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2012年2月14日(火)

インタビュー中に野村哲也氏が間プロデューサーを緊急呼び出し!? 『シアトリズム ファイナルファンタジー』ロングインタビュー!(前編)

文:電撃Nintendo

◆3種類のミュージックステージはなぜ生まれたのか?

――どのような変遷を経て、現在のゲームシステムへ至ったのでしょうか?

 最初から完成形に近い形でしたね。企画書の形になったころにはもう今と同じような感じで、“イベント”“フィールド”“バトル”と3つのミュージックステージのアイデアもありましたし、演出として召喚獣が登場することも決まってました。もちろん、そこからの試行錯誤のほうが厳しかったんですけど。例えばイベントミュージックステージ1つをとっても、もっと指揮者が指揮をしているようなイメージが強い操作方法をとり入れてみたり、画面をタッチ している間だけ曲が演奏されるようしてみたりと、いろいろな案を出してはテストを繰り返してもらいました。

鈴井 イベント、フィールド、バトルの3種類は最初から決まっていました。というか、絶対に3種類にしようと決めていました。おそらく間さんは、当初は1種類にしようと考えていたと思うんですよ。繰り返しのプレイが前提となる音楽ゲームは、特にゲームデザインを突き詰めてクオリティを高めないといけないので、1種類を作り込むだけでも大変なわけですから。でも、どうまとめていっても曲ごとの曲調が違いすぎるんで、それを同じシステムで遊ばせても、お客さんは納得がいかないだろうと思ったんです。だから、しんどくなるのは覚悟のうえで「絶対に3ついるんですよ」って間さんを説得しました。

 実を言うと、社内でもそういう声があったんですよね。『FF』の名曲と言われるものって、バトルの曲みたいにテンポがいい曲だけではありませんので。それに対する鈴井さんからの答えが、3種類のミュージックステージでした。だから、驚きはしましたけど、納得はしました。

鈴井 先ほどもお話したように、間さんからのオーダーとして最も核だったのは“『FF』の音楽を生かした3DSのゲーム”でしたが、その他も3DSの容量の大きさを生かしたいという提案がありました。そのため、音質については3DSでは最高の音質となるCDに近いクオリティで収録することにしたんですが、動画についても高いクオリティで収録できるんじゃないかと思いまして。『FF』シリーズといえば、素晴らしいクオリティのムービーが有名です。単純にムービーを入れるだけなら簡単ですけど、どうせならムービーを生かした形の音楽ゲームを考えるのもおもしろいんじゃないかと考えて、ムービーを再生しながら音楽ゲームをプレイできるイベントミュージックステージという形にしたんです。

 結局は3つに分けて正解だったと思いますね。

▲熱い曲からしっとりとした曲まで、『FF』の名曲はバリエーションが豊富。そういった幅広い曲調に対応するため、3つの遊び方を入れる必要があったという。

鈴井 バトルミュージックステージではテンポよく遊んでほしい。フィールドミュージックステージではメロディラインが流れるところを感じてほしい。こんな風に曲調とシステムを合わせる形でゲームデザインをしていきました。最後まで難産だったのは、イベントミュージックステージでしたね。動画を再生しながら、なおかつ音楽ゲームを実現するということは、技術的にもハードルが高かったんですよ。こんな感じで可能性の案としていろいろと考えてみたり、細かい部分の手触りとしてどうあるべきかといった部分を思索したりしながら、試作版を作っていきました。

――ゲームデザインの際に特に意識した点はありましたか?

鈴井 音楽ゲームのセオリーとして、1プレイが約2分間という短いサイクルを繰り返し遊ぶという流れがあるので、そこに『FF』らしさを出せる遊び方を組み込めないかとか、いろいろと考えましたね。最大の課題となったのは、“音楽ゲームとしての『FF』”という部分と、“『FF』のファンが楽しめるゲーム”という部分を、どう両立させたり取捨選択したりして大きなパッケージングとしてまとめるかという部分でした。もちろん、主軸となるのは音楽ゲームとしての部分で、そこは揺らぎませんでしたが、『FF』に思い入れを持っている人は必ずしも音楽ゲームが好きなわけでもないし、得意なわけでもないじゃないですか。「『FF』を好き」と言った場合の“好き”は、人によって全部違うので、誰に対してもいい答えになるような形を提案させていただきました。

