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2013年2月2日(土)

【Spot the 電撃文庫】アクション過剰なヒートフルファンタジー『灰燼のカーディナル・レッド』でデビューした西村西先生にインタビュー!!

文:てけおん

 電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。第66回となる今回は、『灰燼のカーディナル・レッド』を執筆した西村西(にしむら せい)先生のインタビューを掲載する。

『灰燼のカーディナル・レッド』
▲暗猫先生が描く『灰燼のカーディナル・レッド』の表紙イラスト。

 本作は、高度な科学と魔法が同時に存在する独特な世界を舞台に、強大な敵を相手に暴れ回る主人公ケイレヴ・レッドの活躍を描いた、アクション山盛りの“ヒートフルファンタジー”。作品の舞台は、北部軍事国家アーミラルと南部魔導国家リヒターが熾烈な争いを繰り広げていたウォールトル大陸。強大な力が秘められた“皇帝の遺産”を巡る戦いが繰り広げられていたこの世界に、争いに終止符を打つ者が現れる。

 魔王クラスの魔人“ベリアル”を左手に宿し、爆炎を操る最強の炎使い──その男の名は、ケイレヴ・レッド。アーミラルが誇る一騎当千のイカレた戦闘部隊“デッドマンズ”の1人である。連綿と続いた戦争は英雄の活躍によりついに終わりを迎えることとなるのだが、新たな争いの火種が生まれることになり……。

 西村先生には、本作のセールスポイントやどうして小説を書こうと思ったのかなどを語っていただいた。また、電撃文庫 新作紹介ページでは、本作の内容を少しだけ立ち読みできるようになっている。まだ読んでいない人はこちらもあわせてご覧あれ。

――この作品を書いたキッカケを教えてください。

 実は『灰燼のカーディナル・レッド』にはプロトタイプのようなものが存在します。それは、私が生まれて初めて書いた(読めたものじゃない)長編小説なのですが、ふと「これが俺の原点なんだよな……」と思った私は、それを大幅に改良してプロットとして提出しました。紆余曲折ありましたが、そのプロットで無事ゴーをいただき、こうして作品出版までこぎつけた次第です。

――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?

 これはあとがきにも書いたことなのですが、やはり過激なアクションでしょうか。人間離れした力を持つ、一本気な熱血主人公がガンガン暴れまくる姿に爽快なものを感じていただければ幸いです。

――作品を書くうえで悩んだところは?

 現代的なセンスの欠如ですね。文章の硬さ、人物や作中に登場するガジェットのネーミングなど、このあたりには悩みました。もっとカッコいいネーミングを、と何度言われたことか(笑)。

――執筆にかかった期間はどれくらいですか?

 2012年2月中旬くらいにプロットが通り、それから作品執筆に取り掛かり、紆余曲折あって初稿を上げたのが10月中旬くらいでしょうか。直しの期間はそれから1カ月、あとは本当に細々としたところを直してもう1カ月です。

――執筆中に起きた印象的な出来事はありますか?

 実はこの作品、プロットの段階で1度ボツをくらっています。その後「どうしてもこれでやってみたいんだ!」という熱意を込め、詳細を記した新たなプロットを作成し、再提出しました。ゴリ押しした甲斐もあり、こうして無事、作品として形になりましたが、提出当初は「出すぎたことをしたのではないか」とガクブルしていました。

――主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。

 ケイレヴ・レッドについては、強くて熱血で曲がったことがきらいで仲間を思いやる硬派な男という、少年漫画の主人公のような人物として書きたいと最初から思っていました。私自身、捻ったキャラクター造形を苦手にしていることもありますが、基本的には前向きでカラッとした人物が好きなので、上記のような主人公を目指しました。

――今後、どういった作品を発表していきたいですか?

 北海道出身(在住)なので、いつか地元である北海道、それもできれば冬の札幌を舞台にした作品を書きたいと思っています。私の地元あたりで、バカ学生がおもしろおかしくバカやってるような青春モノがいいですね。目標というよりは、野望みたいなものです。

――小説を書こうと思ったキッカケは?

