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2012年12月21日(金)

「僕のカードゲーム人生の尊敬の対象です」ブシロード・木谷社長他『モンスター・コレクションTCG』関係者へのインタビューをお届け!

文:さくたろう

■これまでのユーザーを大事しつつ、そこからさらに発展させていく

――『モンコレ』を販売するにあたり、どのユーザー層を一番大事にしていこうと考えているのでしょうか。

木谷:これまで『モンコレ』を支えてきていただいたユーザーさんを一番大事にしていくのは、最初から変わりません。ただ、そのユーザーさんのためにも、新規のユーザーを増やすべきだとは思っています。

 今の『モンコレ』の戦略は、既存ユーザーへのプロモーションやケアを4割、以前に『モンコレ』をプレイされていたユーザーさんへ向けて、今『モンコレ』が楽しいんですよとTV-CMなどでアピールするのが3割。たとえば今『モンコレ』をプレイしていない人が、『モンコレ』の情報をあえて検索したりとかはしないじゃないですか。TV-CMというのは、そういう人たちへのアピールがかなり有効なんですね。ですから、これは定期的に行っていきたいなと。

 そして残り3割なんですが、少し不遜(ふそん)な言い方になりますが、当社は中高生を始めとするライトなカードゲームユーザーを増やしたと思います。その人たちがカードゲーム初心者だとすれば、中級・上級向けのカードゲームも当社が提供していかなければならないんです。そして、その上級向けカードゲームにあたるのが、『モンコレ』なんですね。全員が移行するのは難しいと思いますが、当社のカードゲームを楽しいと感じていただけるユーザーが、少しでも『モンコレ』に移行していただければなと。

――先日発表された“ヴァンガード×モンコレ クロスキャンペーン”も、ユーザーの『モンコレ』への導線の1つですよね。

木谷:『ヴァンガード』という言葉を付けて発表するだけで、ネットでかなり拡散されるんですよ。そこから、「『モンコレ』って昔遊んでいたあの『モンコレ』?」とか、いろいろな方の目に止まると思うんです。当社では『ヴァンガード』が一番の最大商材で、それとコラボをすることで、そのユーザーさんに『モンコレ』もアピールできるんです。

『モンスター・コレクションTCG』
▲『ヴァンガード』の人気キャラクター・パシフィカが、『モンコレ』のユニットとして参戦。一方の『ヴァンガード』には、『モンコレ』の《珊瑚の王女テティス》が登場する。

 それと、先ほどの宴会で(※このインタビューは、初日夜の宴会後に行われました)ユーザーさんと話してみて思ったことなんですが、実は当社のカードゲームで『ヴァイスシュヴァルツ』と『ヴィクトリースパーク』と『ヴァンガード』は試合時間が比較的短いんですよ。『ChaosTCG』はそれよりも少し長くて、『モンコレ』はそれよりも長いんですね。それらのカードゲームを同じ大会で運営するのはどうなのかという疑問が少しあるんです。でも、これは一緒にやるしかないので、今はどうしようもないんですが、本当ならボードゲームのイベントなどに合わせたほうがいいのではないのかと。

 アークライトさんがやっているアナログゲームのイベントの“ゲームマーケット”は、今とても盛り上がっていますし、ボードゲームのブームもだんだんと来ていて、時間をかけてゲームを楽しむという考えを持ってた方が増えてきたように感じます。『モンコレ』とボードゲームの親和性はかなり高いと思うので、こういう他社さんのイベントとのかかわり合いも、来年は考えていかなければならないと感じています。

高橋:私自身、今年の秋の“ゲームマーケット”や夏の“JGC(ジャパン・ゲーム・コンベンション)”にも足を運んだんですが、『モンコレ』の第1回全国大会は“JGC”で開催されていたこともあり、そういう場でもイベントを開ければ、元々プレイしていたユーザーさんへのアピールもできるのかなと思います。

――『モンコレ』の新規ユーザーを獲得するために、何をすべきだと考えていますか?

木谷:新規ユーザーを一番獲得しやすい時期って、春なんですね。これは進学とか進級で一緒に遊ぶ仲間が新しくなるからで、新規ユーザーに向けて何かを行うとするならば、この時期に重点的にやるべきだと考えています。

高橋:2月に『モンコレ』は新しいブロックに進むので、そのタイミングに合わせて初心者向けのイベントを開いていこうと考えています。『モンコレ』は1回触っただけではわからない魅力もありますので、そこはきちんと伝えていければなと。

木谷:ただ、1回の講習会で『モンコレ』のすべてを覚えられるのかというと、それは難しいと思うんですよね。『モンコレ』の大会をずっと開いていただいているショップや、店員さんが『モンコレ』の遊び方を教えてくれるようなショップを、モンコレ優良店としてサポートしていけるようにするのもありなのかなと。そういうショップを全国に100店舗くらい作り、ホームページで『モンコレ』を始めたいならここに行けば大丈夫と紹介するなど、そういう仕組み作りがこれからは重要になると思います。

 それと、宴会では『モンコレ』のカードゲームとしての商品だけでなく、ドラマCDが欲しいとか、アニメを見たいとか、そういう要望もありましたね。TVアニメというのは難しいですけど、最初に作ったPVが評判よかったので、そのクオリティで30~40分のアニメを1本作るというのはあるかもしれません。そこからドラマCDを出し、キャラクターも見せていければ、世界観から『モンコレ』に入ってきてくれる人の入口もできるんじゃないかなと。

――ちなみにブシロードとしては、カードのデザイン部分などにはどのくらいかかわっているのでしょうか?

