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2013年3月27日(水)

『ドラッグ オン ドラグーン2』が描く愛と狂気の終着点――紅と黒が交錯する『DOD2』の存在意義(レゾンデートル)を見つめ直す

文:タダツグ

 今年でシリーズ10周年を迎え、PS3で最新作『3』の制作が発表された『ドラッグ オン ドラグーン』シリーズ。シリーズ処女作を振り返った前回の記事に引き続き、今回は2作目となる『ドラッグ オン ドラグーン2 封印の紅、背徳の黒』について振り返っていく。

『ドラッグ オン ドラグーン2 封印の紅、背徳の黒(DOD2)』

 賛否両論ながらも大きな話題を集めた『ドラッグ オン ドラグーン』の続編として、2005年6月16日にPS2で発売された『ドラッグ オン ドラグーン2 封印の紅、背徳の黒』は、前作とはまた別のベクトルで話題を集めた作品だ。ゲームシステムが大きく進化して遊びやすくなり、ストーリーやキャラクターはより王道に近い形でブラッシュアップされながら、随所にはしっかりとシリーズ独自の“狂気”が織り交ぜられていた。

 まるで宝石の原石を見るような荒々しい魅力に満ちた前作に対して、洗練された完成度の高さが感じられる『ドラッグ オン ドラグーン2 封印の紅、背徳の黒』。そのストーリーやシステムについて、概要を振り返りながら紹介していく。

『ドラッグ オン ドラグーン2 封印の紅、背徳の黒(DOD2)』 『ドラッグ オン ドラグーン2 封印の紅、背徳の黒(DOD2)』

◆──<STORY>──◆
紅き竜が世界を再び封印してから18年──封印をめぐる新たな戦いが幕を開ける

 まずは、前作『ドラッグ オン ドラグーン』のエンディングから18年後を舞台に描かれる物語のプロローグを紹介しよう。


【『ドラッグ オン ドラグーン2』プロローグ】

 遠い昔、まだドラゴンが空を飛んでいた時代。世界に秩序をもたらす“封印”の破壊をもくろむ帝国軍と、それを阻止しようとする連合軍の戦いは熾烈を極めた。戦いのきっかけを作ったのは、6歳の少女・マナ。母の愛を求めるあまり、彼女は神にすがって帝国軍を先導する“天使の教会”の司祭になったのだった。

 連合軍の兵士・カイムは、レッドドラゴンのアンヘルと契約し、その力を振るって“封印の女神”である妹・フリアエを守り戦う。しかし、健闘むなしくフリアエが命を落とし、世界の崩壊が始まった。だが、アンヘルが“封印の代償”としてその身を捧げたことで、世界はからくも均衡を取り戻すことになる。

 それから18年──。

 かつての大戦の英雄の1人・ヴェルドレは、アンヘルによる“封印”を永遠のものとするために“封印騎士団”を組織。騎士団はその絶大な力を持って、世界に秩序をもたらしていた。

 その騎士団に所属する18歳の少年・ノウェ。黒き竜・レグナによって育てられ、“竜の子”と呼ばれる彼は、とある任務の最中に民衆から“聖女”と呼ばれる女性と出会う。

 紅き瞳が印象的な、その女性の名はマナ。彼女との運命的な出会いをきっかけに、ノウェは“封印”をめぐる新たな戦いへと身を投じることになる……。

 カイムやアンヘル、マナら、前作の主要人物も多数登場する本作。その物語は、前作の“Aエンディング”後の世界が舞台となっている。

 “封印の守護”を名目に掲げ、世界を我が物顔で統治する封印騎士団と、それに対抗するため、かりそめの平和の象徴である“封印”の破壊を目論むマナ。物語の序盤は今回も王道ファンタジーと呼べる展開だが、そこはやはり『ドラッグ オン ドラグーン』。物語が進むにつれて、人間なら誰しもが持つ心の弱さがどのような悲劇を巻き起こすかが、克明に描写されていくことになる。

 プレイヤーの目の前に広がる“絶望”。人間が持つ弱さ、もろさ、醜さといった心の闇がもたらす絶望の深淵に立ってなお、目を背けずに“あがく”人々の物語。この人間ドラマこそが『ドラッグ オン ドラグーン』シリーズの最大の魅力であり、今なお熱狂的なファンを引きつける媚薬であることは間違いない。

『ドラッグ オン ドラグーン2 封印の紅、背徳の黒(DOD2)』 『ドラッグ オン ドラグーン2 封印の紅、背徳の黒(DOD2)』
『ドラッグ オン ドラグーン2 封印の紅、背徳の黒(DOD2)』 『ドラッグ オン ドラグーン2 封印の紅、背徳の黒(DOD2)』
▲聖女と呼ばれるマナに共感し、封印を破壊する戦いに身を投じるノウェ。その先には、大いなる悲劇が待ち受けている。

→前作の登場人物たちも続々登場……
“封印戦争”終結後の世界を生きる登場人物たち(2ページ目へ)

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Character Design : Kimihiko Fujisaka.

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