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2011年12月17日(土)

【地獄の軍団 集中連載 Vol.6】本日発売! 本日解禁!! 今こそ明かす秘話満載のインタビュー!!

文:電撃オンライン

■開発スタッフインタビュー~真・『地獄の軍団』開発秘話(前編)

 いよいよ発売となった『地獄の軍団』。今回は、以前にもお話をお聞きしたゲームデザインを担当された岡本さんに再登場いただき、さらなる開発秘話をお聞きします。ソフト発売後の今だからこそ明かせる、あんなことやこんなことをお届けします!

▲ゴブリンの兵種を3種類にした理由や幻のボツ案など、ゲームシステムに関する開発秘話を公開! ACTというジャンルならではの注力点もお聞きしてきた。

◆『地獄の軍団』開発スタッフ

●柴 貴正●丹沢 悠一●岡本 基
▲本作のプロデューサー。代表作は『ドラッグオンドラグーン』『ロード オブ ヴァーミリオン』など。▲本作のディレクター。最終的なゲームバランスの調整やアドバイスなど、開発現場での調整作業を行った。▲ゲームデザインを担当した本作の生みの親。任天堂を退社後、エンタースフィアの代表取締役社長を務める。

◆ACTと操作性に関する深イイ話! ゲームシステムが決まるまでの裏話を公開!!

――今回はソフトの発売後ということで、ゲームデザインに関するより深いお話をお聞きしたいと思います。まずは本作の基本となる3種類のゴブリンの兵種についてですが、戦士、槍兵、魔法使いの3種類とした決め手はなんですか?

 兵種のネタはたくさんあったんですけど、バランスの問題で3種類に絞りました。3という数字にはいくつか理由があるんですが、まず重要だったのはACTとしてのスピード感を重視した際の問題です。

岡本 異なる性能の兵種を使い分けるというゲーム性を考えた時に、例えば10種類の兵種を使い分けることができる仕様にしてしまうと、プレイヤー側が把握できなくなってしまうんですよ。ある程度は直感的に、状況を見て瞬時に使い分けられる数を考えると、3という数が限界じゃないかと思ったんです。それ以上の数にしてしまうと、どうしてもACTとしてのスピード感が犠牲になってしまいます。

――例えば、兵種の数は多くした上で、ステージに連れて行ける種類を制限するような方向性も考えられたのでしょうか。

岡本 兵種の数を増やすと、今度は1つ1つの兵種の特徴が弱くなってしまいます。それぞれの兵種の特徴が際立って、それぞれがちゃんと活躍できるステージを作ろうとすると、やっぱり3種類ぐらいがちょうどいいんですよ。接近戦に特化した戦士と、遠距離まで攻撃ができる槍兵、そして間接的に攻撃ができる魔法使い。このぐらいの使い分けが、プレイしていて気持ちいい数だと思ったんです。

▲戦士は接近戦を得意とする使いやすいタイプ、槍兵は攻撃のスキが大きいかわりに遠距離から攻撃できるタイプ、そして魔法使いは魔法によって間接的な攻撃ができるタイプ。それぞれ特徴があり、武器を使い分けるような感覚で兵種を瞬時に切り替えて戦うことになる。

 だから、戦士、槍兵、魔法使いの3種類に絞った後も、いろいろと試行錯誤しました。開発途中では、今の性能とはまったく違う槍兵や魔法使いがいましたからね。

丹沢 開発の初期は、3種類の兵種の使い分けが、プレイの気持ちよさにつながっていない部分があったんですよ。使い分けるべき要素は用意していて、例えば魔法使いじゃないと倒せない敵を用意していました。でも、それが逆に“無理矢理やらされている感”につながっちゃいまして。

――確かに自分の好きなようにプレイしたいのに、特定のシーンで特定の兵種を強要されるのは気持ち悪いかもしれません。

岡本 その一方で、特定の兵種でしかプレイしない人も多かったんです。一時期は本当に槍兵の人気がなくて、みんな戦士ばかりでプレイしていました(苦笑)。それで、魔法使いじゃないと倒せない敵がいる時だけ魔法使いを組み込む感じですね。

丹沢 じゃあ、どういう形で特徴づけをすれば、3種類の兵種の使い分けが楽しくなるのかと考えていった時、陣形のシステムが生まれたんです。いわゆる溜め攻撃に近いイメージで、同じ兵種でも異なる攻撃を繰り出せるというイメージですね。これで兵種ごとの特徴を出しやすくなりましたし、アクションのバリエーションも増やせました。

