2011年12月14日(水)
今回はキャラクターデザインを担当した高村さんを中心に、『地獄の軍団』のキャラクターや世界観に関するお話を伺ってきました。デザインを行う際に意識した点や幻の初期デザイン案など、ここでしか見られない極秘情報もお届けします!
▲主人公は魔王で舞台は地獄という、ダークファンタジーの世界観はどのようにして生まれたのか? 開発スタッフインタビューで、その秘密に迫る! |
●柴 貴正 | ●丹沢 悠一 | ●高村 英彰 | ||
▲『地獄の軍団』のプロデューサーを務めたクリエイター。代表作は『ドラッグオンドラグーン』『ロード オブ ヴァーミリオン』など。 | ▲本作のディレクターを担当した開発スタッフ。最終的なゲームバランスの調整やアドバイスなど、開発現場でさまざまな調整作業を行った。 | ▲キャラクターデザインを中心に世界観の制作に携わったイラストレーター。今回のインタビューは、ご本人の希望によりゴブリンの姿で登場! |
――今回のインタビューでは、キャラクターデザインを担当された高村さんとご一緒に、イラストや世界観、キャラクターの部分についてお話を伺っていきます。最初に、高村さんを起用された経緯について教えてください。
柴 世界観を“地獄”にしようと考えていた時に高村さんのイラストが頭に浮かんだんです。高村さんとは『ロード オブ ヴァーミリオン』でも一緒に仕事をしたことがあったので、どういうテイストのイラストを描くのかもわかっていましたし、地獄っぽいイラストが似合うと思ったんですよ。
高村 柴さんからオファーを受けて内容を聞いたら、洋ゲーの方向性の少し濃いテイストのイラストを望んでいるということで、僕自身も「ああ、じゃあ僕ですよね」みたいな話になりまして。すぐにイメージボードに取りかかりました。
――最初に描き上げたイラストはどんな内容だったんですか?
高村 人間の兵士たちがサイクロプスのような巨大な生物と戦うイメージボードですね。この時点でもう、“軍団が大きな敵と戦うゲーム”というコンセプトは決まっていました。
柴 兵士たちがサイクロプスをとりかこんで戦っているようなイラストです。
高村 まだ明確に“地獄”というテーマは聞いていなかったんですが、それが最初に描いたイラストです。まさにそこから始まったという感じですね。
――それでは、どのような流れで地獄や魔王といった、今の『地獄の軍団』の世界観が固まっていったんでしょうか。
高村 地獄というテーマを受けて、それらしいキーワードを含んだイラストを何点か提出して、世界観をすり合わせていく感じでした。「ここの要素がいいよね」「じゃあ、そこを掘り下げましょうか」といった感じだったので、普段と比べて密なやりとりが多くて、サンプルの提出も多いプロジェクトだったと思います。それだけに背景に関しては何度もやりとりをして、ボツデザインも多かったですね。
――たくさんのやりとりを経て、今の地獄のイメージができあがったんですね。
高村 そうですね。後は世界観を練り上げていく1つのきっかけとして、主人公よりも先に、それを取り巻く群衆や軍団について話をした覚えがあります。そこで自分はゴブリンがいいなと思ったんですよ。子鬼というか、ちっちゃくてかわいらしいんだけど、やることは残忍な存在というイメージですね。
――ゴブリンの初期デザインはどんなテイストだったんですか?
高村 最初のコンセプトとしては、見た目はリアルなんだけどやっていることはコミカルという方向に寄せたいと考えていました。その後、もっと強くキャラ立ちをさせてほしいという話が出て、今の形に落ち着いていったんです。
▲ゴブリンの初期デザイン案。完成版よりも少し怖いイメージが強いかも? |
――3種類の兵種の色分けは、どのような流れで決まっていったんですか?
高村 最初は兵種での色分けがなかったんですよ。ちなみに当初は緑がメインカラーだったんですけど、最終的には黄色がメインになりました。
丹沢 最初はプレイヤー同士での色分けしかなかったんですよ。マルチプレイをする際に同じ色だと見分けがつかないから、Aさんのゴブリンは青で、Bさんのゴブリンは赤みたいな感じですね。だから、1人で遊ぶ時は一色だけになるのがさびしいねって話になりまして。ある日、試しにゴブリンを兵種ごとに色分けして3色にしてみたら、すごく楽しそうになって、「これだ!」と。
柴 ものすごくポップな感じでしたけどね。
丹沢 そうですね(笑)。印象がガラリと変わって、それまでとは結構違うゲームに見えるようになったのが採用の決め手になりました。ゲーム的にも、どの兵種がどれくらいいるのかが視認しやすくなって、よかったと思います。
▲黄が戦士、緑が槍兵、青が魔法使い。初期は緑が基本色だったという。 |
――戦士、槍兵、魔法使いの他に長老のようなゴブリンもいますが、すべて一緒にデザインを進めたのでしょうか。
柴 長老っぽいゴブリンは、かなり後ですね。
丹沢 “ゴブじい”のことですね。実はこのキャラクターは、ストーリーやゲームシステムの説明役が欲しいということで、開発の終盤に急きょ組み込まれたキャラクターなんです(笑)。
▲ゲーム中ではチュートリアルやストーリー進行の際に登場するゴブじい。他のゴブリンと比べて、存在感が強い。 |
高村 確かに急でした。いきなり、「じいさんを描いてください」って話が来て(笑)。最初はもう少しスマートな感じでデザインをしたんですが、今の形に調整していきました。ちなみに、設定画のつもりで提出したイラストがスキャンされてゲーム中で使われていて、あわてて「清書するから待って!」って連絡をしました(笑)。
丹沢 それだけドタバタしていた時期だったということですね(笑)。
▲ゴブじいの設定画。設定画では杖までしっかりデザインされているが、残念ながらゲーム中ではほとんど出てこない。 |
――ちなみに魔王やゴブリンの装備品はグラフィックにも影響しますが、それらも高村さんがデザインされたのでしょうか?
高村 はい。最初の段階で、着せ替えのような拡張性があるデザインにしてほしいという要望がありましたから。初期はゴブリンが素っ裸で戦っていたりして、「なんか着せないの?」って話をしていたぐらいですね(笑)。なので、素っ裸の状態でも、どこかに装備品をつけることでも、どちらでも成立するようなデザインを意識しました。魔王とかも、頭の装備を変えたら角のデザインが変わるということを前提にして考えてデザインをしましたね。「頭部や角が変わると、キャラクターの見え方が大きく変わりますよね」なんて話をして、それが可能なデザインに落ち着かせたつもりです。
――開発スタッフオススメのユニークな装備品はありますか?
柴 まだ明かせませんけど、いろいろとビックリするようなデザインのものがあります。
丹沢 隠し要素として、いろいろと用意しています。ゴブリン用のかわいいやつとか(笑)。
――それは楽しみです。魔王のマントが白く変わるだけでも、かなりインパクトがありましたから。
丹沢 魔王のマントも、ちょっと秘密の要素を用意しています。ソフトが発売されたら、おもしろい情報をお届けできると思いますので、ご期待ください。
▲装備品を変えると、グラフィックも変化する。普段は赤い魔王のマントも、白いマントに変更可能。かなり印象が違って見える。 |
→魔王様八変化!?
幻の初期デザインを大公開!!(3ページ目へ)
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