News

2010年11月8日(月)

開発ソフトマックス&バンダイコリアを交えた『SDGO』3社インタビュー

文:電撃オンライン

前へ 1 2

――アンケートの設問には、有料アイテムを平均いくらぐらい購入しているかという内容もありましたが、実際どれぐらい皆さん毎月購入してるんですか。

秋山氏:一般的なPCオンラインゲームに比べると低い数字です。日本オンラインゲーム協会の調査によれば、MMORPGにおける有料アイテム購入平均単価は5,500円~6,500円。さらにサービス歴が長くなると平均単価が10,000円強へ変化します。『SDGO』はその正式サービス期間から考えると、コレクション要素が強くて“ガシャポン”を導入してるわりに、平均単価の伸び率は低いです。

――逆に「こうしてほしい」「ここを修正・調整してほしい」という具体的な要望で目立ったものはありましたか。

秋山氏:とにかく「自分の好きなガンダム作品に登場する、あのMSを実装してほしい」という、ユニットへのこだわりが一番強かったです。好きなユニットが実装され、手に入れば満足度は高い。手に入りにくい、あるいは未実装の場合は不満に感じているようですね。

 ですので、このアンケート結果をふまえて、11月以降は無料で遊び続けたいプレイヤーが、どれだけ欲しいユニットを手に入れられるチャンスを増やすか。その上でビジネス的に安定した収益をどう確保していくか、という方向性を見据えていきます。

 ただ難しいのは、『ガンダム』というシリーズはいわゆる“ファースト”と呼ばれるものから、劇場版やOVAも含め、長年にわたっていくつものタイトルが存在します。そうするとアンケートで一番好きなタイトルやMSをたずねても、特定の作品に集中するのではなく、回答がバラけているんですよ……。

――シリーズ全体で見れば、息の長い作品ですからねぇ。ユニット実装以外には目だった要望はありますか。

河辺氏:“オーバーカスタム”という、MSを強化する、エンチャントに近いことができるシステムを早く日本でも実装してほしい、という声は多かったです。あとはSランクのユニット実装についてですね。

『SDGO』 『SDGO』
『SDGO』 『SDGO』 『SDGO』 『SDGO』

――Sランクのユニットの実装時期はもう決まっていますか。

秋山氏:ほぼ決まっています。『SDGO』サービス開始前の初期ロードマップでは、新ユニットを毎月5機ずつ実装する予定だったんです。しかしプレイヤーの遊び方を見ていると、キャラクターやMSへの思い入れが予想以上に強い。対戦ゲームとして『SDGO』を楽しむというより、お気に入りMSを手に入れてその画面をウットリ眺める。あるいはなりきりロールプレイを楽しむといった趣向が強いことがわかりました。

 これはもっと早いペースでMSを追加しなければということで、かなり無理を言いまして、今は毎月10機前後が導入されています。当初の計画では韓国版クライアントの6カ月遅れでアップデートを行うつもりでしたが、今年の12月のタイミングで3カ月遅れぐらいまでバージョン差を縮め、投入できるMS数を増やして行きます。

村上氏:『SDGO』は韓国のクライアントがマスターバージョンですが、どういう形で各国に実装するかは、現地の運営会社と個別に相談しながらとなります。日本は『ガンダム』というコンテンツが生まれた国ですから、やはりプレイヤーからの要求も高いんですよ。

――ところで、アンケートには有料アイテムの購入に関する質問項目もありましたね。アイテム購入者の毎月の平均利用額はいくらぐらいだったのでしょう?

秋山氏:すみません、具体的な回答についてはお伝えできません。ただ、有料アイテムの利用者数は従来のオンラインゲームの3倍以上。もちろん全プレイヤーではありませんが、ほとんどのという言い方をしてもいいぐらの利用率です。

――ガシャポンに必要なコインが多すぎる、お金がかかりすぎると不満を抱いているプレイヤーを、切り捨ててしまうわけではないですよね?

