2011年7月15日(金)
7月7日よりApp Storeに配信されている、SNKプレイモアのiOS用FTG『THE KING OF FIGHTERS-i(以下、KOF-i)』。本作を手がけた開発スタッフにインタビューを行った。
『KOF-i』は、高い人気を誇る2D対戦格闘ゲーム『ザ・キング・オブ・ファイターズ(KOF)』シリーズをiPhone/iPod touchで遊べるアプリケーション。タッチ操作で簡単に必殺技やコンボが決められる上、チュートリアルやトレーニングモードが充実しており、初心者も手軽に対戦が楽しめる。Game Centerに対応しており、エンドレスモードのランキングや実績のクリア度合いを、他のプレイヤーと競うことが可能だ。
キャラクターは随時追加される予定で、10月までに総勢20キャラクターになる。あわせて、ステージも追加されることが発表されている。
▲5つのボタンを使い、人気の格闘ゲームを味わえる『KOF-i』。条件を満たしている時に、パワーゲージやアイコンをタップすると対応した超必殺技/NEO MAX超必殺技が発動する。 |
今回、開発秘話を語ってくれたのは、プロデューサーの山本圭さん。開発に至った経緯や苦労した点、キャラクターの選定理由など、さまざまなことを語っていただいた。ぜひご覧いただきたい。
山本プロデューサー:近年では、アーケード版『KOF XIII』でゲームデザインディレクターを務めた。現在は『KOF-i』のプロデューサーをしつつ、家庭用『KOF XIII』の開発に携わっているという。
――開発に至った経緯を教えてもらえますか?
もともと「もっと手軽に『KOF』をプレイできればいいな」という考えがありました。より具体的になったのは、日本だけでなく海外でも知名度のある『KOF』シリーズというコンテンツを、もっと知ってもらえるプラットフォームを考えた時ですね。デバイスとして世界規模の市場を持つiPhoneはとても魅力的だったからです。「操作性がネックになるかも」と心配しておりましたが……いろいろ試行錯誤した結果、それもうまく乗り越えられたので、リリースに至りました。
――いつごろから開発がスタートしたのでしょうか?
構想自体は以前からありましたが、具体的に動いたのはiPhoneで『KOF』が動かせる目処が立ってからなので、比較的最近です。やることが決まったら、そのあとは早かったですね。
――『KOF-i』のコンセプトは?
iPhoneに特化した“新感覚『KOF』”です! それを提案したかったんです。従来の『KOF』シリーズの遊び方を残しつつも、iPhone/iPod touchならではのまったく新しい感覚で楽しんでいただけるタイトルに仕上がったと考えています。ちなみに専用ではありませんが、iPadとiPad2でも互換で動きます。
――開発するにあたって、気をつけたことはなんですか?
「iPhoneだから~」というネガティブな意味合いでの区別は可能な限りつけず、アーケードで遊んでいたプレイヤーが“KOFらしさ”を感じてくれるようなゲーム性を保つことです。ハードの特性上の変更点はありますが、遊び方はこれまでの『KOF』でいこうと決め、臨みました。
――タッチ操作を含め、バーチャルパッドの開発はどうでしたか?
感覚的な要素が大きいので、調整が難しかった部分ですね。どこに入力しているか、どこを押しているのかがわかりづらいので、センサーの感知範囲には本当に気を使いました。開発の合間には、押している場所がわかるような補助グッズがあればいいとか、そんな話で盛り上がったこともありました。
――ただ、その甲斐あってか、かなり操作性はいいと感じました。他にも苦労した点はありましたか?
「iPhoneで本当に『KOF』ができるのか?」というところからのスタートなので、苦労というよりは“チャレンジした”という気持ちが強いですね。ただ、ハード特性の違いにより、技性能が変わってしまうことが多々あったので、その調整にはかなり気を使いました。
――今回、iPhone用の新たな『KOF』ではなく、最新作『KOF XIII』の移植に近い形でのリメイクにしたのはなぜでしょう?
いろいろと理由はありますが開発視点でお答えしますと、iPhoneに特化するのではなく最新の『KOF』の雰囲気をより多くの人に体験してもらいたかったのと、『KOF XIII』の可能性をアーケードからのプレイヤーに感じてもらいたかったからです。
――なぜこのタイミングで配信されたのですか?
夏の『KOF』というイメージを、ちょっとよみがえらせたいな、と思いました!
――確かに、夏といえば『KOF』という印象が以前はありました。次に最初に操作できる14キャラクターの選択理由について、教えてください。
ファイトスタイル、人気、チームとしてのバランスなどからです。「大事なところが抜けているのでは?」という意見もあると思いますが、追加によるお楽しみということを考えました。
――ビリー・カーンをいち早く遊べるようにしたのは、家庭用を楽しみにしているファンへのアプローチでしょうか?
結果的にそういうことになりました。いち早く遊べるので、ぜひビリーはプレイしていただきたいです。……実際に家庭用が出ると、操作感とかはずいぶん違うでしょうが。開発はアーケード版のスタッフもかかわっておりますが、『KOF-i』のために新しいスタッフでチームを作りましたので、iPhoneチームと家庭用チームとで、競争しているような開発状況でした。
――トレーニングモードがあり、必殺技も簡易入力できるというのは、格闘ゲームの初心者を意識した結果ですか?
そうですね。『KOF-i』では、これまで格闘ゲームをプレイしたことのないプレイヤーも想定しているので、トレーニングモードと簡易コマンドは必須と考えていました。やってみると、独特の入力方式なので、慣れたプレイヤーでも簡易コマンドのお世話になることが多いという結果になりました。また、コンボの流れがこれまでと異なるので、コンボトレーニングも非常に役立つものになっていると思います。
――900円という値段設定はどのようにして決めたのでしょう?
うーん……いろいろ協議した結果なんですが、結構内容は充実しているのでお買い得だと思います。
――実際に配信され、ユーザーからの手ごたえや反響は?
開発している側としては自信を持って出しましたが、やはり不安感もありました。配信後は、想像以上に反響があって、うれしい限りです。
――早くもアップデートすることが発表されていますが、20キャラクターになった後、さらに追加する予定はないのでしょうか?
皆さまの反響次第……ということになると思います。私としては、いくらでも増やしたいという気持ちはあります!
――豊富なカラーがアーケード版では話題になりました。現在、ローズショップで買えるものもありますが、カラーが追加されることはないのでしょうか?
こちらも要望が多いようでしたら、検討していきたいと思います。
――なるほど。Wi-Fi対戦を追加する予定は?
未定ですし、可能性としてはまだ何とも言えませんが、検討が必要な技術だと思います。
――では最後にアピールを含めて、読者へメッセージをお願いします。
アーケードをはじめ、他のプラットフォームで『KOF』を楽しんでこられた方には、新しい『KOF』としてぜひプレイしてみていただきたいです。これまで『KOF』を遊んだことのない方には、iPhoneの新しい可能性にチャレンジしたゲームとして『KOF-i』を試していただきたいと思います。
それから、トレカの中には、かなりプレミアムな描き下ろしトレカもあります。ぜひゲームをどんどんやりこんでローズショップでお求めください。なかなかカードがそろわないようでしたら、Bluetoothによるトレードもできますので、友だちとコンプリートを目指してください。どうぞよろしくお願いします!
(C)SNK PLAYMORE
※『ザ・キング・オブ・ファイターズ』は株式会社SNKプレイモアの登録商標です。
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