 音楽ゲームに興味がない人でも、『FF』の関連作品として楽しく遊んでもらえるようなパッケージングを目指して、いろいろと話し合いましたね。

鈴井 『FF』らしさが感じられる要素の一例として、成長要素やコレクション要素といったやり込み要素を盛り込んでいきました。でも、キャラクターのレベルアップや、特殊な効果を持つアビリティを利用した戦術性が、音楽ゲームのファンにとってインチキに見えるようでは許されないと思ったんです。

 がんばって獲得したハイスコアは称えてあげたいじゃないですか。

鈴井 音楽ゲームが好きな方にとって、便利なアビリティを使って出したスコアと、アビリティやアイテムのサポートなしでやって出たスコアが同じ価値になるような要素は排除しなければならないと思いました。だから、ゲーム中のヒット判定がゆるくなったり、スコアに影響したりするような効果のアビリティやアイテムはありません。

――それでは、どのような形でキャラクターの成長やアビリティの効果を設定しているのでしょうか?

鈴井 スコアがアップするという攻撃的な調整ではなく、クリアをしやすくなるという守備的な考え方ですね。具体的には、最大HPやHPの回復に関する効果をメインにすることで、プレイヤーがゲームオーバーになりにくくなるという方向性での調整です。キャラクターのレベルを上げたら最大HPも増えていくので、ゲームオーバーになりにくくなります。ケアルよりも回復効果が高いケアルラを覚えると、さらにクリアしやすくなります。アイテムの効果はアビリティに近いんですが、基本的に消費する形で、条件を満たすと効果が出ます。たとえば“フェニックスの尾”をセットしておけば、HPが少なくなった時に少しHPが回復します。守備的な考え方ですけど、どうしても究極の譜面をクリアしたいという人は、回復が得意なパーティを組んで、そういうアビリティを用意しておけば、かなりクリアしやすくなりますよ。

 2月1日から配信が始まった体験版の第2弾では、第1弾にも増してランダムで個性的なパーティ編成に変わるので、いろいろなアビリティを体験できます。あるパーティはとにかく回復重視なので、究極の譜面でもクリアしやすくなっています。ただ、クリアができるというだけで、高いスコアを獲得できるわけではないんですよね。

鈴井 音楽ゲームとしてハイスコアを突き詰めたい人向けには、“すっぴん”というモードを用意しました。これは純然たる音楽ゲームとしてプレイしてもらうためのモードで、すべてのアビリティを利用できないかわりに、ハイスコアに影響する特殊なボーナスが得られます。本当に極めたい人は、このすっぴんモードで究極の譜面に挑戦してほしいと思います。

 ただ、ここまで説明してきたスコアは、あくまで音楽ゲームのうまさを評価する得点でしかありません。もちろん、高いスコアをとることがメリットにもつながっていきますけど、もっと重要になるのがリズポというポイントです。これはステージクリア時のスコアのほか、どんなパーティ編成で挑んだのかや、操作の成功や失敗回数などが関係して算出されるもので、このリズポをためていくことでゲーム中のさまざまな要素が解放されていきます。その他、トレーディングカードのようなコレカを入手したり、新たな仲間を増やしたりと、多くのコレクション要素があるんですが、キャラクターの成長やアビリティは、そういったやり込み要素の部分に大きく影響します。

鈴井 たとえば、ステージ中に登場するモンスターを倒すと、ご褒美をもらえる仕組みになっています。その際、音楽ゲームとしては80点くらいの成績でクリアしても、アビリティをうまく利用すると、よりレアなご褒美をもらいやすくなるので、パーティ編成やアビリティの選択を工夫することが重要になるわけです。たとえばフィールドミュージックステージの場合、“すばやさ”が高いほど遠くまで冒険できます。より遠くまで進むと、モーグリやサブキャラクターに出会えて、特別なアイテムをもらえたりするわけです。ただ、音楽ゲームのうまさというか、スコアのよしあしで解放される要素はありません。リズポさえためていけば、すべての要素を楽しめるようにしています。

――せっかくなので、オススメのパーティ編成について教えてください。

 これはもう、人それぞれになっちゃいますね。特に序盤は、どんなキャラクターでも困らないと思います。ただ、音楽ゲーム初心者の方には、序盤はセシルをパーティに加えることをオススメします。HPが高いだけではなく、回復アビリティのケアルを最初から覚えていますから。

鈴井 中盤意向に効率を突き詰めて考えていくと、目的に応じてキャラクターを変えるのがオススメですね。できるだけ遠くまで進みたいとか、敵をたくさん倒したいとか。戦闘面に関して言えば、魔法を使うキャラクターはわりと強いです。『FFIX』のビビのように、見るからに魔法が得意そうなキャラクターは活躍してくれることが多いと思います。

――そんなに強そうではないのに、意外と便利なキャラクターなどはいますか?

