2011年7月7日(木)
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――『アイマス』は何年もやっているがゆえに、新規層にとっては少しハードルが高い印象がありますよね。
ファンがみんなで作り上げてきて「『アイマス』は自分たちも参加して作っている」みたいな自負があるのはいいことだと思います。それゆえに「今さら入るのはなぁ」と新しい人たちに思われてしまうのは、とてももったいないですよね。アニメは誰でも気軽に見られるものなので、そういう新しい人の入り口になれればと思います。
やっぱりゲームって、苦手な人は苦手なメディアだし、おもしろさを感じる前に終わってしまう可能性があるんですよ。逆にアニメは、ゲームほど1人のアイドルと会話できないので、アニメで気に入った子がいれば、ゲームで徹底的に掘り下げてもらえればと思います。アニメだけで世界観を閉じたいわけじゃなくて、そういうゲームや、『ぷちます!』みたいなものとか、いろんな可能性があっていいと思うんです。
――『アイマス』ファンに、どのような印象をお持ちですか?
僕自身も皆さんと同じで、今後の『アイマス』にこうなってほしいとか、アイドルをしっかりアニメで描いてあげたいとか、願いは共有できていると思うんです。最初は「このファンのエネルギッシュな想いを背負うのか……」と思っていたんですけど、背負うんじゃなくて、ファンの1人としてやっていけたらと考えています。
あと、ライブに足を運ぶようになったのは最近ですが、あの一体感はなかなか味わえないものですよね。強制したわけじゃないのに、ちゃんとみんなの色のサイリウムを持っていく。そういう優しさも含めて、家族的なつながりがあるんだと思いますね。そこも含めて、すごい紳士という印象。他の人へのやっかみなども少なくて「アレもいいけど、コレもいいよね」みたいな。それが最近は少し変わりつつあると思うので、もう1回アニメでなんとかできるといいなと思っています。
――これだけキャラが登場するコンテンツだと「オレが好きなのは◯◯ちゃんだけだ!」みたいになってしまいがちですが、わりと『アイマス』はそういう人が少ないと思います。
そうですね。基本『アイマス』全体を愛しているんだと思うんですよね。このキャラだけ、ではなくて。アニメも、765プロを1つの家族のようなものとして、全員をきっちり描くことを気づかっています。もちろん各々を掘り下げることはあっても、基本は765プロの話になっていると思いますよ。
――アイドルたちの衣装などは毎回変わりますか。
これが大変で、何か1つを変えようとすると人数分増えていくので。『アイマス』が大変なのは、この“量”の部分もあります。ただ、できる限りみんなを平等に見せてあげたいと思うんです。物語についても同じで、そう考えていると尺も大変なことになってしまいます。
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――私服を1つデザインするのも、その子のセンスなどを考えないといけませんよね。
一応そういう“その子らしさ”には従って作っています。ただ、今はそれを少し壊せるといいなと思っていて。どうしてもイメージカラーがあって、服装の系統が印象づいているので。スタートはそこに従いつつも、いつまで経っても「この子はこの色のこんな服ばかり」となってしまうとかわいそうなので。うまく“外し”を入れつつ、みんなのバランスを取るというのが難しいです。「今日のこの子はこの色だから、今度はこの子と色がかぶるから……じゃあこの子は色を変えるか」みたいな、パズル的な組み換えが多いです。
――聞いているだけで頭が痛くなります……。
でもやっぱり、女の子にいろんな服を着せるのは楽しいですよ。今回は総作画監督の飯塚晴子さんにも一緒に考えてもらっています。シリーズ演出の高雄統子さんとも「これは春香っぽいよねー」みたいにああだこうだ言いつつ、絞り込んでいる感じですね。なんでもファッション誌を見て描けばカワイイというものではないので。オシャレになりすぎても、このキャラじゃないよねっていうパターンもあるんです。
――日常の部分も描かれますからね。でも、服装のバリエーションに期待している人も多いと思いますよ。
またプレッシャーが(笑)。あくまで等身大の女の子たちだと思うので、やっぱり歳なりにっていうのと、そのアイドルなりに、という服装を心がけて作っています。でも、やっぱり制作スタート時は少し悩んだんですよ。ゲームもそうだったから、同じ服を着たきりでいいんじゃないかって。でもお話を、地に足つけようと思うと、生活している感じを出さないといけなかったんです。
――とにかくキャラが多いのが大変な作品ですね。
そうですね、中途半端にはできないんですよ。全員出るときは全員、みたいな。1人2人だけ出ないっていうことはあり得ないので。とはいえ、毎回全員が出る話を作るのも大変なので、うまくバランスを考えつつやっています。
――キャラクターの組み合わせも無数にありますよね。
一応、仲がいいとか、組ませやすい関係があるので、そこを中心として、逆にイレギュラーではないけれど「この子とこの子が一緒にいたらどんな会話をするのかな?」とか、そういう組み合わせも意図的に描いています。やっぱりグループができすぎると、おもしろくないなって思って。
――アニメ発祥で、新しいお約束の組み合わせができると、おもしろいですよね。ちなみに、監督お気に入りの組み合わせはありますか?