秋山氏:むしろ逆ですよ。長く遊んでもらうようにしていくつもりです。

――具体的な対応をお話できる範囲で、教えていただけませんか。

河辺氏:それについては私からお話させてください。まずゲームバランスについては現状、バランスは取れているという認識でいます。しかし、11月中旬に“オーバーカスタム”が入ります。そうするとプレイスタイルは自分のお気に入りのMSをカスタマイズして、そのMSで経験値をためたりさらなる強化を試みるといった、1つの機体で長く育てて遊ぶ方向におそらく変化するでしょう。その時、好きなMSがちっとも手に入らないとなればモチベーションは下がってしまいます。

 ですので、オーバーカスタム実装に合わせて、MSは今よりもう少し入手しやすくなるようバンダイコリアさん、ソフトマックスさんと準備中です。

『SDGO』 『SDGO』

――ガシャポンからのレア獲得確率が上がるんですか?

河辺氏:一部のカプセルマシーンでは、必要なコイン数が半分になります。現在最も多いのは20枚ですが、これが10枚になるわけです。また、ユニットを育てやすいようにオペレーターも平均20%ぐらい安くなる予定です。

――ちなみに、以前のインタビューでも軽く触れた無料版のオペレーターは、バリエーション増えないのでしょうか……。

秋山氏:現在検討中です。

――では一旦、アンケート関連の話から離れまして、今後のアップデート予定について教えていただけますか。

河辺氏:12月下旬ごろの実装予定で、6人vs6人での対戦システムが導入されます。

――これは個人的な要望ですが、『ガンダム』の宇宙戦争らしさにより近づけるような中規模のチーム対戦なんて実装は難しいでしょうか……たとえば15人vs15人といったような。3次元の空間でMSが入り乱れるような対戦を、見てみたいのですが。

キム・ドヒョン氏:まず、多人数が参加可能な対戦を取り入れることが、果たして『SDGO』というゲームが本当におもしろくなるのかが問題ですね。その次に、対戦バランスの再考やパソコンの推奨スペックが上がってしまうなど、そのアイデアをもし実装するとなるとハードルは高いです。

 また、どちらかのチームあるいは1人のプレイヤーが、相手に一方的に攻撃されてストレスを感じ、ゲームをやめてしまう可能性もあります。対戦に参加できる人数を増やすのではなく、対戦というシステムでプレイヤーがどう『SDGO』を楽しんでくれるか。ここを真剣に考えています。『SDGO』の本質を壊すようなことはしたくありません。

村上氏:もともとが4対4のゲームバランスで調整されていますからね。

――そうですよね、すみません……。では、2011年以降のおおまかなアップデートスケジュールなどはいかがでしょう。

河辺氏:先ほども出ました、Sランクユニットの実装をどのタイミングにするかというのが、一番大きな検討課題になっています。あとは各『ガンダム』作品の主役級MSを、来年前半までには実装していきたいと考えています。

『SDGO』

――日本と韓国以外でのサービス国と会員数を教えてください。

村上氏:韓国を皮切りに、『SDGO』は中国、台湾、香港、日本の5カ国で現在、サービスを提供しています。サービス3年目の韓国で400万人、台湾160万人、中国900万人、香港60万人になります。

――中国が飛びぬけているのは、まぁ母数の違いが如実に表れているわけですが、日本の33万人はちょっと出遅れてませんか?

