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2012年12月29日(土)

【Spot the 電撃文庫】新たな呪いの怪奇幻想譚『ノロワレ 人形呪詛』を放つ甲田学人先生のインタビューをお届け!

文:電撃オンライン

 電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。第64回となる今回は、『ノロワレ 人形呪詛』を執筆した甲田学人先生のインタビューを掲載する。

『ノロワレ 人形呪詛』
▲三日月かける先生が描く『ノロワレ 人形呪詛』の表紙イラスト。

 本作は、『Missing』『断章のグリム』シリーズの甲田学人先生が放つ、新たな呪いの怪奇幻想譚。真木現人(まき あらひと)は双子の兄・夢人(ゆめひと)のことがきらいだった。しかし、いじめと呪いをテーマにした小説『呪験』で15歳にして作家になり、上京した夢人が、その内容に影響された殺人事件により帰郷することに。

 現人は何かと比較される兄が戻ってくるだけでもしゃくに触るのだが、七屋敷薫(ななやしき かおる)という少女と夢人の婚約が、そんな気分にさらに拍車をかける。昔からこの土地に住む旧家出身で育ちがよく、少し浮世離れした美しさを持つ夢人の婚約者。しかし――「七屋敷は呪われている。七屋敷の花婿は、呪いによって、2年と経たず早死にするのだ」とまことしやかに噂される言い伝えがあるのだった。

 夢人を慕う妹の真木信乃歩(しのぶ)さえ巻き込んで、彼らを蝕む呪いの物語が静かに始まりを告げていく……。

 甲田先生には、本作のセールスポイントや小説を書く時にこだわっているところなどを語っていただいた。また、電撃文庫 新作紹介ページでは、本作の内容を少しだけ立ち読みできるようになっている。まだ読んでいない人はこちらもあわせてご覧あれ。

――この作品を書いたキッカケを教えてください。

 実は大雑把な構想としてはかなり前からあったので、きっかけと言われると難しいです。主にキャラクター周りが中心の構想がありました。『断章のグリム』を畳むことを決めた際に、徐々に全体を具体化した形です。

――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?

 若くして作家になって家を出ていた兄の突然の帰郷から始まる、田舎を舞台にした呪いにまつわる物語です。セールスポイントは……まあ、大体いつもの甲田学人ということで。オカルトとか好きな人寄っといで、という感じで。

――作品を書くうえで悩んだところは?

 初期の構想からずいぶんと経っていたので、具体化するに当たって少々迷走しました。まだ一部は迷走してるかもしれない。後は書き出してからですが、長く書いていた前作の癖がなかなか抜けなかったことでしょうか。

――執筆にかかった期間はどれくらいですか?

 どれくらいだったでしょう? 執筆の間は時間の感覚が曖昧で……。えー、〆切に関しては、いつも申し訳ないと思っております(笑)

――主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。

 私は“主人公が主役ではない”という構造が好きで、今回もそれになっています。名探偵や狂言回しは、一番目立ちますけど主人公じゃないという。キャラクターについては、前作を書き上げた後、思い返してみると結局悪人が一人もいなかったなあ、と感じたので、今回は主役の性格が悪いです。

 あと、考えてみると今作は明確にヒロインと呼べるキャラクターがいないので、公式海賊本みたいな企画に参加できないんじゃないかと、ふと思いました(笑)

――小説を書く時に、特にこだわっているところはどこですか?

 文章に、特にリズムにこだわりがあります。あと、良文ではなくとも、読む人を引き込む、力のある文章を目指しています。

――アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?

 何日もしぼり出すように考えて、考えて、考えて……その末にふっと考えるのを止めて力を抜きます。そうすると詰まった思考が流れ出すことが多いです。

――高校生くらいのころに影響を受けた人物・作品は?

 私が小学生から高校生くらいのころは怪奇スポットや心霊写真といったものの全盛期で、学研などから怪奇本が何冊も出版されてました。そのあたりは私の原型になっていると思います。当時は著者の名前なんか気にもしていませんでしたが、作家になってからそういった怪奇本の著者である中岡俊哉さんの書いた大全を買いました。心霊写真ブームの立役者の1人だったそうで、昔見たことのある写真がいくつも収録されていました。原点のひとつですね。

――現在注目している作家・作品は?

 最近資料ばかりで小説を読んでいません……。

――ゲームで熱中しているものがあれば教えてください。

 『とびだせ どうぶつの森』を買いました。しかしなかなか立て込んでいてしっかりと遊ぶ時間が……。

――今熱中しているものはなんですか?

 『とびだせ どうぶつの森』を、それなりに熱心に。熱中というならしばらく前まで万年筆には文字通り熱中していましたが、万年筆はもうかなり自分の一部になりました。酒とか、熱中したものの一部はそうやって自分の生活の中に溶けて行くんですが、『とびだせ どうぶつの森』はさすがに生活の一部にはならないでしょうね(笑)

――それでは最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。

 呪術。オカルト。民俗学。それから性格の悪い17歳の作家と、彼と仲の悪い双子の弟。そんな上の兄が大好きで、下の兄が大きらいな内向的な妹。それらが中心になって織りなす呪いの物語……というのが今作です。これらのキーワードに興味を惹かれるものがあったら、ぜひ手に取ってみてください。

(C)甲田学人/AMW
イラスト:三日月かける

データ

▼『ノロワレ 人形呪詛』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2012年12月10日
■価格:578円(税込)
 
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Amazon.co.jp

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