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2012年11月5日(月)

【さくら荘のペットな創作者たち】小説『さくら荘のペットな彼女』の原作者・鴨志田一先生にいろいろとお話を聞いてみた!

文:電撃オンライン

 10月8日を皮切りに、各地で放送がスタートしたTVアニメ『さくら荘のペットな彼女』。その連続インタビュー企画“さくら荘のペットな創作者たち”をお届けしていく。

『さくら荘のペットな彼女』

 『さくら荘のペットな彼女』は、鴨志田一先生原作(イラスト:溝口ケージ先生)の電撃文庫をTVアニメ化したもの。かわいくて天才的な絵の才能を持っているが、1人ではパンツもはけないほど生活能力がない椎名ましろと、彼女の“飼い主”をすることになってしまった少年・神田空太の関係を描いた青春ラブコメだ。2人が暮らす学生寮・さくら荘には、変人――だけど才能あふれるクリエイターの卵たちが数多く入居している。空太とましろの関係はもちろんのこと、そんな住人たちと織りなす、ちょっぴり甘酸っぱい人間模様も見どころとなっている。

 この企画では、クリエイターの卵がたくさん登場するこの作品にちなんで、TVアニメ『さくら荘のペットな彼女』を作るクリエイターたちの話を順次掲載していく。第1回となる今回の創作者は、“原作者”鴨志田一先生にいろいろとお話を聞いてみたので、じっくりと読んでみてもらいたい。

『さくら荘のペットな彼女』
▲鴨志田先生の愛用品。

――まずは、『さくら荘のペットな彼女』においてどういう役割を担当しているのか……って、聞くまでもないですが。

 そうですね。原作者であることは言うにおよばずですが(笑)、それ以外ですと、いろんなものの確認作業ですね。脚本会議を始め、いろいろなところに参加しています。他にもDVD&Blu-ray用の短編小説を書いたり。って、これはまだ書いていませんが(笑)。

――アフレコなどにも立ち会ったりしているんですか?

 ええ、立ち会っています。アっと言う間に時間が過ぎていく感じでした。もちろん声優の皆さんの演技がキャラクターに合っているかを確認させていただいているのですが、どちらかというと楽しんでいる側面のほうが強かったですね。

――どうして小説家を志したんですか?

 そうですね……小説家になろうとしたというよりも、コンテンツを制作する人間になりたかったんです。誤解を恐れずに言うと、「遊びながら仕事がしたいなぁ~」なんて思ったのですが、それが中学・高校のころですね。

 小説もそうですが、アニメやマンガ、ゲームなどに触れながら育ってきて、どうせ仕事をして食べていかなければいけないのであれば、単純に好きなことを仕事にしたいと思ったんです。

――小説家という仕事のおもしろいところ、大変なところはなんですか?

 おもしろいところは、自分の書いたものに対して感想をもらえるところですね。その中には「おもしろい!」という声もあればその逆もあります。でも、どんな形であれリアクションをもらえるからこそ書いているという面はあります。作品を世に送り出して、誰かに読んでもらえることに対して達成感があります。ファンレターをいただくと、うれしいという気持ちになりますし、もっとがんばらねば! と思ったりします(笑)。

――人に読んでもらえるという部分が大きいということですか?

 そうですね。極端な話ですが、例えば「お金ははらうので、作品を書いてください。でもその作品は世に出しません! 誰にも読ませません!」と言われたら書きません(笑)。やはり、読んでいただけることが何よりも書く動機になっていると思います。

――小説家を始めたころの自分と、今の自分とで違うところってありますか?

 う~ん……自分の書いた内容を覚えられなくなってきました(笑)。これは単純な話で、修正のために作品を何度も読み返すんですが、それが次第に少なくなってきたな、と。勘違いされないように言っておきますと、これは手を抜いているわけではありませんよ。最初のころって、とにかくがむしゃらに書いて書いて書きまくっていたため、必然的に修正のために読み直す回数が多かったんです。でも今は、もっと全体像を考えてから書けるようになってきたので、読み返す回数も少なくなりました。小説の作り方がわかってきたんだな、と思います。

――小説の作り方、ですか。

 自分がどういうプロセスを経て作品を作っていくのかがわかってきたんだと思います。これはもう作家によって全然違うので、自分で構築していくしかないんですよね。1冊の本を書くために必要な作業というのがだんだんと効率化されていって……最初の話に戻りますが、結果として自分で書いたものを読み返すことが減っていったんだと思います。昔よりは俯瞰してものを考え、作れるようになったのではないかと。

――自分の書いた作品が初めて書店に並んだ時、どんなことを思いましたか?