高橋:ブシロード移行段階では、グループSNEさんと“イニシアチブ対抗”などの要素はルールが複雑になってしまうので、なくしていこうと相談していました。

木谷:カードゲームのデザインに関しては、現場レベルではかなり打ち合わせをしていましたよ。

高橋:今もデザインに関してはグループSNEさんにおまかせしています。ただ、どうしても気になるところがあれば、相談させてもらったりしていますね。

木谷:ブシロードのスタンスとして、“除去”と“回復”は極力出さないようにしているんですね。この理由は、相手が不快になってしまうのと、ゲームがなかなか終わらないということからなんです。どうやって攻撃していくかを考える攻撃重視になるように、どのカードゲームもデザインさせていただいています。

高橋:ブロック3では“リチュアル”というタイプが出ましたが、これもかなりの相談とやり取りの末にできたカードなんです。でも、今回の“リチュアル”は、自分の攻めにしか使えないカードで、いい形に落ち着いたかなと思います。

■ブシモ版『モンコレ』の可能性は?

――GREEでソーシャル版の『モンコレ』が展開していますが、御社の“ブシモ”で来年配信される『ChaosTCG』のゲーム版『Chaos Online』のように、『モンコレ』も“ブシモ”で展開する予定などはありますか?

木谷:ブシモでやるとしたら、実際の『モンコレ』と同じルールで動かせないと意味がないと思うんですよ。

高橋:私も同意見です。

木谷:ブシモでは『ヴァンガード』も配信しますけど、これは惑星クレイを描くRPGのようなゲームなんですね。『ヴァンガード』自体はルールが簡単だし、どのショップでもプレイヤーさんがいて、いつでもできるカードゲームです。だから、あえて実際のルールと同じ形にはしなかったんです。

 オンラインのいいところって、対戦相手が簡単に見つかることと、ある程度ルールがわからなくても、自動的に処理してくれることだと思いますが、そう考えるとやはり『モンコレ』はカードゲームとまったく同じじゃないと、ゲームとして出す意味がないんですよ。ですから、今回の『Chaos Online』はカードゲームとまったく同じルールなんです。来年配信のこの作品の様子を見て、次に手掛けるとすれば『モンコレ』かなと思っています。

高橋:『Chaos Online』は、ゲーム版のチームと『ChaosTCG』の制作チームがしっかりやり取りしながら作っているのを見ているので、『モンコレ』もゲームとして作る場合は、その部分をしっかりとやっていきたいですね。

――昨年『ゴッドイーター』とコラボした『モンコレ』が発売されましたが、これから他社タイトルとのコラボの予定などはあるのでしょうか?

木谷:なるべくやっていきたいとは思っているんですけど、いいタイトルがあればということで。

高橋:コラボで『モンコレ』をもっと盛り上げていきたいとはつねに考えています。もしコラボが決定しましたら、すぐにお伝えしていきたいと思います。

――今回の温泉合宿に参加されてみての感想はいかがですか?

高橋:改めてユーザーさんの熱意を感じられたのは大きいですね。それと、ブシロード移行後から『モンコレ』を始められたというユーザーさんも、この企画に参加されていて、そこが驚きでした。最初はコアユーザーさんばかりが来られるものだと思っていたので、その点はすごくうれしかったですね。

――今回の企画は開催場所が熱海でしたが、全国のどのあたりの方が参加されたのでしょう?

高橋:7割近くが関東のユーザーさんですね。それと岩手や、大阪・神戸といった方もいらっしゃいましたね。

木谷:僕は宴会からの参加なので全部はわかりませんが、僕の見た限りでは大成功なイベントじゃないでしょうか。ユーザー同士だけでなく、開発陣も楽しめる、こういう慰安旅行的なのはまたやりたいですね。

――それでは最後に、読者へのメッセージをお願いします。

高橋:『モンコレ』は15年もの歴史があるタイトルです。カードゲームのつねとして、長く続いているタイトルは入りにくいというイメージがあると思いますが、今はブロック制という形を取っており、新規ユーザーがプレイしやすい環境をつねに作っています。『モンコレ』はプレイすればプレイするほど発見がありますし、非常に魅力あるおもしろいタイトルです。2月には新しいトライアルデックも出ますので、ぜひこの機会に『モンコレ』をプレイしてみてください。

木谷:今年は15年ですが、次は20年を目指して頑張りたいですね。今カードゲームをプレイしたことがある人というのは、10年前と比べてみても倍以上になっているかと思います。その中から『モンコレ』をプレイしてくれるユーザーを増やしていくのは、ここ2年くらいが大きなチャンスかなと思っています。この温泉合宿も、第4回目くらいには、参加人数を150人くらいにしたいですよね。次にやるとしたら、関西方面で有馬温泉とかがいいね(笑)。

――本日はありがとうございました。

→次は加藤ヒロノリさん他
『モンコレ』開発陣のインタビューをお届け!(3ページ目へ)

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