2011年12月9日（金）

海外の女の子に人気な理由とは？ 3DS『クッキングママ 4』開発陣にインタビュー

■【日本版と海外版の違い】ホットドッグはコレじゃないと言われた

――日本版と海外版の内容には、言語以外の違いはあるのでしょうか。

T　基本的に言語以外の違いはありません。でも以前、ホットドッグを日本のようにレタスやトマトも入った形で作ったら、アメリカのパブリッシャーから「ホットドッグの中身は、ソーセージとピクルスと玉ねぎだけだ」と言われて変更したことがありました（笑）。またピザの上に乗せる具材も「コーンだけは外してくれ」と言われました。食文化の違いは勉強になりましたね。


▲モッツアレラチーズのくせのない味わい、トマトの酸味、バジルの爽やかな香りが絡みあったマルゲリータピザ。コーンは乗っていない。

――日本と海外では、料理そのもののほか、料理道具や作業手順などのさまざまな点で違いがありますが、それらは考慮して制作されたのでしょうか。

M　日本と海外との違いを意識したことはありません。切ったり混ぜたりといった料理の基本作業を、イメージが伝わりやすいように、かつメリハリをつけておもしろく見せるということに注力しています。ですので、石うすやパスタマシンといった、一部の国でしか知られていないけれど、おもしろい料理道具であれば採用します。『クッキングママ 4』でも、チェリーの種を抜く道具などが新しく登場しています。


▲肉を叩く道具や、バジルを刻む道具など、料理道具はたくさん登場する。

――シリーズを重ねて海外での販売本数が増えていっても、より海外で受け入れることを狙って海外の料理や料理道具を増やすということはしなかったのですか。

M　海外で人気の料理や料理道具などのリサーチもしていますが、やはり決め手となるのは、おもしろいものや新しいものになりますね。ですので、日本だけでなく、世界中の料理や料理道具がバランスよく入っています。もちろんハンバーグやピザといった、世界的に有名な料理は外せません。


▲チェリーパイや鬼殻焼きなど、和洋さまざまな料理を作ることができる。

■【子供向けソフトの作り方】レシピ集ではなく「危なくないままごと遊び」なんです

――やはり操作方法などは、子供がプレイすることを考えたうえで作っていったのでしょうか。

T　DSでタッチ操作する部分は「やっている感」のキモとなるので、もちろん大人の目線ではなく、小学生ができるくらいの簡単な操作方法にしています。

Y　まず自分が遊んで楽しいと思えるものを作ったら、スタッフ全員で遊んでみて、難易度が高いと指摘されたものは下げていきます。最終的には利き手ではないほうでも簡単に操作できるくらいにしました。

――それでも失敗したり、一定時間内に作るともらえるボーナスがなかなかとれなかったりして、投げ出す子供もいる可能性はありますよね。

Y　プレイに飽きさせないため、1つの手順を失敗しても「ママがかわりにやってあげる」という形で、必ず次の手順に進めるようになっています。それにより投げ出さず「さっき失敗したから、もう1度やり直そう」と思わせ、うまくなった喜びも感じてもらえると思います。


▲ママはいつもニコニコ顔で、手順に失敗しても決して怒らない。そして料理が完成すると、必ずほめてくれる。こんなママがほしかった……。

――プレイが進むと同じような手順が増えてきますが、それを飽きさせない工夫はありますか？

M　例えば同じ「切る」という手順でも遊び方を変えたり、違うルールにしたりしています。レシピごとに手順のメリハリはつけていますし、同じ手順が重複しないように気をつけています。

――子供が料理の手順や専門用語について理解できるだろうか、という不安はありましたか。

T　このゲームは、プレイしたから実際に料理ができるようになるというレシピ集ではなく、「危なくないままごと遊び」の体験ソフトなんです。すべての手順が入っているわけではなく、切って焼いて盛りつけするという基本的な手順の中に、石うすを挽くといった子供たちにとって新鮮でおもしろい調理工程などをうまくチョイスして入れています。「こうすれば作れるんだ」というだいたいのイメージを持ち、料理に興味を持って実際の料理を作るきっかけになってくれれば十分だと思います。

M　「こういうものや料理法もあるんだ」という興味を引くきっかけになればと考えています。わからなければお母さんに聞いたり自分で調べたりして、より興味を広げてもらえればいいですね。

――詳細なレシピも表示するなどして、より本格的な料理ソフトにするという考えはなかったのでしょうか。

T　料理をするというリアルさにおいては、ゲームソフトでは実際にお母さんと料理するという現実に勝てないと思うんです。ゲームをプレイして興味を持ったその先で、現実の料理に進んでくれればいいと考えています。ゲームには、現実にはなかなかできないバラエティ豊かな調理方法なども用意してありますし、ごっこ遊びと実際の料理とは分けたほうがいいと思っています。