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2011年6月17日(金)

少年よ、LBXを駆る勇者となれ――『ダンボール戦機』の世界とは?【レポ前編】

文:電撃オンライン

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■TVアニメとシームレスにつながる物語

 1人用のストーリーモードでは、LBXを愛する少年・山野バンを主人公に、LBXを操る子どもたちと、LBXを使って世界を混乱に陥れようとする悪の組織との戦いが描かれていく。

 序盤の展開を見るかぎり、物語は基本的に、現在テレビ東京系で放送中のTVアニメとほとんど同じ。謎の女性からある日、見たこともないLBXを受け取ったバンは、やがて世界を揺るがすほどの巨大な秘密が、そのLBXに隠されていることを知る――。個人的には“主人公マシンがチート性能”という点だけがちょっと引っかかったものの、総じてレベルファイブらしい“王道&壮大”なシナリオには好感を持った。こういう“勢い”のある物語というのは、それだけで人を惹きつけるものだ。

『ダンボール戦機』
▲はたしてバンの持つLBXを狙い、次々と襲いかかってくる刺客たち。世界の命運を握るというその秘密とは一体……?

 アニメとの連動という点では、商店街や学校といった“フィールド”の完成度も光った。アニメに出てきた場所がゲームでもしっかり再現されていたり、逆にアニメを見ていて「あ、ここってゲームのあそこだな」と感じたりすることも多く、かなり細部にわたってデータを共有していることがうかがえる。これは企画当初からアニメとの同時展開を進めてきた本作ならではで、ゲームとアニメの世界をシームレスにつなぐという点では、今までのどのゲームよりも成功しているのではと思う。

 この手のコンテンツでは今まで、アニメはアニメ、ゲームはゲームといった具合に、それぞれ独立した世界を持っていることが多かった。しかし本作のように、両方がまったく同じ世界と物語を共有していて、好きな時にプレイヤーがそこへ“入り込む”ことができる、というアプローチは新しい。

『ダンボール戦機』 『ダンボール戦機』
▲アニメでもおなじみの“キタジマ模型店”の店内。見たことがある場所や人物が出てくるのはやっぱりうれしい。▲もちろん、アニメの登場人物たちと実際にバトルすることも可能だ。どれくらいの強さなのか、戦って試してみる?

■まぎれもない“ホンモノ”のLBXがここにある

 遊んでいて驚いたのは、今まではアニメの中にしか存在しなかったはずのLBXという架空のカルチャーに、自分でも気付かないうちにどっぷりとハマっていたこと。

 もちろん、現実にはLBXなんてオモチャは存在しない。でもちょっと見方を変えて、このPSP版『ダンボール戦機』の中にこそ、ホンモノのLBXが存在しているんだと考えたらどうだろう? ゲームの中に登場するLBXは、本来の設定と同じように、生き生きとダンボールの戦場の中を駆け回っている。プラモ屋でパーツを買って、好きなように組み替えてカスタマイズすることもできる。ゲームを立ち上げれば、そこにはアニメとまったく同じミソラタウンと、アニメとまったく同じ登場人物たちがいて、話しかければいつでも「対戦しようぜ!」と言ってくる。これをホンモノだと言わずして、何をホンモノだと言ったらいいんだ?

 LBXという架空のオモチャを作り上げるだけでなく、それを取り巻く社会、人、現象といったすべてのものを再現し、ゲームの中に“LBXカルチャー”を丸ごと詰め込む。架空のオモチャであるLBXが、まるでそこに存在しているかのような存在感。それこそがこの『ダンボール戦機』の、最大の魅力なのだろう。

『ダンボール戦機』 『ダンボール戦機』
『ダンボール戦機』 『ダンボール戦機』
▲ゲームの舞台となる街・ミソラタウン。遊んでいるうちに、やがて自分が『ダンボール戦機』の世界の住人になったような気分になってくる。

 今回のプレイレポートでは、まだソフト発売直後ということで、あくまでシングルプレイの部分のみにスポットをあててみた。ご存じのとおり、本作には他のプレイヤーとの協力や対戦といった“通信”の要素も搭載されている。ソフトが発売され、もしも今後みんなが、自分で育てたLBXを学校や商店街へと持ち出すようになったら……。

 レポートの後編は、6月24日に公開予定。それまでには“対戦”や“協力”の部分も体験できていると思うので、次回はそうした“他の人と遊ぶ”の部分にスポットを当てて紹介していきたい。

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