2011年1月14日(金)
【週刊 俺の妹P】麻奈実ルートは正統派の直球ド真ん中!? 『俺の妹』座談会後編
2011年1月27日にバンダイナムコゲームスから発売される、PSP用AVG『俺の妹がこんなに可愛いわけがない ポータブル(以下、俺の妹P)』。その制作や原作に関連する4人の座談会を前回に引き続きお届け。
座談会に参加していただいたのは、小説『俺の妹がこんなに可愛いわけがない(以下、俺の妹)』の作者・伏見つかさ先生と、ゲームの制作を手掛ける二見鷹介プロデューサー、そして伏見先生の担当編集である三木一馬電撃文庫副編集長と小原一哲編集。はたして、どんな思いでこのゲームの制作に携わっていったのか? 複数回にわたって座談会の模様をお届けしていくので、興味がある人はぜひご覧いただきたい。(※インタビュー中は敬称略)
■オススメヒロイン&妹にするなら?
――『俺の妹P』で、皆さんのオススメヒロインは誰ですか?
伏見:桐乃です。アニメでもそうでしたが、声とビジュアルが付くと、やっぱり違いますね。
二見:僕は加奈子が一番好きなんだよなぁ……。ただ、一番印象に残っているのは、麻奈実。それと黒猫ですね。
――どういった点が印象的だったんですか?
二見:この2人のシナリオは、僕らが最初に提出した時点ではある問題点があったんです。それは、あまりにもゲームとしての面を押し出しすぎてしまったため、物語として起伏のないものになってしまったという点です。それを伏見先生、三木さん、小原さんが丁寧に手直ししてくださったんです。その修正を反映させるために、結構苦労しまして……(笑)。問題ない形に皆さんのアイデアをゲームに落とし込むにはどうしたらいいかと、毎日毎日、深夜になってもずっとずっと考えていたりして。制作で苦労したという点で印象的ですね。
伏見:麻奈実ルートについては、私はアイデアを提示しただけで、これは本当に二見さんに頑張っていただきました。麻奈実には、「真」と呼べる結末が複数用意されているのですが、どのエンディングも、私はとても好きです。三木さんも監修に力を入れてくださって……。麻奈実ルートはもう三木さんと二見さん、“2人の愛の結晶”と言っても過言ではないと思います(全員笑)。
三木:麻奈実ルートに関しては、中国に行く飛行機の中で監修していたので、もう中国の印象しかないですね(笑)。「俺は伏見つかさだ! 俺は伏見つかさだ!」と言い聞かせながら監修していました。当然どうしても伏見先生に聞かなきゃわからないところもあるので、その部分だけは電話したりして。
伏見:ここだけの話ですが、私がゲームの監修に力を入れすぎることを、三木さんからよく思われていないフシがあったんですよ。「それより、早く小説書いてください!!」と。ところが、そういう三木さん自身が監修することになったら、すごくのめりこんじゃって……。三木さんから麻奈実の設定についての確認電話がくるたび、ありがたいけれど「人のこと言えないじゃないか」と苦笑していました。
三木:たくさん電話しました(笑)。正直監修って、もっと楽にできるものだと思っていたんですよ。他の原作付きゲームでの話を聞いたりした限りですが。そういう思い込みもあって、伏見さんにそう言っていたんですが……。簡単になんか全然できない(笑)。伏見先生じゃなければできないことは伏見先生がやるべきだし、僕も担当として伏見先生に代わってできるところは代わってやるべきだろうと。
小原:そういえば、僕も麻奈実の料理のレパートリーについて三木から相談を受けました(笑)。
二見:監修が簡単かどうかっていうのは、線引きの問題もあると思うんですけどね(笑)。ここまで一生懸命やっていただいたケースは初めてだったんで、本当に助かりましたね。原作付きのゲームでも、そうした専門の部署の方に窓口になっていただいて話を進めていくこともあります。……ですから、今回の線引きの場合、制作面でこっちが地獄に行くと一緒に地獄に行ってもらうハメになっていました(笑)。
小原:ピーク時は毎日のように二見さんから原稿催促や相談の電話がかかってきましたね。しかもほとんどが夜中という……。