 (書店に)見に行きました。そして「本当に並んでるよ」と思ってきびすを返したことは覚えています。傍目で見ていたら、若干ニヤニヤしていたとは思います(笑)。うれしいとともに、「これで1つ終わったな」という達成感とも喪失感とも言えない感情はあったと思います。ただ、今まで自分の本が売れる瞬間を見たことがないんですよ。新刊の発売日に秋葉原に行ったら見られるとは思うのですが……。

――これまでに経験した中で、一番印象的な仕事はなんですか?

 なんと言っても今やっている『さくら荘』の仕事ですね! こうしてアニメも始まって、スタッフにも恵まれて……こんなに楽しい仕事はないですね。

――『さくら荘のペットな彼女』のアニメ化が決まった時は、どういう心境でしたか?

 う~ん、心のどこかで信じていなかったと思います(笑)。最初、編集者さんから「アニメ化するかも?」くらいのふんわりした感じで聞かされて、いくつかの段階を経て「アニメ化します!」になったので。でも、「します!」と聞かされた後も心の中では「まだどうなるかはわからないぞ」とか思っていました。今はもう、どうもこれは本当のことだと思っていますが。放送されたら喜ぶことにします(笑)。

――『さくら荘のペットな彼女』には、クリエイターの卵たちがたくさん登場する作品ですが、デビュー前に「これはやっておいてよかったな」ということはなんですか?

 これは難しいですね……。僕の青春アルバムをめくっても、特別な体験はなかなか出てきませんが……。運動はやっていてよかったと思いましたね。

――何をなさっていたんですか?

 小学校のころには水泳とサッカー、中学生のころにはバスケットボールをやっていました。スポーツをやっていると、基礎的なトレーニングを繰り返したりするので、単純に苦しいことへの耐性がつきますよね。1人で何かを黙々とやることについては、だいぶ強くなったと思います。ある時、腕を複雑骨折してしまって、それをキッカケに本を読む時間やゲームを遊ぶ時間が増えましたね。

 それと、高校生の時にはアルバイトをしておいてよかったな、と思っています。一気に視野が広がるというか、学校の中ではない社会に触れることができたのは、考えが広がったと思います。……スポーツもアルバイトも、創作につながっているのかと言うとビミョーに違う気がしないでもありませんが。普通のことですしね。

――ちなみにゲームって、どんなものを遊んでいたんですか?

 家で遊ぶ際には、RPGやS・RPG。ゲームセンターでは対戦格闘ゲームに明け暮れていました。最近ですと『ドラゴンクエストX』を始めました。

――それでは最後に、読者へメッセージをいただけますか?

 ただいまTVアニメが絶賛放送中ですので、楽しんでいただければと思います。TVアニメで『さくら荘のペットな彼女』の世界に触れ、もしご興味があれば原作小説のほうもお手に取ってもいただければ幸いです。


 次回の“さくら荘のペットな創作者たち”は、TVアニメ『さくら荘のペットな彼女』のシリーズ構成を担当する脚本家・岡田麿里さんのお話をお届けする予定です。岡田さんはどうして脚本家になったのか? いろんなお話を聞かせていただいたので、ファンは次回もお楽しみに!

■TVアニメ『さくら荘のペットな彼女』
【放送情報】
 MBS……毎週月曜 26:20
 TOKYO MX……毎週月曜 24:30
 テレビ愛知……毎週火曜 26:05
 tvk……毎週月曜 25:00
 アニマックス……毎週金曜 22:00
 BSアニマックス……毎週土曜 22:30(※無料放送)

【スタッフ】(※敬称略)
 原作:鴨志田一(『さくら荘のペットな彼女』/アスキー・メディアワークス刊)
 原作イラスト:溝口ケージ
 監督:いしづかあつこ
 シリーズ構成:岡田麿里
 キャラクターデザイン:藤井昌宏
 プロップデザイン:小渕陽介
 美術監督:備前光一郎
 色彩設計:石田美由紀
 撮影監督:川下裕樹
 編集:西山茂(REAL-T)
 音響監督:明田川仁
 音響制作:マジックカプセル
 音楽:林有三
 音楽制作:メディアファクトリー
 プロデュース:GENCO
 アニメーション制作:J.C.STAFF
 製作:さくら荘製作委員会

【キャラクター&キャスト】(※敬称略)
 神田空太:松岡禎丞
 椎名ましろ:茅野愛衣
 青山七海:中津真莉子
 上井草美咲:高森奈津美
 三鷹仁:櫻井孝宏
 赤坂龍之介:堀江由衣
 千石千尋:豊口めぐみ
 メイドちゃん:???
 飯田綾乃:浅野真澄
 神田優子:小倉唯

(C)鴨志田一/アスキー・メディアワークス/さくら荘製作委員会

データ

▼BD/DVD『さくら荘のペットな彼女』第1巻
■発売・販売元:メディアファクトリー
■品番:BD ZMXZ-8271/DVD ZMBZ-8281
■発売日:2013年1月30日
■価格:BD 8,190円/DVD 7,140円(各税込)
 
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