岡本 戦い方のバリエーションが増えると、リスクとリターンのバリエーションも増えるんですよ。戦士でも倒せるけど、槍兵だともっと簡単に倒せる。それなら、ちゃんと兵種を使い分けようという気持ちが生まれるじゃないですか。

丹沢 そこに絡めて、オーバーキルのシステムも生まれました。これは敵に大ダメージを与えてトドメを刺すほどたくさんのポイントを獲得できるシステムで、そのポイントはリザルトでの評価につながり、リザルトがよければレア素材がもらえます。このシステムによって敵を工夫して倒すことにメリットが生まれて、それが兵種や陣形を使い分けるメリットにもつながったと思います。

岡本 そういった部分とのバランスを考えながら開発していたので、兵種や陣形の最終的な仕様が固まったのは本当に開発の後期でしたね。

丹沢 ちなみに開発の初期は、Lボタンで兵種を切り替える仕様でした。でも、すごく操作がしにくかったんですよね(苦笑)。

 魔法使いを選ぼうとLボタンをカチカチしたら、カチカチしすぎて戦士まで行っちゃったり(苦笑)。

丹沢 ACTにおいて、操作の際のテンポってすごく重要じゃないですか。例えば敵がパッと現れて、何か特定のアクションを使い分けたいと思った時、それをミスなく瞬時に行える操作じゃないと気持ちよくありません。そう考えると、ACTというジャンルでスピード感やテンポ感を出すための操作方法として、ワンボタンでの操作にしないと成立しないと思ったんです。

岡本 兵種をワンボタンで切り替えることが決まったあとも、どういうボタン配置にするかちょっと悩みましたね。結果としては、陣形の形とボタンの形がうまく対応する感じになりました。

丹沢 戦士なら○ボタンで丸い陣形、槍兵なら△ボタンで三角形の陣形といった感じですね。ちょうど、一番よく使う戦士を、一番よく使う○ボタンに割り振れたので、うまくハマったかなと思います(笑)。

▲左から戦士(○ボタン)、槍兵(△ボタン)、魔法使い(□ボタン)が陣形を組んだところ。それぞれボタンの形と陣形の形が対応している点に注目してほしい。

◆こんな『地獄の軍団』も見たかった!? 幻のボツ案を大公開!

――先ほどの話ではゴブリンの兵種について試行錯誤されたとのことですが、どんなボツ案があったんでしょうか。

 初期には本当にいろいろありましたよ。ゴブリンのやられっぷりをもっと見たいということで、爆弾ゴブリンとか(笑)。

丹沢 高村さんにもたくさんアイデアを出していただきました。以前のインタビューでも話が出ましたが、イノシシに乗って戦うゴブリンはユニークでしたね。

岡本 ゴブリンライダーみたいな感じで、おもしろかったんですけどね(笑)。あとは、移動砲台っぽく使える魔法使いとかもかなり盛り上がったんですが……。

――移動砲台? どんな仕様だったんですか?

岡本 その時期の魔法使いはセミオートで動く形で、ステージ上に配置をしておけば、あとは自動的に魔法で攻撃してくれる形だったんですよ。どこにどう配置したかで、かなり役に立つこともあって、現場的には「こういうRTS(リアルタイムストラテジー)の要素を含んだACTって新しいよね」みたいな感じで盛り上がっていたんですけど……なんだか、要素を詰め込みすぎた感じがしたんです。

丹沢 テンポが速くてアクション性を重視したゲームのはずなのに、そこにRTSみたいな戦略性まで入ってくると、ゲームとしてまとまりに欠ける部分が出てくるんですよ。

岡本 ちょうどその時期に一斉攻撃のシステムも導入されて、“このゲームはACTだ”と基本に立ち戻る形になりました。陣形とか溜め攻撃とか、いろいろなアイデアをどうまとめるか、どんな操作方法にするかも、収束するのに時間がかかっていたんですけど、この一斉攻撃が決まった時期にまとまっていきました。今回のゲームは自分の軍団を指揮するACTで、あとはゴブリンのやられっぷりのよさに注目してもらえればいいと、腹を決めた感じですね。

▲魔法による間接攻撃が特徴となる魔法使い。初期はステージ中に配置して自動的に戦わせる、移動砲台のような案もあったという。

→ゴブリン100匹をどう割り振る?
ちょっとした攻略情報も聞きました!(3ページ目へ)

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データ

▼『地獄の軍団』ダウンロード版
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応機種:PS Vita
■ジャンル:ACT
■発売日:2011年12月17日
■価格:3,990円(税込)

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