鈴井 意外なところではシドですね。シドが使えるライブラの効果は、カオス神殿で敵が何を落とすのかわかるものです。仲間となるサブキャラクターを増やすためにはクリスタルの欠片を集める必要があるので、それを集めやすくなります。シドにライブラを装備した状態で新しい闇の楽譜を手に入れると、本来は解放されていないドロップアイテム情報が一部解放された状態になります。まずはシドのライブラでチェックして、お目当てのアイテムが出るかどうかを調べるのがセオリーになるでしょうね。

 僕はあまり難しく考えず、女性パーティで遊ぶことが多いです。

鈴井 ちなみに、男性だけとか女性だけとか、人によっていろいろな組み合わせで遊ぶことを想定して、そういった特定の組み合わせに応じたリズポのボーナスもあります。そんな細かい部分も楽しんでもらえるとうれしいですね。


[CHECK]成長要素もアリ! 自由なパーティを組んでステージに挑め!!

 ミュージックステージをプレイする際には、4人のキャラクターでパーティを編成することになります。最初は各シリーズの作品のメインキャラクターからしか選べませんが、ゲームをプレイしてリズポをためたり、“闇の楽譜”をプレイしてボスを倒したりして、クリスタルの欠片というアイテムを集めることで、さまざまなサブキャラクターも仲間にすることができます。作品の枠を超えた夢のパーティを編成できるので、どんな4人を選ぶのか悩んじゃいますね。クラウドとセフィロスのように、敵味方の枠さえも超えた編成ができる場合もあるので、本当に楽しみです! 下ではその一部を紹介しますが、なかなかすごい数になっています。

 さて、ここからが本作のキモになるのですが、キャラクターにはRPGのように個々に能力値やアビリティが設定されており、ステージをクリアして経験値をためることでレベルアップしていきます。音楽ゲームが苦手な人でも、キャラクターを育てたり、アイテムやアビリティを駆使したりすることでステージをクリアしやすくなるので、頭を使って攻略を考えるのもありだと思います。ちなみにインタビュー中でも説明されていますが、こういったキャラクターの成長やアビリティは、あくまでもステージをクリアしやすくなったり、いいアイテムを手に入れやすくなったりするもので、純粋に音楽ゲームとしてプレイした場合のスコア(得点)には影響しません。音楽ゲームが得意な人のためには、純粋にスコアアタックを楽しめる“すっぴん”というモードも用意されているので、ストイックに遊びこむこともできますよ。

◆キャラクターの能力値について

▲“HP”はダメージの受けにくさ、“ちから”はバトルミュージックステージでモンスターに与えるダメージ、“まりょく”は特定のアビリティの効果、“すばやさ”はフィールドミュージックステージでの移動距離、“うん”はアイテムのドリップ率に影響します。

◆パーティに編成できる主なメイン&サブキャラクター

※初期からパーティに入れられるメインキャラクターはキャラクター名の前に“★”を、特定の条件を満たすとパーティに入れられるサブキャラクターはキャラクター名の前に“◆”を記載しています。

