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2013年3月27日(水)

次世代ハード・PS4についてゲームメーカー&クリエイターに緊急アンケート! PS4でゲームはどう進化する? Part1-2

文:電撃オンライン

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●クラウドに期待する理由は、ゲームがダイレクトに変化する可能性

――PS4に関する5つのキーワードが発表されましたが、吉田さんご自身がゲームを作る際、もっとも重要視するのはどの部分でしょうか?

 “Social”ですね。私が『ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア(以下、FFXIV)』 という大きなMMORPGを担当しているということもあります。現在、これだけ多くの情報があふれている中でゲームを遊ぼうとなった時、やはり友人からのプッシュはものすごく大きいと思っています。後は、ソーシャル機能の中でもフォーカスされている“プレイ動画”にも注目しています。僕自身、プレイ動画をよく作っていましたし(笑)。

――オンラインゲームを友人の影響で始めた、というのはよく見られる光景ですよね。

 友だちが動画を発信しているのを見て興味を持つのはもちろん、発信する側もゲームをプレイするだけでなく、そのゲームに深く参加していく感覚を味わえる。それは、とても重要なことだと思います。後は収益性の話になるのですが、これだけのハードを使いこなすゲームとなると投資もかさむと思いますので、やはりオンライン、そしてソーシャル的な側面は外せないと思います。

 特に日本はモバイル機が強いですし、生活サイクルを考えると、HDゲーム機を接続したテレビの前以外では、そのゲームの世界に触れられないというのは厳しい。ですので、プレイ動画をPS Vitaでいつでも見られるなどのソーシャル性が意味を持つと思います。

――クラウドの構想についても発表がありましたが、従来のコンシューマハードは、この部分に手を出してこなかったと思います。このクラウドをオンラインゲームの中でどのように活用しますか?

 “生きている世界の再現”に使えないかなあ、と。僕は今後、オンラインゲーム以外は作らないのではないかという気がしているので(笑)。美しくてリアルで、ものすごくクオリティが高いというだけでなく、毎日新たな発見があって驚きがある世界。そんな理想的な世界が、クラウドでデータ集積をして個々のユーザーにそれをフィードバックできるようになれば、また一段と違った遊びにできるかもしれない。まだ漠然としていますが、機会があれば挑戦してみたいですね。

――ユーザーの声や要望をフィードバックするという、バージョンアップの形が変わる可能性がある?

 プレイヤーの皆さんが遊んでいる時に、ダイレクトに変化を見られるというのが理想だと思っています。たとえば、100万人のプレイヤーのデータをクラウド側で集積しておいて、その超高速アルゴリズムの中で別ルートが形成され、フラグ管理が変わる、といったことですね。

 これにより、ゲーム内の状況を作為的にコントロールできなくなる。より自然な流れのなかでゲームを楽しめるようになるという点が、クラウドを使ううえでのメリットになると思いますね。また、クラウド側にシミュレータを積んでデータをフィードバックすれば、ゲーム自体を変えることもできるのではないかと。すごい挑戦だとは思いますが、おもしろそうだと感じます。

――クラウドサービスの可能性について、こういうものがあってほしいという要望はありますか?

 インフラを支えていただけるとうれしいですね。オンラインゲームを制作する時の問題って、大規模なインフラをどうするかという点だと思います。しかも、立ち上げ初期の過度のアクセス集中に対して100%のインフラを用意するのは、最終的に落ち着くラインがあるという観点からも、ビジネスとしてナンセンスです。

 落ち着くところがどこなのかを見極めてインフラを用意するものですが、初動に合わせて用意してしまうと、稼働していないワールドでもずっと持っていなくてはならなくなりますよね。しかし、クラウドなら広大にあるクラウドの一部を、ローンチの時にだけ使わせてもらうことができる。すさまじい負荷が掛かりそうな場合は、他のクラウドサーバーを利用できますし。

――オンラインゲームのスタート時にはありがたいと。

 ハードウェアの制作は開発側にとってはリスキーなビジネスモデルなので、それが軽減される可能性があるのはとてもありがたいです。ただ、そのクラウドサーバーが年数経過して古くなった場合にどうするかという問題はあります。

――クラウドに関しては、ユーザーの間でも認識の違いがはっきりしています。

 クラウドゲーミングは10年前から盛んに研究されていますが、そのどれを使ってどういうことができるかというのは、作り手のチョイスが必要だと思います。SCEさんが考える“クラウド”という単語のサービスにはいろんな定義の仕方があると思いますし。ただ、ユーザーがゲームをプレイした際に、「このゲームスゴイな! クラウドっていうんだ!!」くらいのインパクトがないと、浸透していかないだろうなあ、と。非常に可能性がある分、あいまいなものを作ると、何も完成しないような気がして怖いです。でも、とても可能性に満ちていると思います。

●1人でも多くの人にプレイしてもらうため、『FFXIV』がPS4に対応する可能性は否定しない

――最後に『FFXIV』の未来についてお聞かせください。10年間続くことを目指すということは、PS4への対応も視野に入れていますか?

 そうですねえ……。日本のゲームを例に挙げると、ゲームはファミコンから始まっているので、テレビの前に座ってゲーム機でプレイするものだという印象が強い。携帯電話の普及により、デバイスの中でもゲームをするという文化は浸透しましたが、やはりPCでゲームをするということはまだまだなので。じゃあ「1人でも多くのお客様にオンラインゲームをプレイしてもらうには?」と考えると、ゲームハードに対応していくことがポイントだと思います。

 海外にも『FF』はやはりゲームハードでプレイするものだと考えてくださっている方もたくさんいますし、1つでも多くのハードに対応していくことが求められると考えているので、PS4に対応する可能性は否定しません。ただ、まずはPS3でしっかりと対応する。そのうえで「PS4でも遊びたいよね」という声にお応えしたいなと。一歩ずつの先に、可能性があると思います。

データ

▼『PlayStation 4』
■メーカー:SCE
■発売日:未定
■価格:未定
 
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▼『電撃PlayStation Vol.538』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2013年3月14日
■価格:690円(税込)
 
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▼『電撃PlayStation Vol.539』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2013年3月28日
■価格:690円(税込)
 
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