三木:今回こういう経験をして、「これって、原作が小説だからできることだよなぁ」なんて思いましたね。漫画家さんだと、どうしたって作画に大きく時間を取られてしまいますから、物理的な意味で打ち合わせに参加できないんじゃないかと。もしも僕が(漫画家の)編集だったら、絶対に漫画家さんを打ち合わせに出させたくないですもん。
二見:確かに、打ち合わせにこんなひんぱんに立ち会っていただくケースも、ほとんど聞いたことがありませんね。制作的にはとても嬉しいことです。ただ、ゲーム的に見て結構難しくなってしまいそうなので、そこだけは先生のご要望にこたえられずすみません!! って感じではあります。そのぶん、内容が濃いものになっている自信はありますけどね。
▲“2人の愛の結晶”もとい、麻奈実ルートについては、この後のページで触れられているので、そちらもぜひご覧いただきたい。 |
――ここで、電撃オンラインに寄せられた質問もいくつか読んでみたいと思います。まずは「京介のボイスはどれくらい入っているの?」とのことですが、これには二見さんに答えていただきましょうか。
二見:めっちゃめちゃ入ってます。京介はは1人のヒロインの台詞の3倍以上は確実に収録していますよ。
小原:それでも減らしたほうなんですよね。当初はフルボイスもしゃべらせようとしてましたから……。
二見:もしフルボイスだったら、さらに倍! って感じでしたね(笑)。
伏見:中村悠一さんを初め、膨大な量のテキストに声を吹き込んでくださった声優さんたちには、本当に感謝しています。
二見:本当にヤバイ量でした。京介のセリフ量は、これまで担当した作品の中でダントツです。
――続いて「ヒロインの中で妹にするなら誰がいいですか?」という質問が来ています。
伏見:どうでしょうね……妹にはしたくないヤツらばっかりです(全員笑)。個人的に沙織が好きなんですけど。――沙織といえば! 『“俺の”妹めいかぁEX いもうとと恋しよっ♪ ぽ~たぶる(以下、妹めいかぁ)』の沙織の衣装!! あれには大爆笑しました。
二見:ちょっぴり衣装がハレンチな感じになってしまいましたね(笑)。
伏見:発注する時にはなんとも思わなかったんですか?
二見:ラフを見た時に「これはイカンですなぁ」と思ったんですが、とりあえずおもしろかったのでOKしました。沙織と言えばメガネですが、そうそう簡単に取ってしまうわけにはいかないじゃないですか。「そうなったら、どこかでインパクトを出さねばいけないな」という考えが頭の中にずっとあったんです。簡単に言うならキャストオ……いやまぁ、話題がそれましたね(笑)。
▲プロデューサー自らハレンチと表現する『妹めいかぁ』での沙織の衣装。 |
二見:質問は「妹にするなら?」でしたよね? 僕は桐乃です!
三木:本っ当にハードMですよね(笑)。
二見:僕、第7巻読んでいる時に本当に京介に共感しながら読んでいたんですよ。最後なんて「なんでそんなヤツを家に連れてくるんだよ!!」みたいな感じで。本当のところを言うと、第1巻の時は桐乃ってそこまで好きじゃなかったんです。でも、読み進むにつれてやっぱり兄貴である京介に感情移入してしまって。ですから、妹にするなら桐乃がいい。いや、いいというより“桐乃しかいない”んですね。これはプロデューサーというよりも、あくまで1人のファンとしての意見です。三木さんは?
三木:僕も桐乃ですね。
小原:みんなMばっかじゃないですか(全員笑)。
三木:桐乃って目が離せないんです。心配だからっていう意味もあるのかもしれませんが、とにかくヒロインとして無限の可能性を秘めているんですよ。ヒロインとしてはあり得ないような行動もできてしまうし、でもきちんとカワイイし。妥協しないところなんかもちょっとあこがれたりするくらいです。せめて家族でいたいと思うような、キャラクターですね。はい、次!
小原:僕は……あやせですね。特にゲームのあやせ。原作ではできないかもしれないような面まで見せてくれちゃいます。いろんな意味でシビれました。つまり僕が一番のMということかな(笑)。
(C)伏見つかさ/アスキー・メディアワークス/OIP
(C)2011 NBGI
※記事中のゲーム画像は開発中のものです。