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2012年8月6日(月)

『ツヴァイ』や『ブランディッシュ』とも関係!? 発売後だからこそ明かせる秘話満載の『那由多の軌跡』インタビュー

文:電撃オンライン

■アーサは姉ではなく母親だった!? キャラクター誕生秘話を続々公開!

――ここからはメインキャラクターについて誕生秘話をお聞きしていきます。まずは主人公のナユタから。

『那由多の軌跡』
▲ナユタ・ハーシェル(CV:水橋かおり)。天体観測を趣味とする本作の主人公。

 『軌跡』シリーズの主人公として、体を動かす人たちが続いていたので、ちょっと頭を動かす人がほしいねっていう気持ちもありました。

 それと、先ほど話に出たように、世界の謎を解き明かしていく少年になるので、日頃からそういうものに興味があったほうが話としてはおもしろいじゃないかという発想から生まれてきたキャラクターです。

 初期案では、最初からずっと島に住んでいる設定だったんですけれど、あの島だけで育っても視野が狭いキャラクターになってしまうこともあり、大陸へ勉強に行っている設定になりました。そういうところから、どんどんナユタのイメージが固まっていき、ゲームの冒頭で夏休みだから里帰りするという設定になったんです。

 個人的にちょっと心残りなのが、世界の謎を解き明かすシーンです。本当はナユタがゼロから自力ですべての謎を解き明かす展開にしたかったんですけど、そこまで描こうとすると物語のスケールが大きくなりすぎるので、現在の形に落ち着きました。

 とはいえ、なんだかんだと世界の謎を見てしまうほどの可能性を秘めた少年であり、日本ファルコムのRPGらしい主人公です。ひねるかストレートにするか悩みましたが、やっぱり主人公なのでストレートにしようということで、ナユタの人物像が固まっていきました。

――優等生のようなイメージもありますね。

 優等生だけど、やる時はやるし、夢中になると周りが見えなくなる少年です(笑)。そういう部分がナユタの欠点であり、同時に長所にもなっています。

『那由多の軌跡』
▲ノイ(CV:茅野愛衣)。ナユタのパートナーとなる、妖精のような姿をした小さな女の子。

――次に、ナユタのパートナーとなるノイについてお願いします。

 物語の冒頭で、島に大きな遺跡が降ってくることは初期から決まっていました。でも、遺跡が降ってくるだけじゃ話が進まないので、とっかかりとなる異世界の住人との出会いが必要になります。そういう物語的な役割とあわせて、アクション面でのパートナーも欲しいという流れから、ノイというキャラクターが生まれました。

 デザインはすごく悩んだ覚えがあります。まず最初に、アクションをした時に動きが出るデザインがいいということでツインテールの髪型はすぐに決まったんですが、そこから先は試行錯誤がありましたね。

 実は、日本ファルコムのキャラクターデザインにはコツというかノウハウみたいのがありまして、とにかくアクションした時に手足が目立たないといけないという暗黙のルールがあるんです。これはドット絵でチップキャラを作っていたころからの伝統なんですけど、小さいキャラクターでもちゃんと目立つように、手は逆三角形に近い見え方にすることが多いです。ノイで言うと、服の袖がそんな感じになっていますよね。

 あとは、手を振った時に色がわかりやすいように意識して配色を考えるとか、靴を大きめにデザインするとか、そういったルールもありますね。頭が大きいデフォルメ系のキャラクターをゲーム中で動かそうとすると、どうしても手足が小さくなってしまうので、服や靴を大きめにデザインすることが多いです。これは『空の軌跡』でも使っていた手法ですが、それもあって、ファンの方から「ブーツを履いているキャラが多いですね」なんて指摘されることもあります(笑)。

 イラストも大事なんですけど、我々としてはゲーム中に見るグラフィックが一番大事なので、その際の視認性も含めてデザインを考えています。特にノイは、最初から最後までナユタのお供になるキャラクターですからね。イラスト上でのデザインとゲーム画面上のアイコンとしての視認性や機能性といったものも含めて、ナユタとノイのデザインを固めていきました。

『那由多の軌跡』
▲シグナ・アルハゼン(CV:鈴村健一)。ナユタの兄貴分で、2人で便利屋を開業して村人の手助けをしていた。

――次はナユタの兄貴分であるシグナについて、コメントをお願いします。

 ナユタのキャラクター性が決まった段階で、スタッフから「この子を放っておいたら、暴走ばかりしてまずいことになる」という指摘がありまして(笑)。なので、それを抑えてくれる人が必要になりました。