 元々、超能力や魔法のような力が登場する世界観を表現したいと思っていたのですが、自分1人でそれをやるにはどうすればいいだろうかと考えていました。そうして、ある日「そうだ、俺は文は書けるから小説を書いてみよう!」と、そう思い立ったのがキッカケです。作家としてデビューしたのは、それから約5年後のことです。

――初の商業作品というところで、その感想は・

 こんなこと言うとバチが当たるかもしれませんが、まだあまり実感が湧いていません。見本誌もいただき、作品の販売も始まったのに、何だかいまだにフワッとした心持ちです。

――小説を書く時に、特にこだわっているところはどこですか?

 タイトルは一番最後に考える、ということでしょうか。投稿時代も含め、このスタイルは今に至るまで一貫しています。本作の時もタイトルが最後の最後でした。

――アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?

 もう、ひたすら1人で悩み続けます。部屋の中で1人、頭抱えて悩みます。外出してても悩みます。風呂に入って悩みます。トイレに入って悩みます。メシ食いながら悩みます。寝ながら悩みます。寝て起きて、また悩みます。そうしていよいよ書き始めますが、書きながら常に悩みます。書いた後も、これでよかったんだろうかと悩みます。基本、ずっと悩んでます。

 こうして本が出版された後ですら、あそこはああしておけばよかったのではないか、こうしておけばよかったのではないかと悩んでいます。多分、これから先もずっと悩んでるんだと思います。そうやってアイデア出してます。

――高校生くらいのころに影響を受けた人物・作品は?

 小島秀夫監督です。私が高校生のころ、監督の代表作『メタルギアソリッド』が世に出たのですが、このシリーズは今でも大好きで、新作が出る度に予約して買っています。作品世界に漂う濃厚なミリタリー臭と人物の硬派な感じについては、我ながら影響受けまくっていると思います。

――現在注目している作家・作品は?

 大勢おられるのですが、特に注目しているのは森見登美彦先生と夢枕獏先生でしょうか。今現在、森見先生は奈良で養生しておられるようなので、1日も早い御回復と、新作の執筆を心よりお待ちしております。夢枕獏先生については、もう一言しか言うことありません。はやく餓狼伝の新刊読みたいっす(笑)。

――今熱中しているものはなんですか?

 当然と言えば当然かもしれませんが、小説です。ここまで心を砕いて何か一つのものを作るという作業は、もしかすると生まれて初めてかもしれません。雨の日も風の日も大雪の日も、小説のことを考えない日というのはありません。

――ゲームで熱中しているものがあれば教えてください。

 今現在は『龍が如く5 夢、叶えし者』をやっています。もうクリアしましたが、小牧老人とのダンスバトルは今でも脳裏に焼きついています……。元々テレビゲームが大好きなので、数々の作品をやってきたのですが、このシリーズは外伝的作品も含めてすべてやっています。

 ちなみに去年、作品関連の作業と担当さんとの初顔合わせをかねて上京したのですが、その時世話になった、東京に住んでいる同郷の友人に、「東京に来たなら神室町行ってヤ●ザなぐってレベル上げてこい」と言われました。あの温厚な男が、東京で暮らすうちにこんなことを言うようになるとは……。私は、東京こそが修羅の国だと思いました(笑)。

 脱線失礼。これから楽しみなゲームは、『メタルギアライジング リベンジェンス』と、『ギアーズ・オブ・ウォー ジャッジメント』でしょうか。どちらも大好きなシリーズの続編です。こんなんばっか書いてると担当さんに怒られそうですね。

――それでは最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。

 本作『灰燼のカーディナル・レッド』は、高度な科学と魔法が同時に存在する独特な世界を舞台に、主人公ケイレヴ・レッドが自身の信念を貫くため、強大な敵を相手に暴れ回るアクション過剰なヒートフルファンタジー作品となっております。硬派で熱い男たち+可憐な少女による戦いの物語、ぜひお楽しみください。

(C)西村西/AMW
イラスト:暗猫

データ

▼『灰燼のカーディナル・レッド』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2013年1月10日
■価格:620円(税込)
 
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