『ブレイブリーデフォルト』インタビュー！ 開発秘話満載の“中原D（ディレクター）の手帳”を初公開

文：そみん

■ニコ生や東京ゲームショウなどでのユーザーとの交流について

浅野：ユーザーさんとの交流という部分では、電撃さんと一緒にやったニコ生が大きなきっかけやターニングポイントになりました。発売前の“完成間近！ 『ブレイブリーデフォルト』緊急生特番”、“いよいよ来月発売！ 『ブレイブリーデフォルト』緊急生特番”、発売後の“緊急生特番『ブレイブリーデフォルト』座談会＆アンケート祭（ネタバレあり）”と、何度か出演しましたけど、どれも思い出深いです。

高橋：中原さんにも何度も出ていただきましたね。

中原：最初は緊張しまくりで大変でしたけど。

▲開発スタッフの方々に参加していただき、何度も行った『ブレイブリーデフォルト』のニコ生。イデア役の相沢舞さんが出演して、おなじみの「むぐぐ！」を披露する場面もあった。

高橋：浅野も中原さんも、出演を重ねるごとに饒舌（じょうぜつ）になっていって、「すごいなー」と思いながら、近くで放送を見ていました。

浅野：恥ずかしいので、会社の人にはあまり放送のことを言ってませんでした（笑）。後で「放送見たよー」って言われて、最初のうちは恥ずかしかったです。

中原：カメラを見ないという技を覚えてから、あまり緊張しなくなりました。

浅野：あそこで（視聴者プレゼントの合言葉として）「ブレイブリー！」と叫んだ瞬間、何かが吹っ切れた気がしました（笑）。

　あの時はちょうど、e-STORE専売の『ブレイブリーデフォルト コレクターズパック』の予約が始まっていて、サントラや豪華仕様のアートアルバムとかが同梱されているので皆さんにぜひおすすめしたいと同時に、高価ですので、無理にとは言いませんがーのような発言をしていましたね（笑）。

――ニコ生は、発売前の放送も新情報が多くて注目度が高かったのですが、発売後に行われたユーザー参加型の放送も反響が大きかったと思います。あの時のユーザーの反応で、意外だったものはありましたか？

浅野：あの時の皆さんの声は、今後の参考にさせていただいています。やっぱり対戦は嫌なんだなとか、生の声を聞けましたので。意外なところとしては、嫌いな章の返答ですね。

中原：正直、5章から不満の声が増えるかなと思っていたんですが、5章や6章はあまり嫌われず、“7、8章”という返答に集中する（77.2％）とは思っていませんでした。好きな章の返答も、“6章（25.9％）”が高くてビックリしました。まさか4章（18.1％）や真終章（18.5％）より高くなるとは。

▲ニコ生の放送中、リアルタイムでアンケートを取ってファンと交流する企画も行われた。

――電撃オンラインでは、真終章に投票する編集者やライターが多かったです。

浅野：真終章は、ゲームでしかできない新しい演出をしているので、ぜひプレイする人全員に見ていただきたいんですけど、そこにたどりつくまで70時間以上かかってしまうので……構造的に反省している部分はあります。やっぱり、5章以降の繰り返しの展開でくじけてしまった方もいるようなので。

――電撃オンラインでも、真終章までやった人から「これは今年のベストゲームになる！」という声があがりました。ただ、サブシナリオをクリアしながらゲームを進めると、どうしても時間がかかっちゃうんですよ。

浅野：そこなんですよね。自分を基準にしたゲーマー感覚だと、面倒くさそうなサブシナリオはすっとばして物語を先に進める人が多いと思っていたんですけど、サブシナリオの発生場所が表示されていることもあって、ちゃんと遊ぶ人が多かったです。そうなるとクリア時間が長くなっちゃうわけで。

――電撃オンラインでは、初プレイの際に約33時間で真終章までクリアした人がいます。

浅野：それは速い！　速すぎです（笑）。

――遊び方次第ではスピードクリアも目指せますし、そういう幅の広い遊び方できることも『ブレイブリーデフォルト』のよさなのかなと思います。

中原：ゲーム好きの方はどうしても、あの青いマーカー（サブシナリオの発生場所）を見ると、全部クリアしないと気がすまないタイプが多い気がします。

浅野：そうしてサブシナリオを遊んでいくと、「あれ？　前と同じ展開じゃない？」と思われてしまうこともあって……。

中原：正直、そこまで重視していなかったので、サブシナリオは無視してくれてもいいのにと思いつつ、思ったよりもちゃんと遊んでくれる方が多かったです。

――とはいえ、回を重ねるごとに反応や展開が変わりますし、隠しイベント的な演出も用意されていたと思いますが。

中原：キャラによります。中には、それほど会話内容が変わらないキャラもいますから。導師（ヴィクター）や魔人（ヴィクトリア）はかなり力を入れていたので、戦うたびに新たな展開があったと思いますけど、キャラによっての差はあったと思います。