わりと雪歩&真とか、春香&千早とか、お決まりなところは百合っぽい感じもあって好きですね。貴音&響も『アイマスSP』からの組み合わせのよさというか、静と動みたいな感じで楽しいです。貴音&亜美・真美みたいな、会話が会話になっていないようなエキセントリックな感じもお気に入りです。
『アイマス』はキャラ同士の呼び方も個性的で、千早は年下のやよいのことを「高槻さん」と呼ぶんですが、年上の律子のことは「律子」と呼んでいるんです。最初は「なんでかな?」と思うかもしれませんが、キャラを掘り下げていくと、なんとなくわかってくるんですよね。呼び方1つとっても距離感や関係性が感じられるので、アニメでもそういう細かな部分を生かしたいと考えています。
――意外とそういう部分のチェックが大変ですよね。
そうなんです。最近では、響の「だぞ」の使い方が難しいですね。だんだん減っているかも。貴音も難しくて、古い言葉を入れればいいってわけじゃないんですよね。このあたりの話もバンダイナムコゲームスさんに確認してもらっていて、雪歩とかもセリフではないんですけど「もっと【…】が多いんです」みたいな直しをいただいたり(苦笑)。千早も「【…】を増やして、ちょっとタメがあるようにしてほしい」とか。あと、伊織の「にひひっ」の後ろには必ず“♪”を付けてほしいとかですね。実際は発音する部分ではないので文字上の問題なんですけど、そのあたりからも「魂を入れたい」というこだわりを感じるので、尊重しています。
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――キャラとシナリオの関係についてですが、たとえば貴音などは物語を作るのが難しそうなイメージがあります。
その難しい部分を逆手にとって作れていると思います。どういう話になっているかは楽しみにしていてください。アイドルがちゃんと生き生きしていれば、それはちゃんとした話になると思います。キャラを生かしながら多彩な話を描いているので、それぞれを楽しんでほしいですね。各キャラを掘り下げつつ、群像劇的に765プロがどうなっていくか、という構成にしているので。あとは、アイドルがアニメで成長しきってしまうと、そこで『アイマス』自体が終わりになってしまうと思っていて。だからアニメが終わった後にも、ちゃんと『アイマス』を続けられるような仕組みにはしています。
――小鳥さんはどんな風に活躍してくれますか?
役割がはっきりしていて、とても使いやすいキャラですね。小鳥さんは若干イジりやすいので、ネタ的な場面でもおもしろくできますし。妄想ネタとか。
(C)NBGI/PROJECT iM@S
■TVアニメ『アイドルマスター』
【放送局】TBS、MBS、CBC、RKB、BS-TBS
【放送日時】
・TBS……2011年7月7日より木曜25:25(翌1:25)~ (※初回放送は26:10~)
・MBS……2011年7月14日より木曜26:40(翌2:40)~
・CBC……2011年7月14日より木曜26:00(翌2:00)~
・RKB……2011年7月19日より火曜26:25(翌2:25)~
・BS-TBS……2011年7月30日より土曜25:00(翌1:00)~
【スタッフ】(※敬称略)
原作:バンダイナムコゲームス
キャラクター原案:窪岡俊之
監督・キャラクターデザイン:錦織敦史
シリーズ構成:待田堂子・錦織敦史
シリーズ演出:高雄統子
総作画監督:飯塚晴子・髙田 晃
色彩設計:中島和子
美術監督:薄井久代
撮影監督:那須信司
音響監督:菊田浩巳
音楽:高田龍一(MONACA)
音楽プロデューサー:中川浩二(NBGI)
編集:三嶋章紀
制作:A-1 Pictures
オープニングテーマ:『READY!!』 歌:765PRO ALLSTARS 作詞:yura 作曲・編曲:神前暁(MONACA)
【キャスト】(※敬称略)
天海春香役:中村繪里子
星井美希役:長谷川明子
如月千早役:今井麻美
高槻やよい役:仁後真耶子
萩原雪歩役:浅倉杏美
菊地真役:平田宏美
双海亜美・双海真美役:下田麻美
水瀬伊織役:釘宮理恵
三浦あずさ役:たかはし智秋
四条貴音役:原由実
我那覇響役:沼倉愛美
秋月律子役:若林直美
音無小鳥役:滝田樹里
他