2011年3月25日(金)

【電撃ゲームス】“ゲーム屋さんがえらんだ良作!”3月は『マックスウェル』

文:電撃オンライン

 全国のゲーム屋さんが毎月1本、販売本数10万本以上の大ヒットとはいかないものの、実際に遊んでみてこれはおもしろいというゲームを選ぶ“ゲーム屋さんがえらんだ良作!”。その3月の良作に選ばれたのが、KONAMIのDS用ソフト『ヒラメキパズル マックスウェルの不思議なノート』だ。

 今回は、ライター・田下広夢氏が『電撃ゲームス Vol.19』の“NO GAME, NO LIFE”のコーナーに寄稿した原稿を、電撃オンラインでも丸ごと掲載!

ゲーム屋さんがえらんだ良作 ゲーム屋さんがえらんだ良作

●ゲーム屋さんも、編集長も、触ったとたんに夢中になった

 『電撃ゲームス』で僕が連載させていただいている“ゲーム屋さんがえらんだ良作!”という企画があります。販売本数は10万本以下、でも“実際に遊んだらおもしろいぞ”とゲーム屋さんが探した良作を毎月1本紹介するコーナーです。これは毎月ゲーム屋さんたちが投票をして、それを参考に最後は選考会が開かれて1本を決定し、店頭でもコーナー展開をしています。そこで3月の良作に選ばれたのが『ヒラメキパズル マックスウェルの不思議なノート』でした。

 実は、最初投票に挙がってはいたものの、選考会では名前も知らない方も多くて、これっておもしろいのかと、あまりポジティブな感触ではありませんでした。しかし、どんなゲームかわからないから一度プレイしてみようと、その場でゲームを買いに走り、ちょっと触ったところで、その場にいる全員がゲームに釘づけになりました。プロのゲーム屋さんがですよ、ニンテンドーDSiの小さな画面をみんなでのぞき込んで、クリアするにはどうしたらいいのか、これを試したらどうか、次は自分に触らせてくれと、タッチペンの取り合いです。

 結局、満場一致で良作に決定。そして今度は、本誌の編集長と打ち合わせがあった機会にソフトを持って行きました。今度の良作はものすごくおもしろいゲームになったから、ちょっと触ってみてほしい。そうやって編集長までも虜(とりこ)にして、じっくりがっつり紹介しようとなったんです。

●書いた言葉がアイテムになるノート あなたなら、なんて書く?

 ゲーム屋さんも、編集長も、みんなが夢中になるゲームってどんなゲームか、気になりますよね? 画面はかわいいイラストタッチで、『スーパーマリオブラザーズ』のような感じの横スクロールのスタイル。ゲームはステージクリア型で、ステージ内のどこかにあるスターを手に入れればクリア。さまざまな仕掛けを使い、ワナを回避し、ときには敵をやっつけつつスターを探します。

 ここまでなら普通のアクションパズルですが、大事なのはタイトルにもある不思議なノートです。このゲームの一番の特徴がこのノートで、ゲーム中いつでもノートを開き、言葉を書き込むことができます。そして、書き込まれた言葉はアイテムになってゲーム中で使うことができるんです。たとえば、木の上にスターがあるとします。そのままでは届きません。画面には「スターをおとしましょう」というヒントが出ています。ノートに「ブーメラン」と書くと、画面にブーメランが出ます。これを主人公のマックスウェルに持たせれば、投げて使うことができますから、スターを落とすことができます。

 でも、ヒントにこだわる必要はないんです。発想を逆転させて、落とすのではなく登ってもいいと考えれば“はしご”を使ってもいいし、“トランポリン”でジャンプしたっていい。いっそ“ヘリコプター”と書いてしまえばどんなに高いところにあったってヘッチャラです。さらに頭を柔らかくして、“オノ”なら木の方を切ってスターを手に入れることができるでしょう。もっとおもしろい方法でクリアしようと思えば“にんげんたいほう”でサーカスのピエロをスターめがけてふっ飛ばすなんて方法すらあります。

 こんなゲームを目の前にしたら、誰だってタッチペンを握りしめて何か書いてみたくなりますよね。ゲーム屋さんたちもそうやって、一発で夢中になったんです。

ゲーム屋さんがえらんだ良作 ゲーム屋さんがえらんだ良作

●不思議なノートはなんと2万語収録 「かみさま」すらアイテムに

 こうなると、いったいどれだけの言葉が使えるのか気になりますよね。その数、なんと2万語以上。2万語というと、もう適当に言葉を入れても何かしら出てくるレベルです。むしろ出てこなさそうなものを書いてみたくもなります。まさか“かみさま”なんて出ないよね、と思って書いてみると、白髪にヒゲもじゃの男性が……。あのー、もしかして、あなたが神様? 敵が近づいてくるとなにやら電撃的な攻撃で倒していきます。おお、これが神の力か!