浅野：そのあたりの作り方は洋ゲーも参考にしました。好きな人は好きなだけ情報を拾っていけばいいし、メインの物語を楽しみたい人はガーっと進めちゃえばいいし。そういったスタイルを参考にしたつもりだったんですけど、やっぱり日本人は生真面目な部分があるんでしょうね。

中原：何かが残っていると気がすまない部分はあるかもしれません。

――5章以降のサブシナリオは、キャラのバックグラウンドを掘り下げるものが多いので、それを目当てに遊んだ人も多いと思います。召喚士のメフィリアあたりは、5章以降の展開を見ると、かなり印象が変わりますから。

浅野：そういった物語的な部分は、思った以上に皆さんにプレイしていただけました。だからこそ、「周回プレイをしたかった！」という声も多かったです。70時間以上かけてクリアして、そのデータを消して最初から遊び直すのはきついですよね。

▲ゲーム終盤のサブシナリオをプレイすると、最初に戦った時は違う展開となり、敵の思わぬ一面が見えてくることも。

中原：僕はどちらかというと、一度クリアしたら次のゲームにいくタイプなので、1回のプレイできちんとコンプリートできるようにしたかったんですよ。だから、発売前のインタビューで「コンプリートに関係するものについて取り逃がすことはない」と発言したのですが、これについては反省しています。というのも、Dの手帳やサブシナリオの分岐に関する部分は、1回のプレイで全部を見ることができない形になっているからです。

　個人的には、これらの要素はあくまでおまけで、アイテム図鑑やモンスター図鑑、ジョブといったコンプリートを目指す要素とは別のものだと考えていたのですが、サブシナリオの分岐もコンプリートしたいというユーザーさんも多かったようです。自分としては、図鑑のように、明らかに枠や欄が用意されていて、そこがきっちりと埋まるものがコンプリートに関係する要素だという認識でした。もっと正確に言っておけばよかったと、反省しています。このあたりの認識の違いは、今後の開発に生かしていきたいと思います。

　こんなにしゃぶり尽くすように遊んでいただけてうれしいと同時に、そこまで対応しきれていなくてごめんなさいという感じです。

――「もし1章の時点でクリスタルを壊そうとしたら、どうなるんだろう？」とか、「あえてサブシナリオをやらず、5章以降で初めて重要キャラと出会う流れになったら、何か変化があるのかな」とか、ゲーム好きは違うパターンを試すためにも、もう一度最初から遊んでみたくなっちゃうんですよ。

浅野：会社の同僚から「このゲーム、いつまでたっても同じことを繰り返しているんだけど、どういうこと？」と聞かれた時はおもしろかったです。あ、あなたは言われたことに漫然と従うタイプなんですね？　みたいな（笑）。それは冗談にせよ、ただ、ユーザーさんの間でも、すぐ気付く人と、なかなか気付かない人もいたので、そういった部分のバランス感覚は難しいですね。

高橋：そういった質問を受けた際に、どう答えるか悩みました。仕掛けの答えをそのまま教えるわけにもいきませんし……。

浅野：ゲーム中でも、けっこうヒントを出して、仕掛けを解けるようにうながしたつもりだったんですけどね。

中原：その一方で、2章ぐらいの段階で“アイツが怪しい”と見抜く人もいて、クリスタルを壊そうとする人もいました。差が激しいですよね。本当に人それぞれだと思います。

高橋：下画面のエアリーを何百回もタッチするとストーリーが分岐するなんてアイデアもありました（笑）。

――自分は、5章に入った段階ですぐにクリスタルを壊しちゃいました。

浅野：それはそれで、想定の範囲外の部分もあります。基本的には6章で仕掛けに気付いてもらいたいと思って作っていたので、5章の段階で終章へ進むと、シナリオ的にちょっと齟齬が出る部分があります。

→あえて『ブレイブリーデフォルト』が
100点満点中何点なのか聞いてみた！（4ページ目へ）

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MAIN CHARACTER DESIGN：Akihiko Yoshida.

データ

関連サイト

• 『ブレイブリーデフォルト』公式サイト
• 電撃オンライン内『ブレイブリーデフォルト』特集ページ