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2011年11月21日(月)

【電撃PS プレイインプレッション】PSP『俺の屍を越えてゆけ』――2つの呪いをかけられた一族の過酷な戦いが、再び幕を開ける

文:電撃PlayStation

 1999年にPSで発売され、独自のシステムと世界観で多くのユーザーに愛され続ける名作RPG『俺の屍を越えてゆけ(以下、俺屍)』。このPSP版は、そのリメイク作となります。

「そもそも『俺屍』って何?」という人のために、簡単なストーリー説明を。

 物語の舞台である京の都は、たび重なる鬼の襲撃に壊滅の危機を迎えています。主人公の両親は鬼の頭目・朱点童子を倒そうとしますが、だまし討ちにあって父は死亡、母は行方不明に……。そしてまだ赤ちゃんだった主人公は、復讐を恐れた朱点童子に2年ほどしか生きられない『短命』と、人間とのあいだに子孫を残せない『種絶』という2つの呪いをかけられてしまうのです。

 そんな主人公に救いの手を差し伸べてくれたのが、天界に住む神々。主人公一族は神様との間に子どもを残し、世代交代を繰り返しながら、呪いの元凶である朱点童子の討伐を目指すことになります!

 ゲームの基本は、2つあります。1つは敵やボスが待ち受けている迷宮を探索して、一族の能力を鍛えていくこと。2つめは交神の儀で子どもを残して、育てたキャラの能力を次世代に伝えていくこと。

 この2つを繰り返して、一族の能力を成長させていきます。これさえ押さえておけば、あとは好みの迷宮探索を延々と続けたり、好きな神様とだけ交神したりしてもOK。目的はありますが“何をしなければいけない”というゲームではないので、プレイヤーが好きなように行動が選べる自由度の高い作品です。まあ、最初から“キャラが2年で死ぬ”というたいへんな縛りがあったりするんですけどね。

俺の屍を越えてゆけ 俺の屍を越えてゆけ
▲主人公一族に起こった悲劇は、スタート画面の序章で確認できます。初めて『俺屍』をプレイするという人は、見ておくことをオススメします。 ▲ゲームは1カ月単位で進行。いつ交神するとか、どこの迷宮に探索に行くなどは自由に決めちゃってください。

 本作はリメイクということで、ストーリーや基本のシステムはオリジナル版と同じものになります。「それならアーカイブス版をPSPでやればいいや!」なんて思っている方も、もしかしたらいるかもしれません。しかし、それは甘い!! リメイク版では、オリジナル版のプレイで不便だった面が改良されているのです。

 例えばオリジナル版では移動は方向キーでしたが、本作ではアナログパットで操作できます。とてもスムーズに移動できて便利なのですが、PSPでアーカイブス版をプレイしていた人は操作に慣れるまで少し苦労するかもしれません。でも、すぐに慣れるレベルなのでご安心ください。

 また戦闘やエリア移動にかかるロード時間も短縮されとても快適なバトルや探索が楽しめるようになりました。ほかにも改良されている点がたくさんあり、オリジナル版とは違った印象を受けると思いますよ。

俺の屍を越えてゆけ 俺の屍を越えてゆけ
▲アナログパットで移動できるようになったぶん、アイテムの使用や状態確認など基本的なコマンドを方向キーで選択できるようになりました。 ▲グラフィックも、オリジナル版のよさを残した味のあるものに変わっています。

 そしてリメイク版の1番の魅力といえば、なんといっても新要素です。強力な技を複数人で出す『奥義の併せ』や、ほかのプレイヤーの一族との間に子孫が残せる『結魂(けっこん)』など、新たな楽しみを提供してくれそうなシステムが多数追加されました。

 個人的に熱いのは、鍛冶屋で作れる特注の刀とその成長要素。鍛冶屋で作った剣は、装備者が成長していくごとに攻撃力などがともに成長していきます。さらに子孫に形見として継承させることで、何代にも渡って刀の能力を上げていくことが可能。この刀を装備させた剣士をパーティに入れると、すさまじい活躍を見せてくれるのですよ。

 オリジナル版では万能ゆえに特筆した長所もなかった剣士ですが、この成長する刀の登場でかなり強力なキャラに変化してます。刀は複数本作れるので、何本か作ってお気に入りの1本を見つけるもよし、1本を極限まで育ててみるのもよし。いろいろな楽しみ方ができそうです。

「システムよりもキャラ重視!!」という方には、神様のレベルアップ要素がオススメ。同じ神様と何度も交神をすることで、神様のレベルが上がり、能力が成長していきます。神様の能力がぐんぐん上がっていくので、最後までお気に入りの相手と交神できちゃうんですよ。

 さらに何度も交神をすることで、神様の好感度が上がりセリフに変化が! 最初は素っ気ない態度の神様も、交神を繰り返すことでセリフがだんだん甘く親しげなものになっていくのです。このシステムでは、ちょっとした恋愛ゲームの気分が味わえますよ。

 しかも、相手はオリジナル版の108柱に加えて新神様も追加され、よりどりみどり! 間違いなく好みのタイプが見つかると思いますので、乙女ゲーマー、ギャルゲーマーのみなさまにもプレイしていただきたいです。 

俺の屍を越えてゆけ 俺の屍を越えてゆけ
▲『奥義の併せ』には、パーティに奥義を覚えた同じ職業の親子(+孫)を入れる必要があります。発動させるための条件は厳しいですが、ボスを一撃で倒せるほどの強力な技です。 ▲オリジナル版では神様とのあいだにしか子孫を残せませんでしたが、リメイク版では通信を利用し、呪われた一族同士、ほかのプレイヤーと子孫を残す『結魂』ができるように! 一族の長所を伸ばしたり、短所を補うのに使ってみてください。
俺の屍を越えてゆけ 俺の屍を越えてゆけ
▲特注の刀は強いですが、そのぶんお値段も高いです。注文した人間の能力が上がるほど値段も高くなるので、能力が低めの訓練期間中に作っておくことをオススメ。 ▲交神のセリフは、全部で4段階変化します。どんなセリフがあるかは、アナタの目で耳で確かめてください。

『俺屍』ファンには、懐かしく、また追加要素によって新鮮な気持ちで遊べる作品になっています。また12年前の作品のリメイク版ですが、『世代交代』という時代を問わないテーマと独自のシステムを持つ作品なので、初めてプレイするという人でも十分楽しめると思います。ぜひ、みなさまも『俺屍』で自分だけの家系図を作っていってください。

 ちなみに、初回プレイは本名でプレイすることを心からオススメしますよ。どうしてかは言えませんが、感動が違うとだけお伝えしておきます。(電撃PlayStation 担当ライター 長雨)

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