秋山氏:いえいえ、日本はこんなものですよ。そもそもがコンシューマゲーム大国ですから。日本市場の特徴はマーケットが小さい割りに客単価が高いという点です。

――いいお客さんが多いということですね(笑)。

村上氏:日本での正式サービスは、始まってからまだ3カ月ですし。

秋山氏:我々が把握している数字から判断すると、『ガンダム』が好きで『ガンダム』がモチーフのゲームを積極的にプレイする人口を、『SDGO』はほぼほぼ取り込めていますよ。先ほどの話の繰り返しになりますが、次のステップへ移行するために必要なのが、今後は地方であったり、アプローチがしづらいネットカフェのユーザーなわけです。 

――アジア圏以外でのサービスは予定されていますか。最も有望な国はどこでしょう。

村上氏:いろいろな国の運営会社からオファーをいただいていますが、我々が想定している次の展開は東南アジア諸国ですね。

――やはりそれは、『ガンダム』そのものの認知度が理由ですか。

村上氏:そうですね、『ガンダム』作品の放映がされていた国などが有望です。

秋山氏:台湾では『SDガンダム三国伝』の人気があるようですね。

――なるほど。では、村上さんご自身が思い描いている、“理想の『SDGO』像”と言うものがあると思います。その理想に対して、マスターバージョンである韓国版『SDGO』は、どれぐらい近づいていますか?

村上氏:『SDGO』は完成度の非常に高いタイトルですが、もっとコンテンツを増やしたいですし、アジア圏にとどまらず世界中で『SDGO』のサービス展開をしていきたい。という理想から考えますと、50%ぐらいでしょうか。

――キム・ドヒョンさんに伺います。実現可能かどうかは別として、個人的に「こんなシステムが実装できたらなあ」と思う夢があったら教えてください。

キム・ドヒョン氏:オンライン上の友だちと一緒に遊べる、ミッションを強化してもっとおもしろくしたいです。『SDGO』に使われている開発エンジンの改良もしたいですね。あとは最近流行している、デジタル機器との連携を図りたいです。

『SDGO』 『SDGO』

――では最後に、皆さんから『SDGO』ファンに向けてメッセージをお願いします。

キム・ドヒョン氏:こういった形でインタビューを受けるのが初めてなので、ちゃんと答えられたか不安ですが……。『SDGO』はグローバル展開を最初から考えて開発したゲームなので、いろいろな国でサービスが提供され、愛されている状況はとてもうれしいです。日本はオンラインゲームよりもコンソールゲームが強い国だと思っていましたから、『SDGO』に触れたことがきっかけで、オンラインゲームもこんなにおもしろい物なんだと思ってもらえれば幸せです。もっと多くの国で『SDGO』を展開していきたいです。

村上氏:今は『ガンダム』という作品が好き、オンラインゲームがもともと好きという方が中心になっていると思います。『SDGO』は『ガンダム』というキャラクターを使いながらも、アクション性とゲーム性にはこだわっている作品です。これからは、オンラインゲームは好きだけど『ガンダム』はあまり知らない、あるいは『ガンダム』は好きだがオンラインゲームは経験がないという方々にも、もっとアピールしていきたいです。今後も『SDGO』をよろしくお願いします。

河辺氏:プレイヤーからは「あのMSを実装してほしい」という要望が本当に多いんですね。弊社とソフトマックス、バンダイコリアの3社協力のもと、できる限り要望に応えられるように努力していきます。

秋山氏:私の立場からは、このサービスが短命に終わらないことが最も重要だと考えています。アクションゲームは短命に終わる可能性がありますが、お金や時間をつぎ込んだゲームが1年後に終了してしまったら悲しいですよね。プレイヤーも事業に参加している各社も、みんなが幸せになれる方法を日本プロデューサーとして考えていきます。

――本日は長時間、ありがとうございました。

『SDGO』 『SDGO』
『SDGO』 『SDGO』

(C)創通・サンライズ (C)創通・サンライズ・毎日放送
Produced by BANDAI KOREA
Developed by SOFTMAX / Published by CJ Internet Japan.

データ

▼『SDガンダム カプセルファイター オンライン』
■ 運営:CJインターネットジャパン
■ 対応機種:PC(対応OS:Windows XP/Vista/7)
■ ジャンル:ACT(オンライン専用)
■ 正式サービス開始日:2010年6月17日
■ プレイ料金:無料(アイテム課金)

関連サイト

前へ 1 2