 これだけでも十分に驚きに値しますが、不思議なノートのすごいところはこんなもんじゃありません。出てきたアイテムは個別に使うこともできますが、組み合わせて使うこともできるんです。たとえば、“ヘリコプター”に“ロープ”をつないで、さらにその先に人やアイテムをつなげば輸送することができます。“ガスコンロ”の上に“にく”を置いてステーキを焼いたり。さらには、“ようじんぼう”に“こうせんじゅう”を持たせて戦わせるなんて使い方も。不思議なノートに言葉を書いてドキドキ、組み合わせを思いついてワクワク、試してうまくいくと、思わずニヤッとしちゃいます。

●同じステージを違う言葉で3回クリア “スコップ”と“シャベル”ともう1つは?

 この、なんでも出てくる不思議なノートを片手に、プレイヤーの想像力を駆使してステージをクリアしていくわけですが、さらにもう1つ、このゲームならではの仕掛けがあります。どのステージも、最初のプレイでは普通にスターを取ればクリアできるんですが、一度クリアすると“アドバンスモード”がプレイできるようになります。

 “アドバンスモード”では、同じステージを続けて3回クリアしなければいけません。そして、一度クリアに使った言葉は、次にクリアするときには使えなくなります。つまり、いろいろな言葉を使ってクリアしなければいけないというわけです。これがまた、おもしろいんですね。頭を柔軟にしなければ難しいステージもあり、たとえば穴を掘るのに、“スコップ”“シャベル”ときて、あと1つ何を出そうか悩むわけです。そして最後の1つを思いついて試す瞬間が、またすごく楽しいんですね。

●クリアしたいんじゃなくて遊びたくなるゲーム

 かわいいイラストの画面と、アイデア勝負な印象で、ボリュームを心配する人もいるかもしれませんが、ステージは200以上もあり、むしろガッツリ遊べます。それに、プレイするとすぐに気持ちがわかりますが、簡単にクリアできることがわかっても、わざとまだ使ったことのない言葉を書き込んだり、たくさんのアイテムを組み合わせておもしろいことが起きないか実験したりと、とにかくいろいろとやりたくなるんです。クリアしたいという気持ちよりも、もっとおもしろく遊びたいという気持ちが出てきます。敵兵士の持つライフルを“みずでっぽう”に取り替えたり、“タイムマシン”に乗ってみたり、“りゅう”と“ドラゴン”を対決させてみたり。とにかく、あらゆるおもしろそうなことを試して遊びたくなります。「え? そんなことできるの?」と思ったあなた、ここから先はぜひあなた自身の手で、試してみてください。



実際の販売店での“良作ゲーム”コーナー例

 販売店での展開の一例。各お店の写真は2月の良作『ぞんびだいすき』(DS)の店頭展開のもの。

ゲーム屋さんがえらんだ良作 ゲーム屋さんがえらんだ良作
▲【京都府/わんぱく一乗寺店】実はわりと小さなスペースなんですが、すごく手が入っていて、楽しげなコーナーに。 ▲【愛知県/お宝創庫 鳴海店】大きなゾンビがバーンとお出迎え。よく見ると、小さなゾンビもビックリするぐらいたくさんいます。このゾロゾロ感が『ぞんびだいすき』っぽさをかもしだしてます。
ゲーム屋さんがえらんだ良作 ゲーム屋さんがえらんだ良作
▲【神奈川県/TVパニック 鶴見駅前店】写真ではわかりにくいんですが、よーく見ると、ぞんびさんたちが、ぞんび語的な何かでゲームを紹介してくれています。 ▲【岡山県/メディオ! 沖新店】右側が、正しいパッケージですね。左側はというと、なんと店長さんをモチーフにしたパロディパッケージ。こういうことをしてくれるお店って楽しそうでいいですよね。


『電撃ゲームス』

毎月の“ゲーム屋さんがえらんだ良作”タイトルは『電撃ゲームス』ゲームス データスコープ コーナーで連載中!


データ

▼『電撃ゲームス Vol.19』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2011年3月24日
■価格:650円(税込)
 
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