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2012年9月8日(土)

【Spot the 電撃文庫】後篇は11月にリリース! 『人形たちの夢 前篇』を執筆した水鏡希人先生のインタビューをお届け

文:電撃オンライン

 電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。第52回となる今回は、『人形たちの夢 前篇』を執筆した水鏡希人先生のインタビューを掲載する。

『人形たちの夢 前篇』
▲文京竹見先生が描く『人形たちの夢 前篇』の表紙イラスト。

 『人形たちの夢 前篇』は、魔術の才能を持つ短気な少女・エオノーラと、彼女のお目付役である記者兼作家・ミュンが、人形にまつわる不思議で哀しい事件に巻き込まれていく様子を描いた作品。とある屋敷で起こる怪奇現象を解決してほしいという依頼を達成すべく、依頼人の屋敷へと向かうエオノーラとミュン。そこで彼らは、無数の不気味な人形と、銀髪の少女・アルタシアと出会う。無口ですぐ人をかむアルタシアには、何か秘密があるようで……。

 11月に後編がリリースされる本作について、水鏡先生にいろいろと語っていただいた。また、電撃文庫 新作紹介ページでは、本作の内容を少しだけ立ち読みできるようになっている。まだ読んでいない人はこちらもあわせてご覧あれ。

――この作品を書いたキッカケを教えてください。

 シリーズものではないので厳密には前作と呼ぶのは間違いですが、前に書いた関連の作品の中で、“旅行先へ向かうまでの物語”を書きました。旅行に行く人々を題材にした作品を書いておきながら、旅行先についてまったく触れないのもいかがなものだろうかと思いましたので、これを中心に据えた話を作ろうと思いました。

――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?

 それを強みにしようとはしていませんが、相変わらず電撃では毛並みが変わっている主流とは外れた作品です。ひと昔前までの大勢を占めていた“現実とはかけはなれた剣と魔法の世界の話”です。でも、剣と魔法で連想される中世ではなく、銃もあれば車もある近代と言ってよい世界です。

――作品を書くうえで悩んだところは?

 “単巻完結にしてシリーズ化の余地はとにかくたっぷり”との矛盾した要件を備えるのが、創作の命題になってしまっています。前の作品もそうであり、これも例外ではなく“続刊でありながら、シリーズ化ではない単発作品”です。ですので、この作品を読まれる方には、初めて触れる方もいれば、すでにすべての作品に触れている方、一部の作品だけにしか触れてない方も想定されるわけです。しかも、今回は、初めての前後巻となってしまいました。すべてのパターンの読者を満足させるための均衡点なるものを考え、なおかつ前後巻であることを考えたら頭から煙が出ました。

――執筆にかかった期間はどれくらいですか?

 半年ほどでしたでしょうか。思った以上に時間がかかってしまいました。暑さと体力のなさと健康問題は、暦を無駄に重ねます。この点はもっと改善の必要を感じました。

――主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。

 元々、前に書いた作品に出ていたのですが、せっかくなので勤労賞としてスポットライトを当ててみようと思いました。今回の主人公ははっきり言えば短気です。ツンケン娘です。時代設定も主流ではないから、どうせなら、というわけではなかったはずですが、その人格も電撃の主流からかなり外れているかもしれません。

――今後の予定について簡単に教えてください。

 前編となりましたので、後編がありますって、これは当たり前ですね。でも、今後の予定なので、後編に触れないわけにもいきません。それ以上のことになりますと、まったくの白紙です。もしかしたら、その後の話、同じ系列の別の人の話、まったく別の人物が主軸の話、といった具合に今のところの選択肢は浮かびます。

――小説を書く時に、特にこだわっているところはどこですか?

 “単巻完結にしてシリーズ化の余地たっぷり”が基本的な方針ですので、特にこだわっている点になりますね。

――執筆中の印象的なエピソードがありましたら教えてください。

 最初から前後編にしようとの方針があったうえで、この作品の創作に臨んだわけではなく、途中でそれが加わったのですが、これが思った以上に大変なことになりました。苦戦しているところで、冷房も使ってないのに悪性の風邪を引いて、長期間、自力では病院も行けないほどの病臥の状態になるとか、まずいことが重なりました。健康は大切です。

――アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?

 音楽をよく聴いていたのですが、PCのディスプレイが壊れてしまいまして、あわてて買いなおしたらスピーカーを内蔵していないタイプでした。PCを買った際に付属であった外付けのスピーカーを代打投入したら、こちらも間もなく故障。デッキはあるのですが、こちらもダメになり……音楽のない悲しい生活が続いています。

 とほほ、となりながら、どの方法でこの生活を修復するべきか思案中です。

――ゲームで熱中しているものがあれば教えてください。

 時間がなくてやれてなくて。新しいハードも全然わからなくなってしまって久しい、すっかり時代遅れの人です。気晴らしにブラウザゲームをたまにやっている程度でして。前々より作る側になりたいと思ってはいるのですが、どうにかそのための時間や労力をいかに確保するかという日常が、ゲーム化していると言えるかも知れません。娯楽として、はてしなく楽しめてないのが実情なんですけどね。

――それでは最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。

 少し間隔が空いておりますが、11月に後編も控えています。興味をお持ちになられましたら、お手に取っていただけると幸いです。

(C)水鏡希人/AMW
イラスト:文京竹見

データ

▼『人形たちの夢 前篇』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2012年7月10日
■価格:641円(税込)
 
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Amazon.co.jp

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