★ウォーリア オブ ライト(『FFI』)◆セーラ姫(『FFI』)★フリオニール(『FFII』)◆ミンウ(『FFII』)
▲クリスタルとともに現れて世界を救うために戦う、光の加護を受けた青年。過去の記憶を持たず、本来の名前も不明。▲コーネリア国の王女。ガーランドの手によってカオス神殿に幽閉されるが、光の戦士たちによって救出される。▲パラメキア帝国の打倒を目指す反乱軍に命を救われ、ともに戦うことになる青年。出身はフィン王国。▲魔術の国ミシディア出身の白魔導師。フィン王国に仕えており、反乱軍の参謀としても活躍する。
★オニオンナイト(『FFIII』)◆シド(『FFIII』)★セシル(『FFIV』)◆カイン(『FFIV』)
▲子どもらしからぬ機知に富む騎士の少年。頭脳明晰だが、ちょっぴり頭でっかちすぎる部分もあるらしい。▲飛空艇建造のスペシャリスト。ネルプの谷の大岩によりカズスで足止めされ、炎の魔人ジンにのろいをかけられていた。▲かつてはバロン王国の飛空艇団・赤い翼の隊長を務める暗黒騎士だったが、のちに聖騎士パラディンの称号を授かった青年。▲セシルの親友であり、よきライバルでもある竜騎士。ゴルベーザに操られ、セシルと敵対することも。
◆リディア(『FFIV』)★バッツ(『FFV』)◆ファリス(『FFV』)★ティナ(『FFVI』)
▲召喚士が暮らすミストの村出身の少女。バロン王の策略で村を焼き尽くされ、心に深い傷を負う。▲好奇心旺盛な冒険家の青年。隕石の落下現場で王女レナや老人ガラフと出会い、クリスタルを巡る冒険に出る。▲男装をして海賊を束ねる美女。その正体はタイクーン王国の第1王女であり、レナの姉。▲非常に強大な幻獣の力を宿しており、ガストラ帝国によって利用されていた魔導戦士の少女。
◆ロック(『FFVI』)★クラウド(『FFVII』)◆エアリス(『FFVII』)◆セフィロス(『FFVII』)
▲古代の秘宝を探すトレジャーハンター。炭鉱都市ナルシェでティナを救い、戦いに身を投じていく。▲反神羅組織アバランチに力を貸して戦う、無口でクールな剣士。身の丈ほどもある巨大な剣を軽々と扱う。▲大都市ミッドガルの伍番街スラムに住む、花売りの少女。星と対話する能力を持つ古代種(セトラ)の末裔。▲英雄として名をはせた伝説的なソルジャー。その正体は神羅カンパニーの実験で人工的に作られた存在。
★スコール(『FFVIII』)◆サイファー(『FFVIII』)★ジタン(『FFIX』)◆ビビ(『FFIX』)
▲兵士養成学校バラムガーデンの精鋭部隊の一員。ガンブレードという特殊な武器を使いこなす。無愛想で無口。▲バラムガーデンの風紀委員にして、最大の問題児。魔女イデアにつけ込まれ、スコールと敵対する。▲長い尻尾が特徴である義賊の少年。誰かのためなら理屈抜きで行動するほど正義感が強く、女の子にはめっぽう弱い。▲何かと悩みがちな黒魔道士の少年。ジタンらによるガーネット誘拐騒動に巻き込まれ、行動をともにすることに。
★ティーダ(『FFX』)◆ユウナ(『FFX』)★シャントット(『FFXI』)◆プリッシュ(『FFXI』)
▲ザナルカンド出身の快活で明るい性格の青年。水中球技ブリッツボールの若きエースでもある。▲10年前にシンを倒した大召喚士ブラスカの娘。いつも明るく、ティーダとともにシンを再び倒すための旅に出る。▲魔法の民タルタル族のなかでも圧倒的な魔力を誇る三博士の貴婦人。年齢不詳で、気性は極めて好戦的。▲“忌むべき子”として恐れられる少女。タブナジア候国地下壕で自警団のリーダーを務めている。
★ヴァン(『FFXII』)◆アーシェ(『FFXII』)★ライトニング(『FFXIII』)◆スノウ(『FFXIII』)
▲空賊にあこがれる孤児の少年。王宮で盗みを働いた際に王女アーシェと出会い、祖国解放の旅に同行する。▲旧ダルマスカ王国の王女で、王位継承権を持つ唯一の人物。戦争で夫ラスラと父王を失い、のちにラバナスタ解放軍を組織する。▲下界のルシとなった妹のセラを救うために戦う女性。もとは臨海都市ボーダムで聖府警備軍の軍曹をしていた。▲自由を愛する若者たちの集団・ノラのリーダー。ライトニングの妹であるセラの恋人でもある青年。
◆コスモス
▲混沌の神であるカオスと対をなす、調和と秩序を司る美しい女神。

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