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2010年11月4日(木)

【まり探】解けない時は大人の解決方法で? 『ザックとオンブラ』インタビュー

文:電撃オンライン

●あの救済措置は土壇場になって導入しました!

――次はミニゲームについてお伺いします。本作にミニゲームを織り込むことは最初から決まっていたことなんでしょうか?

向峠:アドベンチャーゲームにミニゲームを組み合わせるということは、一番最初から決まっていました。今回、タッチペンを使って背景の画面を左右に動かしたり回転させたりすると、物陰に隠れていたオンブラを見つけることができるというギミックを入れていまして。そこでオンブラを捕まえたらミニゲームに突入して、また次にオンブラを探すといったサイクルにするというのが、一番最初のコンセプトだったんです。

――180種類以上のミニゲームとなると、アイデア出しが大変だったんじゃないですか?

向峠:アイデアというより、スケジュールが大変でした。

河野:アイデアはポンポン出るんですが、「これ誰が作るの?」って(笑)。数が数なので……。

向峠:毎週ミニゲームを会議していましたねぇ。

河野:今週のネタはこれですっていう中から、これはボツだのこれはよいだのやっていました。

向峠:ミニゲームは180種類、配信分を合わせると230種類くらいあるんですが、それでももっと頑張って作りたかったです。

――ミニゲームの難易度のバランスを考える際に気をつけた点を教えてください。

向峠:今回、一番そこを気をつけました。アドベンチャーゲームって、総当りになったりわからなくて先に進めなくなったりすると、そこで投げ出してしまうんですよね。そういうストレスがないよう、ゲームの設計には一番気を使いました。難易度に関しては、「下げろ、下げろ」ばかり言っていましたね。

河野:最後の調整でミニゲームの難易度をガクッと下げたんです。それまで全部一段階難しくて、今の“ふつう”が“かんたん”でした。私たちも、作ってくださった開発会社のスタッフさんも基本的にゲーマーなので、最初は「これのどこが難しいんですか?」という感じだったんです。

向峠:でもモニタリングを取ると、「難しい」と言われてしまいまして。いろいろな方にプレイしていただきました。一般の方をはじめ、営業さんとか神木君とかまで。

――ザック本人にも! やはり普段ゲームをやる方と、やらない方とで差はあったのでしょうか?

向峠:ありましたね。特にアクション要素があるゲームはすごく差が出ました。パズル系はそんなに差が出ないんですけど、アクションはやっている人とやってない人で差が思いっきり出てしまうので、調整に苦労しました。

河野:普段ゲームをやらない方にちょっと触ってもらって、リアクション見て調整するの繰り返しでしたね。イラストなどを見て手にとってもらっても、ミニゲームが難しくてそこで止めてほしくないなあと思っていたので。

向峠:難易度の“かんたん”を作って……と、いろいろ試行錯誤はしました。しかしそれでも無理だということで、ミニゲームをクリアすると手に入るオンブラ玉を10個支払ってクリアしたことにするという“大人の解決法”を土壇場で入れたんですよ。

――あの救済措置は、土壇場になって決まったものなんですか?

河野:わりと終盤ですね、中盤のころから話は出ていたんですけど、「こんな大人の解決方法いらないでしょ」って、一度置いていたんですよ。

向峠:“かんたん”で誰でもクリアできるようにしておけば大丈夫なんじゃないかって言っていたんですが、それでも無理な人がいるので、やはり“オンブラ玉”を使おうということになりました。

河野:でも一部、難しいほうが好きだっていう方がいまして(笑)。

向峠:あまり簡単にしすぎると、つまらなくなってしまう恐れもあったので、難易度は3段階用意して“むずかしい”はそれなりにやり応えがあるようにしました。救済措置に関しては、入れてよかったと思っています。

河野:他のゲームをプレイして得たオンブラ玉を支払っているっていうことで、完全に大人の解決ではないところが、まだよいかなと。努力して集めた結果のご褒美ということで。

向峠:オンブラ玉のシステムを入れていてよかったなと思いました。もともとオンブラ玉は救済措置のためではなく、ショップで交換したり配信の施設をオープンさせたりするために導入したシステムでしたから。

河野:結果オーライでしたね。大変といえば、シナリオとミニゲームができるだけ関連するようにしたのも大変でしたね。

向峠:あれは大変でしたねえ。組み合わせてみたら全然合ってなくて。だから1回ひっくり返したんですよ。合うものを入れ直して、さらにどうしても合わないものはストーリーの方を変えてたりと。

河野:それをやっていくと、どれにもあてはまらなくてあぶれちゃったミニゲームもありまして。そういうものは配信したり、野良のオンブラが持っていたりします。中にはボツになってしまったものもありますが。

――お気に入りのミニゲームはありますか?

向峠:僕は『ポップンミュージック』っぽい音楽シュミレーションゲームです。一番最初にポリーを見た時、実は『ポップン』のキャラっぽいなって思ったんですよね。

河野:出てきてもおかしくないよね(笑)。私はスポンジボールが結構好きですね。好きなゲームは結構たくさんあるんですが、嫌いなゲームはくるくる回して転がすやつがダントツで嫌いです。

向峠:えー、あれおもしろいのに。僕はパラシュートでオンブラが降りてくるやつが苦手ですね。最初、説明を聞かずにやったらどうやってもクリアできなくて……ちゃんと説明されたらなんとかクリアできました。

●スタジオ4℃こだわりのアニメーションに大満足

――ゲーム中、随所にアニメーションが挿入されますが、アニメーション制作をスタジオ4℃にお願いした経緯というのは?

向峠:スタジオ4℃さんとは、いずれ一緒にやってみたいなと思っていたんです。今回ちょうどアニメーションがたくさん入っているというコンセプトの作品だったので、お話をさせていただいたら、興味持っていただいて引き受けていただけました。期待通りのアニメーションが上がってきたので、本当に助かりました。

河野:アニメーションの量も多かったんですが、製作はすごく順調でしたね。スケジュールも押さなかったし。特に監督さんのこだわりがすごいんですよ。音を入れているフィルムを監督さんと見ていた時、「あっ」て言って急に帰っちゃったことがあって。何かと思ったら、「あそこの動きが足りないから作り直す」って。

向峠:ほぼ納品が終わっているのに、「ちょっとここシーンを変えたいんでいいですか?」って言われたこともありました。その辺の細かいこだわりは、素晴らしかったですね。スタジオ4℃さんとは、いずれまたご一緒させていただきたいと思いました。

――作品の世界にピッタリのアニメでしたよね。

河野:キャラクターとか、もう本当にかわいく描いてくださって!

向峠:ゲームとアニメの背景設定は、美術背景製作会社で有名な草薙さんに作っていただいたのですが、統一感を出すためにスタジオ4℃さんと草薙さん両方にいろいろとご協力していただきました。おかげで、すごくキレイにできあがったと思っています。

【まり探】 【まり探】
▲向峠さんがお気に入りと語った、『ポップンミュージック』風のミニゲーム。このゲームは、電撃オンライン編集部内でも人気が高かったです。
【まり探】 【まり探】
▲アニメーションはスタジオ4℃さん、背景は草薙さんが担当したとのこと。すごくピッタリはまっていて、異なる会社が作ったとは思えないくらいの一体感でした。

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