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2013年3月9日(土)

【Spot the 電撃文庫】美少女に触れたら死ぬ少年のドタバタラブコメ『美少女が多すぎて生きていけない』の芦屋六月先生を直撃

文:てけおん

 電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。第69回となる今回は、『美少女が多すぎて生きていけない』を執筆した芦屋六月先生のインタビューを掲載する。

『美少女が多すぎて生きていけない』
▲ユキヲ先生が描く『美少女が多すぎて生きていけない』の表紙イラスト。

 本作は、美少女アレルギーなのに、周囲は美少女だらけの不幸(?)な少年を主人公にした苦しく切ない生殺し系ドタバタラブコメ。猫専門の動物カメラマンを目指す少年・向井修一は、美少女アレルギーという奇病のため、幼少のころから美少女を回避して生きてきた。しかし、TVドラマやCMにも出演している人気女子高生モデル・美甘優奈に盗撮魔と勘違いされ、カメラを没収されてしまい……。

 芦屋先生には、本作のセールスポイントや小説を書く時にこだわっているところなどを語っていただいた。また、電撃文庫 新作紹介ページでは、本作の内容を少しだけ立ち読みできるようになっている。まだ読んでいない人はこちらもあわせてご覧あれ。

――この作品を書いたキッカケを教えてください。

 あれは、冬の寒い日でした。私は床に横になって、妄想をしていました。「嗚呼、世の中は美少女ばかりだ。部屋中どこを見回しても美少女ばかりだ……どうしてこんなに美少女であふれているのだろう……ううん、不思議だ。だけどもしこの美少女があふれている世の中で美少女ぎらい……いや、美少女アレルギーなんていう奇病を患っているヤツがいたとしたら、生きていけないだろうなぁ、ンフッ……ガタッ!」 ――これが、出発点です。

――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?

 美少女アレルギーです。女性恐怖症、美少女恐怖症ではありません。美少女アレルギーです。怖がる前に触れたら死にます。でも美少女が好きなんです、彼。おバカですね。

――作品を書くうえで悩んだところは?

 修一くんの鼻水の量でしょうか。あまりにも多すぎるとそれはそれでとんでもない絵面になってしまいますし、かといって出さなかったら案外平気なのでは? と思われてしまうため、鼻水の量の微調整には全神経を尖らせております。いや、なんとも汚い話ですが。

――執筆にかかった期間はどれくらいですか?

 第1稿は「……ガタッ!」と立ち上がってから3週間ほどで書き上げました。あのころが私の全盛期だったような気がします。ノリにノっていました。ダンスを踊りながらリズミカルにキーボードを叩いていたような気がします。しかしそれからは改稿に次ぐ改稿で心挫かれ、完成稿ができあがるころには窓辺で、もやしのように干からびておりました。

――主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。

 個人的に小夜子ちゃんの苗字が何なのか気になって胸が張り裂けそうです。

――執筆中に起きた印象的な出来事はありますか?

 それはもう、いちばん最初に担当さまからお電話をいただいたその日にはメールが届いていたにも関わらず、そのメールを1週間放置してしまい、挙げ句、メールを送ったので確認お願いします、というお電話までさせてしまい、そしてその電話にも寝ていて出なかったという無礼の数々、ですかね。翌朝、着信履歴とメールを確認して朝から顔面蒼白でした。血の気が引くとは……まさにあんな感じなんですね。以後、気を付けます。

――小説を書く時に、特にこだわっているところはどこですか?

 冒頭、最初の1行目と、物語のラスト1行。あとは読みやすさでしょうか。漢字ばかりだと固くなってしまったりつまずいて読むリズムが崩れてしまうので、ひらがなでいい場所はなるべく、ひらがなを使うように心がけております。

――アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?

 お風呂に入ったり、好きな音楽を聴きながら電車に乗って景色をながめたり、横になったり。特に湯船に浸かっているときが一番アイデアが浮かぶ気がします。以前は就寝前もアイデアが浮かんだのですが、最近はすぐに眠くなってしまうので困っております。

――高校生くらいのころに影響を受けた人物・作品は?

 高校のころではないのですが、大学時代に、いろいろな映画監督にお話をしていただいて、「ほへー」と口を開けて聞いておりました。

――現在注目している作家・作品は?

 ブラッド・アンダーソン監督です。物語のアイデア、発想には心惹かれますし、何より映画の雰囲気作りが素敵です。

――小説を書こうと思ったキッカケは?

 私は見た夢をよく覚えているのですが、おもしろかった夢を見たとき、その夢の続きが気になって、もっと見たい! と思いますよね。しかし同じ夢はそう簡単には見られません。そこで“ならば夢の続きは自分で考えよう”と思ったのが始まりでしょうか。これなら、どんな悪夢だってハッピーエンドに変えられますよね。

――初の商業作品というところで、その感想は?

 恥ずかしながら、先日、本屋を何軒もはしごしてしまいました。一喜一憂の毎日です。

――今後、どういった作品を発表していきたいですか?

 人生が楽しい人にはもっと楽しくなってもらえるような、そして「人生が楽しくない」、「自分はとても不幸だ」、「死んでしまいたい」、「消えてしまいたい」……そう思っている方々にも、ちょっとだけ笑ってもらえて、もう少し生きてみるかと思ってもらえるような、そんな作品を創っていきたいです。

――今熱中しているものはなんですか?

 睡眠です。夢の中が楽しくて仕方がありません。もう起きたくない。

――ゲームで熱中しているものがあれば教えてください。

 『Dead Space』シリーズが好きです。あの孤独感はたまりません。

――それでは最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。

 それでは、好きな美少女キャラを思い描いてください。目の前に、その美少女キャラがあらわれ、あなたに近づいて来るとします。しかしあなたは美少女アレルギー。彼女に触れたら死んでしまうかもしれない。しかし目の前には大好きなキャラが両手を広げてあなたのことを待っています。そんなとき、あなたならどうしますか? 死んでも良いからそのキャラの胸に飛び込みますか? それともグッと堪えてそのキャラを遠ざけますか? この物語は、そんな立場に立たされている少年の物語です。あなたが今後の人生で美少女アレルギーになったもしもの場合の対処法として、ぜひご参考にどうぞ……。

 それと、ユキヲさまのイラストが最高にかわいいのでご覧になってください。そしてそれだけではなく、本に付いてる帯をめくると……!

(C)芦屋六月/AMW
イラスト:ユキヲ

データ

▼『美少女が多すぎて生きていけない』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2013年1月10日
■価格:620円(税込)
 
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Amazon.co.jp

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