2011年11月24日(木)
――ちなみに、Twitter上でどの機種にしようか迷っている、というような発言をされていましたが、どの機種で迷っていたのですか?
いろいろなハードで迷っていましたね。たぶん、ご想像におまかせしつつも、その想像通りのハードで迷っていました。
――“名前に3が付くハード”という発言の時にも、まだ迷っていたのですか?
ユーザーから「決まっているのに、出し惜しみしてるんじゃないの?」と結構言われていましたが、本当に決まっていなかったんです。ほん……っとうに、決まっていなかったんです!(笑)
――お、大事なことなので(略)
で、ハードが本当に決まった状態になって、閉じていた公式サイトを公開しました。震災のこともあり、どうなるかわからない時期もありましたが、あの時も“ハードをどうするのか?”というのが1つの課題でした。どうやったら発売できるだろうかと大変難しく考えていましたね。
――やはり規制が入ってしまうと、大事な緊迫感が薄れてしまいますからね。
書き換えたり隠したりしてしまうと、この作品を発売する意義がかなり失われてしまうんですよ。「じゃあ、そもそもこんな企画にしなければよかったじゃないか」となってしまいますから。
――『シークレットゲーム -KILLER QUEEN-(以下、シークレットゲーム)』の時も、かなり規制が入ったんじゃないかと思いながら、プレイをしていました。
そうですね。でも、あの時はSCEの担当者様がかなり作品に対して理解をしてくださいました。もちろん、直した部分はあります。『キラークイーン』から『シークレットゲーム』にリメイクする過程でシナリオは全部書き直しながら、さらにそこから手直しをしたのですが、あの状態で発売できたことにとても感謝をしています。
僕の経験則的には、あの作品の内容は発売困難だったと思います。だって、殺し合いをするゲームですからね。もっともっと規制がかかっておかしくない状態でした。話はそれてしまいますが、『シークレットゲーム』では“生き残るために人を殺めてもいい”という考えを持った人間は、必ずひどい目にあってしまうんです。そんな因果応報がありつつ、主人公の活躍はまったく違うベクトルに向かっているんだ、というところを強く強く描きました。あの作品は人間賛歌なんですよ。
そういったことを訴え続けていたら、作品を読んだSCEの方も「これなら、この作品を発売する意義がありますね」と理解してくださいました。
――『ルートダブル』Aルートの主人公・笠鷺渡瀬も、記憶を失っていながら「絶対に全員を助ける!」という強い思いを持っていますね。
▲笠鷺渡瀬 |
レスキュー隊の本能みたいなものもありますよね。何も知らないし、自分が誰かもわからないし、周りの人間もどんなやつかわからない。それでも、とにかく助けるんだと、助けなきゃだめだろうと行動します。もはやロジックではないんです。自分がどんなに危機的状況に追い詰められ、体が傷つき、もう打つ手がないところまできても、最後まで諦めない不屈の闘志を持っています。
――Aルートを読んで思いましたが、渡瀬はとても人気が出そうなキャラクターですよね。
僕もそう思います。Aルートの渡瀬はスーパーヒーローにしたかったんです。過去作品の中から、“こんな方向性の主人公に”と月島さんに参考にしてもらったのは『Ever17 -the out of infinity-』の倉成武なんです。彼は「男の中の男だ」と多くのユーザーからご支持をいただきました。危機的状況の中、自分ではなくまず他人、そしてどんなことがあっても諦めないところに感動を覚えるんだと思います。そこに「俺もそうなりたい!」と自分を重ねるんです。
――3回に分けて行ったキャストのインタビュー企画でも、女性陣の多くが「隊長が気になる」とコメントしていました。
すごくカッコいいんですよ。もちろん人間なので、時には絶望したり、葛藤したり、疑心暗鬼になったり、いろいろと迷ったり立ち止まったりするんですが、最後は立ち上がって前に進んでいくんです。
なので、エンディングまでの渡瀬の頑張りに注目してほしいです。皆さんが「どう考えてももう無理だ」「諦めるしかない」と思ったところで、彼が何を決断するのか、というところが1つの見どころです。
――では中澤さんの中でも、一番好きなキャラは渡瀬ですか?
みんな好きですが、渡瀬はとても好きです。
――プロットを読ませていただいた印象だと、サリュも人気が出そうなキャラクターですね。
▲サリュ(本名:三ノ宮ルイーズ優衣(さんのみや るいーず ゆい)) |
サリュは……かわいいんですよ(笑)。ビジュアルもいいですし、真堂圭さんのお芝居でもサリュのかわいさを感じていただけると思います。こういうことを言うと贔屓(ひいき)をしているみたいなので、サリュ“も”好きだと前置きしておきますが、収録現場ではサリュの人気がものすごく高かったんです。
他のキャラクターの収録をしていて、サリュが絡んでくるとサリュの受け答えを頭の中で想像するんです。それで収録スタッフみんなそろって「サリュはかわいいねぇ」と……おいおいという感じなんですが(笑)。
――サリュは話し方も特徴的ですね。
言葉少なめにというか、短いセンテンスでしか話さないとても不器用な女の子です。とても不器用ではあるんですが、作品の中では非常に強いキャラですね。
――護身術を習得しているんですよね。
その通りです。そのままの意味でとても強くて、彼女いわく「夏彦のボディガードに来た」と。なんでこんな年下の子どもが? と思うかもしれませんが、どう活躍するかは作品の中で語られると思います。
(C)イエティ/Regista
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