2011年1月7日(金)
【週刊 俺の妹P】伏見先生に二見Pも参加した『俺の妹』制作陣座談会をお届け!!
2011年1月27日にバンダイナムコゲームスから発売される、PSP用AVG『俺の妹がこんなに可愛いわけがない ポータブル(以下、俺の妹P)』。その制作や原作に関連する4人の座談会をお届けしていく。
座談会に参加していただいたのは、小説『俺の妹がこんなに可愛いわけがない(以下、俺の妹)』の作者・伏見つかさ先生と、ゲームの制作を手がける二見鷹介プロデューサー、そして伏見先生の担当編集である三木一馬電撃文庫副編集長と小原一哲編集。はたして、どんな思いでこのゲームの制作に携わっていったのか? 複数回にわたって座談会の模様をお届けしていくので、興味がある人はぜひご覧いただきたい。(※インタビュー中は敬称略)
■ゲームが決まった経緯と、打ち合わせでの伏見先生
――それではまず、このゲームの開発が決まった経緯を教えていただけますか?
三木:そうですね、なぜそんな蛮行(笑)におよんだのかは興味ありますね。
二見:蛮行って(笑)。元々僕が原作を知ったのは、第3巻が発売されたタイミングだったんですね。これまでいくつかライトノベルと呼ばれるもののゲームかを手掛けてきたんですが、これはイケるんじゃないかな、と。タイミングとしてはおそらくアニメ化の方が先だったとは思うんですが、自分でも好きだしゲーム化したいなと思って企画を立ち上げました。最初に企画書を社内で見せた時には、その段階ではアニメ化どうこうという話は社内に伝わっていなかったので、「二見キモッ!!」って思われていたかもしれません(笑)。
三木:社内でも認知度的には低かったんでしょうかね。ですからタイトル的な意味で引かれてしまうのもわかります(笑)。
二見:僕は以前に『涼宮ハルヒの戸惑』を手掛けたこともあって、何かおもしろそうなライトノベルがあったらゲーム化したいな、という考えが常にあったんです。そうして話が動いていって、三木さんのところへ企画書をお持ちしたんです。
――三木さんや伏見先生は、ゲーム化の話を始めて聞いた時にどう思われましたか?
三木:ゲーム化の話を聞かせていただいた時には、本当に「光栄だな」という気持ちでいっぱいでしたね。イメージとしては『とらP!』と近いものですとうかがったので、さっそく「(とらP!を)送ってください」とお願いしました(笑)。
伏見:ゲーム化の話を聞かせていただいた時には、本当に「光栄だな」という気持ちでいっぱいでしたね。イメージとしては『とらP!』と近いものなんだよと聞かされて、「じゃあください」と(笑)。
二見:即、送りました(笑)。
伏見:で、送られてきたものを遊んでみたら、これがおもしろいんですよ!!(笑) 「これならゲームも期待できますね」と安心してOKを出しました。
――実際にゲームの制作を開始したのはいつぐらいなのでしょうか?
二見:2009年の12月くらいに企画書を見せて、翌年の3月くらいですかね。制作に取りかかったのは。
三木:最初はまず、二見さんや伏見先生と打ち合わせの席を設けました。伏見先生はかなりゲームをやっているので、ユーザー目線で「こうした方がいい、なぜならユーザーはこう感じるから」みたいな意見をたくさん出してもらったんですよ。伏見先生が打ち合わせをリードして、二見さんがいかにくみ取るかという作業でしたね。
二見:初回からかなり建設的な打ち合わせでしたよね。
小原:伏見先生の(『とらP!』の)やり込み具合がすごかったんですよ(笑)。全員驚いてました。
二見:2~3日ですべてのルートをクリアしたそうです。
伏見:フルコンしました。で、『とらP!』のよかった点と悪かった点をずらーっと書き出して打ち合わせに臨みました。
二見:ありましたね(笑)。
■最初の打ち合わせで伏見先生が求めた要素とは?
小原:「ゲームシステムのここがめんどうくさい」といった感じに、本当にユーザビリティに重きを置いた意見をたくさん出していました。
三木:『俺の妹』で、黒猫の同人小説に桐乃が意見する時にも「全部読まないと批判できないでしょ?」と言っていましたが、それを地でいく感じでしたね(笑)。
伏見:おそらく二見さんは「シナリオはどういう感じにしますか」という打ち合わせを希望されていたのだろうと思います。ですが、実際の打ち合わせでは「なぜこういうシステムなんですか? どういうシステムにするつもりなんですか?」という話をまず初めにしました。
二見:おっしゃるとおりですね。打ち合わせで聞かせてもらった伏見先生の話は、原作者目線のものでありつつ、ユーザー目線のものでもあったので、新鮮な感覚でしたね。
伏見:『とらP!』はとてもおもしろかったんですが、かなり難しく感じたんです。真のエンディングを見るために必要なアイテムがどこで取れるのか全然わからなくて、何度も周回プレイしなくてはなりませんでした。ですから『俺の妹P』では、攻略サイトを見なくてもクリアできるようにしてくださいとお願いしました。それと、なんでこのゲーム、インコちゃんとばっか話さなきゃいけないんですかねと文句を言いました(笑)。
三木:言ってましたね(笑)。
伏見:全然見つからなかった重要アイテムを●●が隠し持っていた時は、「●●ー! おまえが持ってやがったのかー!」と叫んでしまいました。――ともあれ、『とらP!』でも『俺の妹P』でも、キャラクターがぬるぬる動いて会話するシステムじゃないですか。せっかくなんですから、女の子たちといっぱい会話したいなと思ったんです。それと、シナリオ部分に関しては、最初提案していただいたものが“女の子たちと仲よくなって終わる”というものだったので、せっかくだから全員と●●になれるようにしてください! とお願いしました。
二見:“女の子たちからの人生相談”という部分は変わっていませんが、全員と恋人になれるように、というのは最初の打ち合わせで言われましたね。
伏見:原作読者にしてもアニメの視聴者にしても、せっかくゲームになるわけですからifの話が見たい、原作では見ることのできないシーンが見たいと思うんじゃないかなと。私がそうなので。ですから、そこは外してはいけないんじゃないかとお伝えしました。
三木:キャラゲーにおけるユーザーが望むようなことに対して、原作サイドで「無理!」と言うことはなかったですね。
――それは、キャラゲーとしては、とても幸せな形になっていますよね。
(C)伏見つかさ/アスキー・メディアワークス/OIP
(C)2011 NBGI
※記事中のゲーム画像は開発中のものです。