2013年2月13日(水)
――ここからは茜屋先生自身のことについていろいろとお聞きしたいと思います。そもそも小説を書こうと思ったきっかけはなんですか?
ライトノベルを書き始める前に、4コマ漫画を描いて持ち込みで見てもらっていたんですけど、致命的な問題がありまして……。
――致命的な問題とは?
絵を描くのが遅いんですよ。文章は考えるのも書くのも速いんですけど、絵を仕上げる速度が商業的には無理なレベルだったのであきらめました。それで、文章を書く速さを生かせるというところでライトノベルに落ち着きました。
――最初に漫画を描き始めたのはいつごろだったんですか?
5年……いや、もっと前だと思います。
――創作活動自体はいつから始めたんですか?
創作活動だったらもう20歳のころには始めてましたね。小説を初めて書いたのは22歳ですね。ファンタジー小説です。
――そもそも本作を書いたきっかけを伺った時に、15年前に書いたものがきっかけになったとおっしゃっていましたからね。漫画から小説に戻ってきてどれくらいになるんですか?
そろそろ3年くらいになりますね。
――作品の投稿はずっとしていたんですか?
書いては落選して書いては落選して……を結構な速度で繰り返していました。
――この3年間でどれくらい書かれたんですか?
正確にはわかりませんけど、去年の1次審査以上のものだけを数えてみたら、18本あったんですよ。1次審査以外で落ちているものも含めれば、もっとありますね。
――先ほどもおっしゃってましたが、書くのは速いんですね。
文字だけは速いですね。
――ちなみにこの作品はどれくらいの期間で書いたんですか。
書き始めてから3週間くらいですね。直しを抜きにすると2週間です。
――3週間! そんに速く書けるものなんですね。
設定の名称が悪いと言われて設定を書き直した時に、それで1週間くらい時間を取っています。書くのに2週間+直しで1週間ですね。
――では次に、これまで見た中で、影響を受けた作品を教えてください。
『風の谷のナウシカ』が原点ですね。小学6年生の時に見たと思うんですけど、ラストシーンで衝撃を受けまして。それまで夢はゲームデザイナーだったんですよ。でも『ナウシカ』を見た時に「僕が目指しているものはゲームじゃないのかもしれない」とショックを受けまして。そこから22歳まで何もしなかった……わけではないんですけど、外国のファンタジー小説の翻訳をずっと読んでいた時代があるんですよ。その中で「あ、自分も書けるんじゃないかな」と思って22歳の時にパっとファンタジー小説を書いちゃいまして、「書けるな俺」って勘違いしたんですよね。
――それは投稿されたりとかはしたんですか?
はい。角川スニーカー文庫の2次選考くらいまでいったと思います。
――もしもその作品が書籍化していたら、今とはまったく違った感じになっていたでしょうね。
いえいえ、振り返ってみるとやっぱりあれは無理だったと思います。
――先ほど、書く前にレンタルショップの棚にある西部劇をほとんど見たとおっしゃっていましたが、アイデアを出したりするために何かすることってありますか?
とにかく、エンターテイメントは常に見てますね。なるべくアンテナはしっかりと張っていないと、頭の中身がしょぼくれていくんですよ。何も読まないほうが文章を書けるんだという人は結構いますけど、僕はそういうタイプではありません。インプットして出てきたアウトプットがおもしろいと言われるほうなんですよ。だから暇があったらアニメ見てるか映画見てるかラノベ読んでるかみたいな。
(C)茜屋まつり/AMW
イラスト:蒲焼鰻
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