 ナユタは子どもの好奇心をそのまま体現したような男の子なので、そこからさらに成長を描いていくためには、身近にいる年上の人がきっかけになると思ったんですね。その代表格として、同じ島の出身であるシグナという青年が生まれました。お兄さん的な役割でナユタのこともよく知ってますし。ひょうきんで飄々(ひょうひょう)とはしているんですけど、芯の部分はしっかりしています。

 逆にシグナがナユタに手を焼く表現によって、ナユタというキャラクターが形成されていった部分もあります。なかなかおもしろいコンビになったんじゃないかと思います。

『那由多の軌跡』
▲クレハ(CV:竹達彩奈)。星の庭園にある棺の中で永い眠りについていた謎の少女。

――続いて、物語の鍵を握る謎の女性であるクレハについて。

 “寝ているキャラクターに出会う”というビジュアルが最初に浮かんだので、それをそのまま持ってきた感じですね。“人のいなくなった不思議な世界で、少女が1人だけとり残されて世界の中心で眠っている”というイメージイラストも、かなり初期に描きました。

 ちなみに、『那由多の軌跡』の公式サイトがオープンしてから数カ月はクレハのイラストを掲載していたんですが、ずっと目を閉じたままだったんですよ。果たして彼女は起きるのか起きないのか……。まあ、出てきたからには起きるんでしょうけど(笑)、それにしてもずっと目を閉じているイメージが強いキャラクターですね。

 ナユタもストレートな感じですが、クレハもストレートな方向性でデザインしていったヒロインです。ちなみに彼女のデザインは、一番初めに上がってきた時からほとんど変わっていません。

『那由多の軌跡』
▲ライラ・バートン(CV:広橋涼)。ナユタとシグナの幼なじみで、ナユタに淡い恋心を抱いている。

――ナユタに想いを寄せる幼なじみのライラについてはいかがでしょうか。

 彼女はまず最初にイラストが上がってきて、ちょっと生意気そうな女の子でした。周りのスタッフとの「たぶん、ナユタの幼なじみだよね」みたいな雑談から、キャラクターが決まっていきました。

 実は開発の初期は、登場人物たちの年齢が全般的に低めだったんですよ。最初はナユタが近所の男の子たちとつるんで遊んでるようなシーンも考えていたんですけど、そんなに年齢が低いと、世界の謎を解くには時間がかかりそうというところから、ナユタの年齢を引き上げました。それに応じて、一緒にライラもくっつけていったって感じですね。

 物語的に、ノイやクレハが出てきてにぎやかになることは見えていたので、そこに幼なじみとしてからんでほしいと思いました。そのため、いろいろな部分で“クレハの逆”という逆算から生まれたキャラクターです。

 静かでおしとやかで神秘的な女の子がクレハであるとしたら、その真逆をいくのがライラだろうと、クレハとの反対要素がどんどんと入っていきました。愛されやすいキャラクターですよね。彼女の恋の行方は、皆が応援したくなると思います(笑)。

『那由多の軌跡』
▲アーサ・ハーシェル(CV:桑島法子)。ナユタの姉で、おおらかで心優しい性格の女性。

――最後に、ナユタの姉であるアーサについて。ファンの間ではかなり人気が高いようです。

 実は彼女は、 ナユタのお母さんという設定だったんです。

――え!? そんなに年が離れている設定だったんですか?

 デザインが上がってきたら意外と若かったことと、シグナの設定が固まった際に彼との関係性を考えたことで、お姉さんという設定に変更となりました。シグナとやり取りをするキャラクターとして、同年齢で少しだけお姉さんというくらいがちょうどいいかなと。また、島のアイドル的な存在として設定する際に、未亡人のお母さんだとちょっと……という声もありました。

 当初は家にいるだけのキャラクターだったんですが、せっかくだからシステムとからめたいということで、彼女がお弁当を作ってくれるシステムを追加したのが印象深いです。

 ナユタが無鉄砲なので、彼を静かに優しく見守るお母さん的なお姉さんと設定されています。

『那由多の軌跡』 『那由多の軌跡』
▲いつも家を守っているアーサ。彼女に材料を渡すと、お弁当を作ってくれる。

→開発スタッフお気に入りのキャラクターやステージは?(4ページ目へ)

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データ

▼『那由多の軌跡 ザ・コンプリートガイド+設定資料集』
■発売:アスキー・メディアワークス
■発売日:2012年7月26日
■定価:1,890円(税込)
※A5判・304ページ
 
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