2012年7月6日(金)
――ゲーム化するにあたって、『アクセル・ワールド』の中でも特に「ここを再現したい」というポイントがあったら教えていただきたいのですが。
二見:原作を再現したいという気持ちもあったんですけど、『アクセル・ワールド』の世界に登場する中学生たちの青春や、原作では描かれなかった部分を描いてみたいというのが企画当初から強かったですね。
▲夏らしい装いの黒雪姫(左)とチユリ(右) |
川原:『アクセル・ワールド』の登場人物って“ゲーム世界の大きな目標に向かって突き進む”という目的を持っているんですけど、一歩引いてみると、“現実世界から排斥された、あまり幸せでない子どもたちが集まって自分たちだけのシェルターを維持しようとしている”という側面もあるんですね。その空気感がゲームでもよく出ているなと思いました。
――5月に発売された『俺の妹がこんなに可愛いわけがない ポータブルが続くわけがない』でも感じましたけど、二見さんとガイズウェアが手がける作品って、原作にかなり踏み込んだものが特徴的ですよね。
二見:それは、僕とガイズウェアだからというわけでなく、原作サイドの協力があったからこそだと思います。実はアスキー・メディアワークスさんって、原作の雰囲気さえ守っていれば、とても自由にゲームを作らせてくれるんですよ。「せっかくだからゲームならではのおもしろいことをやりましょう!」と言ってくださるので、それならこっちも「ガッツリと作りましょう!」と。
――ゲームはどのように進行していくのでしょうか?
二見:ゲームには1週間の流れがあるのですが、そこで会話したり勉強したりといったことが選べます。そこで《ブレイン・バーストバトル》を選択すれば、バトルが行われるといった感じですね。
――では、戦闘だけ選んでいくということもできるんですか?
二見:できますけど、そうすると期末テストで赤点を取って、大変なことになったりすると思います(笑)。そういう学生生活も体験しながらゲームを進めていけるように制作しています。
――『アクセル・ワールド ―銀翼の覚醒―』は、原作小説のどの時期のあたりなのでしょうか?
二見:冬から初夏あたりですね。ただ、ゲームの時系列は原作とは少し異なるところもあります。「ifの展開だったらこういう展開もあるよね」と考えながら制作しています。原作と同じような事件が発生することもあるんですが、解決方法や事件に遭遇する人物が異なっていたりとか、そういう部分で遊ばせてもらっています。原作を読まれている方は、その違いも楽しんでいただきたいですね。詳細はまだ言えませんが、そこは続報を期待してください。
――川原先生が気になっているポイントは?
川原:原作では生身のデートイベントってあまりないんですよ。だからデートイベントはとても気になります! 原作でもこういうシーンはもっと書かないとなと思いました。
――原作の《心意(インカーネイト)システム》はゲームにも登場しますか?
二見:出ます! 出ますが詳細はまだ秘密です。気になる人は“週刊 アクセル・ワールド”をお見逃しなく!(笑)
――『アクセル・ワールド』に続いてゲーム化される『ソードアート・オンライン』ですが、こちらのゲーム化企画はいつごろからあったのでしょうか?
二見:『アクセル・ワールド』より遅いですね。今年の頭のことだったと思います。
三木:『アクセル・ワールド』のゲームの話をしている時にですね、二見さんがまた「『ソードアート・オンライン』おもしろいですね!」と言ってきたんです。これは来たな、と。
――前回聞いたような展開ですね(笑)。
川原:企画を最初に聞いた時、『アクセル・ワールド』よりもゲーム化は難しいんじゃないかなと思いました。『アクセル・ワールド』だとゲームの外に現実世界の主人公たちがいるわけですが、『ソードアート・オンライン』の場合はあくまでもゲームの中の話なので、それをゲームにする場合、どんな立ち位置のゲームができるのかイメージがすぐにできなかったんです。今回は『ソードアート・オンライン』を攻略する、主人公キリトを操作するゲームになっているんですが、そうなるとキリトが死んだ時にどうなるんだろう? と。死んだらセーブデータの消去が妥当かなとか(笑)。
二見:それはすごく悩みました(笑)。でも、さすがにセーブデータ消去をやるとユーザーの皆さんから怒られるんじゃないかなあと……。
川原:ゲームではキリトが死ぬと、「You are Dead」という表示が出て、セーブポイントからやり直しという形になりましたよね。
――舞台は《アインクラッド》とのことですが?
二見:はい。プロットの監修をいただいたので、現在はシナリオの執筆をしているところです。シナリオは原作のとある時期から分岐して物語が展開していくという形を取らせていただきました。
三木:これもプロット提出前に打ち合わせをしたんですけど、『ソードアート・オンライン』の打ち合わせは歴史的なものでしたよ。なんていったって、『ソードアート・オンライン』のゲームをどうするかで、バンダイナムコゲームスさんと開発会社さんとシナリオライターさんが僕らの前でケンカし始めたんですよ(笑)。真剣にゲームシステムや、キリトの考え方について論争してるんです。
二見:川原先生と三木さんに相談すればいいのに、ケンカになってしまって(笑)。
三木:それくらい皆さんが『ソードアート・オンライン』を真剣に考えてくれているんですよね。
▲こちらは『ソードアート・オンライン』のゲーム用設定画。 |
川原:最初にスタンドアローンで動くMMORPGと聞かされて、その言葉自体が矛盾なんですけど、一体どうなるんだろうって。でも先ほどデモ機を見せてもらったら、1人プレイなのにきちんとMMOをプレイしている感じが出ているんですよ。
二見:“キャラクターと一緒に冒険をする”というのを、今回は描きたかったんです。
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