2011年5月27日(金)
――トラというキャラクターを作る上で意識したことはありますか?
松本:破天荒な教師が活躍するゲームにしたかったので、破天荒にすることには気を遣いました。普通の教師だったらしないことをいかに盛り込むか。自分の生徒に当たり屋を進めるなんてありえないじゃないですか? そういう無茶を入れ込むのに苦労しました。あとは、「こういう生徒いるよね」という点を見せることは意識しました。
寺澤:今までに見たこともない生徒ではなく、わかりやすい生徒、「あるある」って思ってもらえるキャラ作りですね。王道のストーリーが展開するので、キャラについても王道になるようにこだわっています。
――キャラクターのモデリングを作っていく上で苦労したことは?
松本:ビジュアルのクオリティを、いいものにしようと考えていました。ポリゴン数がすごく多いために、画面内に人数をあまり出せなくなってしまうくらいでした。そこは、カメラを固定にすることで対応しています。
――PSPのポリゴンキャラが鼻をほじるというのをこれまでに見たことがなく、驚きましたね。
松本:トラと教頭がしますよね。PSPの描写レベルだと、普通は手の指は5本が固まった状態が多いのですが、『ガチトラ!』の場合は指を動かせるようにしたので、鼻をほじることができるんです。
――あの1つのアクションで、キャラクターがより際立つという印象を受けました。
松本:キャラの動きにはかなりこだわっています。表情をコロコロ変えるのも、個性を出すための手法ですね。特にトラはかなり表情が豊か。本当は全キャラやりたかったのですが、手間がかかるので今回はトラだけにしました。目だけでも演技できるくらいのレベルを心がけて、怒っている時は黒目が小さくなるとか、そんなところまで作り込んでます。
――キャラクターの中では、嵐山先生はすごいキャラだと感じました。
寺澤:僕は嵐山は「絶対にストーリーの演出上、死んだ方がいい」って言い続けていたんですよ。プレイしていると、後半はみなさんきっと嵐山に愛着が湧いてくると思うので、そういうキャラが亡くなることで、プレイヤーの感情を揺さぶりたかったんですが……なんでそうしなかったんだっけ?
松本:嵐山先生が死んだ悲しみを後半で回収できなくて、ハッピーエンドにならなくなってしまうということで死なないようにしました。最初は組長が死ぬ予定だったんですが、シナリオを作っていく上で、だんだんかわいらしいキャラになってしまったんでやめました(笑)。
――TVに出ているアイドルの結衣ちゃんに合いの手を入れたり、出ていくトラに「車に気をつけていけよ」と声をかけたり、細かいところに目が届く組長という印象でしたね。
松本:トラがその後、マップを歩いていると組長からメールが来て、それを見ると件名が「組長です」って書いてあるんですよ。それもまたカワイイですよね(笑)。そんな愛おしさもあって、殺してしまったらハッピーエンドにもっていけなくなるので、嵐山先生に“死亡フラグ”を立てようと思ったんですが……結局それも流れました。
――組長や嵐山先生が最初死ぬ予定だったのには、驚きました。保健の小峰先生が“ものすごかった”んですが、あれは誰の趣味だったのでしょうか?
松本:すごい色気ですよね? あれは寺澤の趣味……。
寺澤:いや、違う! 小峰先生は違うよ!!
松本:あれ、そうでしたっけ? でも「胸をもっとでかく!」と指示してましたよ(笑)。
寺澤:ああ、それは言ったな(笑)。でも、ヘソを出させたのはスタジオ斬さんの方だったよ。それをみんなが「いいよ、いいよ」って言ったので、「やりすぎだと思ったけど、じゃあそれでいいや」って。
松本:なんとなく「保健の先生ってエロい」っていうイメージがあるじゃないですか? そんなわかりやすさをちょっと大げさにした感じですね。
――『428 ~封鎖された渋谷で~(以下、428)』に登場した御法川実の妹である、御法川ミドリを登場させたのはなぜですか?
寺澤:キャラクター設定を作っている時に、ジャーナリストという設定のキャラが出てきたんですが、ちょうどその時に、僕がPSP版『428』をクリアしたころだったんです。評判がいいことは聞いていたんですが遊べていなくて、弊社がPSP版の販売をしたタイミングでプレイしたら、ものすごくおもしろかった。それでジャーナリストで女の子なら、「御法川を何か絡められないかな」と思って、当時チュンソフトに所属していたイシイジロウディレクターに連絡をとりました。
――そうだったんですね。
寺澤:「御法川の妹という設定のキャラを出したいんだけど、いいですか?」と聞いてみたところ、快く承諾してもらいました。何か要望があるかと思ったら、「好きに作っていいので、楽しみにしているよ!」と言ってもらったので、採用しました。それで、トラが御法川実がやるようにビシっというポーズをとるとミドリが嫌がるとか、『428』をやっている人にはちょっとですが喜んでもらえるキャラになったんじゃないかなと思います。
松本:ジャーナリストという設定のキャラが出てくることは決まっていたので、その設定が御法川実の妹ということになっても、もともと考えていた名前や設定を変えるだけで済みました。他には、街の人の会話をちょっと変更しました。
――好きなキャラ、思い入れのあるキャラを教えてください。
松本:僕はトラですね。理想としている男性像です。これくらいはっちゃけてても、まっすぐに生きられたらカッコいいだろうと思ったので、彼に悩みを相談したいくらいに好きですね。
――生徒では?
松本:結衣ちゃんもかわいいけど、あんまり積極的ではない子が好きなので、萌ちゃんかな。男の子は……普通ですね(笑)。
寺澤:僕はやっぱり御法川ミドリですね。本当はサブストーリーとしてクローズアップする展開もしたかったくらいなんですが、今回はさすがにできませんでした。もし機会があれば、たとえばミドリを主人公にしたゲームを作りたいくらい、魅力的な女の子になっています。彼女と藤岡のやりとりには、学園ものでありながら、そこに留まらない世界観を作ることが出来ているので、よかったと思います。
――生徒では誰ですか?
寺澤:やっぱり結衣ちゃんか萌ちゃんかなぁ、カワイイから(笑)。
松本:スタジオ斬さんの中では圧倒的に結衣ちゃんなんですよね。女性キャラのモデルは、カワイくなるまで相当直してもらったので、思い入れが強いみたいです。
寺澤:何度もリテイクを出したので、「具体的に教えてください!」と言われて、上がってきたものをこちらで修正して指示を出したことを覚えています。
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