たちである。ちょこまかと動くコロボックルや、すくすくと育つ野菜と動物を画面のコチラ側から眺め、プレイヤーは観察者というか神様的なポジションになっている。マイキャラを直接操作するわけではないので、既存作品で感じたようなゲームとの一体感は少し薄いかもしれないが、島という大きな箱庭をどんな風に育て、飾り付けていくかという部分に集中して遊べるのが魅力になっている。

『みんなで牧場物語』 『みんなで牧場物語』
▲「島をあげるから立派にしてね」って女神さま、それを世間では他力本願と言うんですよ……。はにかんだ顔してもダメだから! でもカワイイから許す。 ▲島は中央にコロボックルの住む“コロボックルハウス”があり、周囲を林に囲まれた小さなエリアだ。この島が今後どう拡張されていくのかが気になる。

■無口なコロボックルに導かれるツリー構造のクエスト

 島に生えている木を切り倒せば木材となり、岩を砕けば石材が採れ、平野には畑を作り動物を飼育できるが、最初は何から手をつければよいのか迷ってしまうだろう。ゲームの序盤はチュートリアルを兼ねたクエストが与えられ、これを順番にこなすだけでプレイヤーのレベルはサクサク上がり、ゲーム内通貨も溜まっていく。最初は“カブの種を買う”“畑にカブの種をまく”“雑草を抜く”といった、簡単なものばかり。どのボタンを押せば種を売っているショップ画面が開くのか、などの基本操作を緑の服を着たヒゲ面のコロボックルがそのつど教えてくれる。……のはよいが、このコロボックルがえらい無口。ややしかめっつらで「男はだまってボタンを押せ」とばかりに、黙々と手にした矢印で示すのだ。インタフェース自体がとてもシンプルなので、操作に迷うことはまずないが、もうちょっと画面上にコロボックルのセリフを出すといった、サービスがほしいところだ。

『みんなで牧場物語』 『みんなで牧場物語』 『みんなで牧場物語』
▲無口なのにも程があるチュートリアルの緑色コロボックル。でも、そこがクール。

 クエストはツリー構造になっており、途中で分岐もある。どのクエストから手をつけるかはプレイヤー次第だが、前提クエストをクリアしない限り次には進めないため、実際のところ選択肢はそんなに無い。最初はショップでカブの種しか売ってくれないが、どんどんクエストをこなし、レベルをあげていくと新しい野菜、樹木、動物がアンロックされて購入可能となる。

 残念だったのはクエスト画面が見づらかった点だ。分岐したクエストは上下のページにまたがって表示されるのだが、見るたびに最初のページに戻ってしまうため、ちょっと内容を確認したい時も、何度もクリックしてページを進めねばならない。できればここは最後に見たクエストページを保存する仕様に変えてほしいなあと個人的には感じた。

『みんなで牧場物語』 『みんなで牧場物語』 『みんなで牧場物語』
▲クエストページでアイコンをクリックすると詳細を見られる。▲報酬は素材やコロボックルの増加、新しい種や樹木のアンロックなどだ。▲クエストが増えるとオレンジ色の矢印に従ってページが分岐。テストサーバはラグのせいもあって、ページ移動が軽いストレスだった。

■働けコロボックルたち! いや働いてくださいお願いします

 上で述べたとおり、プレイヤーが指示を与え実際に働いてくれるのは、小さな妖精コロボックルたちだ。種をまく、木を切るなどのアクションをマウスで指示すると、ハウスからコロボックルが飛び出して、それぞれの作業を始めるのだ。畑担当は黄色いコロボックル、岩を砕くのは少しふとっちょな灰色コロボックルなど、作業内容によって見た目も変わるようだ。

『みんなで牧場物語』
▲割り当てた作業内容によって外見が変わるコロボックルたち。一生懸命働く姿を眺めていると、帽子の白いポッチをつまんで持ち上げたくなる。そんな機能実装されないかな。

 コロボックルは、1つの作業が終了するまで他の仕事は担当してくれない。岩を砕く仕事を与えれば完全に砕き終わるまで続けるし、畑作業担当のコロボックルは野菜が収穫できるまでお世話をし続ける。最初は5人のコロボックルしかいないので、クエスト内容に合わせて仕事を与えるのがよいだろう。

 ではコロボックルの人数を増やすためにはどうすればいいのか。それにはクエストのクリアが条件で、報酬としてコロボックルが少しずつ増えていく。さらに、所持できるコロボックルの数を増やすためには、コロボックルハウスのレベルアップが必要だ。ショップの“建物”には、グレードアップしたコロボックルハウスが売られている。必要なゲーム内通貨と木材、石材を持っていれば、あとは購入ボタンを押すだけ。自動的に増築が始まり、完成するとコロボックルの最大人数が増えている。

 まじめなコロボックルは仕事をサボったりしないので、ふとPCを見るとヤギにせっせとブラシをかけている姿がうつり、思わず頬がゆるむ。ヒーリングミュージックならぬ癒し系デスクトップアクセサリとしても、結構いけるんじゃないだろうか?

『みんなで牧場物語』 『みんなで牧場物語』
▲ハウスをレベル2から3へグレードアップ中。▲テープカットしないとハウスは稼動してくれない。

■ゆっくりじんわり進めるやり込み要素

 他プレイヤーとの戦いがテーマのブラウザゲームと違い、『みんなで牧場物語』は、ゆっくりと自分のペースで島を育て、少しずつ訪れる変化を楽しむほのぼの系だ。やり込み要素も他者との競争ではなく、どちらかといえば自己満足のために追求する要素が多いと感じた。

 クローズドベータテストで体験できたやり込み要素は、作物のグレードアップとランダムで入手できるコレクションの2つであった。同じ作物を何度も植え、収穫すると“G”マークがついたゲージが少しずつ溜まっていく。これが経験値のようなもので、ゲージが満タンになったカブやトマトは、1ランクグレードがアップ。次からは収穫したときの収入が増える仕組みだ。もう一つのコレクションは、作物の収穫、木の伐採といったアクションに対して完全ランダムでドロップする、特別なアイテムだ。トマトを収穫するとホールトマトの缶詰が。ニワトリのお世話をしたら目玉焼きのコレクションなどが手に入り、倉庫のコレクションページに表示される。現在はただアイテムを集めるだけで、特に報酬や効果などはないが、今後はコンプリートすると何かご褒美がもらえるようなシステムの実装に期待したい。

『みんなで牧場物語』 『みんなで牧場物語』
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 今回の『みんなで牧場物語』クローズドベータテストは実施日程、時間ともにかなり短く、あくまでサーバー負荷テストが中心のテクニカルテストを目的としていたため、あまり多くの要素は体験できなかった。『牧場物語』という強力なブランドを生かし、完全国産の箱庭ゲームとしてどう成長していくのか、今後の展開がかなり気になるタイトルである。残念ながらクローズドベータテストに参加できなかった人は、次期テストの開始を待っていてほしい。

(C)2010 Marvelous Entertainment Inc.

データ

▼『みんなで牧場物語』
■運営:マーベラスエンターテイメント
■対応機種:PC
■ジャンル:SLG(オンライン専用)
■正式サービス開始日:未定
■プレイ料金:無料(アイテム課金)

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