2012年9月7日(金)
――本作で描きたかったことを教えてください。
端的に言いますと、超常現象を目の前にして「うわー、見ちゃったよー」とか、カメラを持っていて「すごいの撮れちゃったよー」というシーンを描きたかったんです(笑)。特殊報道部のメンバーが、超常現象を目の当たりにする“ドラマ”を描きたいと思っていました。その部分は、ちゃんとできたのではないかと思っています。
――開発中、苦労したことはありますか?
苦労の連続でした(笑)。その中でもプロットが一番難産でしたね。完成したものを全没してみたり……。大本のやりたいことが決まり、プロットを組んでいく段階で、シナリオライターとディレクターと私の間で話が全然まとまらなかったんです。ライターが上げても上げても、私がNGを出すという繰り返しでした。そのうち、説明している私までわからなくなってきて……泥沼でしたね。
そこで私のほうで文章を起こして、やりたいことを事細かに説明しました。それを受けて、ライターから「こういうアイデアはどう?」と新しいプロットが上がってきまして、それを見て「ああ、これだ!」と。こうしてようやくでき上がりました。行き詰まっている時は、「このプロジェクト、大丈夫かな……」と心配になりましたが、今振り返ってみるとプロットを考えていたころが一番おもしろかったですね。
――ポルターガイストや予知能力など、超常現象のモチーフを選定したのは簗瀬プロデューサーですか?
基本的にそうです。ただ、私がすべてのアイデアを出したわけではなく、シナリオライターからこれにしようと上がってきたものもあります。メインで取り上げた“人体発火”や“アブダクション”は、一般的によく知られているものをチョイスしました。“エシュロン”などは知る人ぞ知る題材ですが、“人体発火”ならどこかで聞いたことがあると思います。“アブダクション”も、UFO関連の情報からどこかで聞いたことあるのではないかと思いまして。こういうモチーフが好きな方は、「このネタのオチは、こうなるんじゃないか」と考えると思うんですよ。そこをいい意味で裏切れたらいいなと思いながら作りました。
――では、「このゲーム、イケるぞ!」と思った瞬間はいつでしたか?
プロットの全体構想ができた時です。あとは、清原さんの絵が上がり始めたころですね。キャラクターのラフを描いていただいた時も、またいろいろとありまして。清原さんには、本当にたくさんのラフ画を描いていただきました。我々と清原さんの間で、キャラクターのイメージを試行錯誤しながらすり合わせていったのですが、絵に色が付いた時、「ああ、清原さんにお願いしてよかったなぁ」と心から思いました。
――ゲームシステムを構築するにあたって、苦労したことやこだわったことを教えてください。
各エピソードの最後に、物語をまとめるようなゲームシステムを組むことは最初から決まっていました。企画書にも書いてあったのですが、ディレクターからは「あれは無理だ」「不可能だ」「難しすぎる」と言われまして。「じゃあどうしよう」と、ディレクターと2人、ミーティングルームであーだこーだと話し合いまして、最終的にあの形になりました。
ゲームには難易度というものがありますが、本作はアドベンチャーゲームユーザーに届けたいと思っていたので、激しいアクション要素を入れるのはちょっと違うなと。今回我々が作りたかったアドベンチャーゲームは、テキストを読みながら頭を使っていろいろと考えて、最後の結末を迎えるというものでした。
最後に番組を制作する“プログラムディレクションシステム”というアイデアは、メ~テレさんで実際にお昼のニュース番組を収録しているサブルームに入らせてもらった時に考えついたものです。まさに番組を放送している横で見させてもらったんですが、そこで映像のソースをどのように持ってきて、どう扱うのかという場面がありました。実は最後の番組制作パートは、プレイヤーにディレクションさせるのか、それとも記者として記事を用意させてそれをディレクターに渡すのか、どの役割にさせるかすごく悩んだんです。でもやはりTV番組の制作を体験してもらいたくて、映像ソースを持ってきたり、キューを出したりする役に落ち着きました。もっといろいろと詰め込みたいという思いもあったんですが、そういうアイデアはまた次のタイトルにとっておこうと思っています。
――それでは最後に、まだプレイしていない人へメッセージをお願いいたします。
最後の最後まで、お楽しみをいろいろと用意しました。登場人物たちがTV番組を制作するドラマを、“柚原遼”の視点で最終話まで楽しんでいただければと思います。ぜひ、このタイトルで超常現象を目の当たりにしてください。TV局の裏側といいますか、TV番組を作っている人たちの人間ドラマを、存分に楽しんでいただきたいと思っております。
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