『ねらわれた学園』PS3だからこそ実現した“史上初のアニメ資料集”とは!? アニメ評論家・氷川竜介氏とSCE技術者に聞く

文：伊藤誠之介

■多岐にわたる資料を収録した結果、資料集だけで4GB超の容量に！

森貞：正直言って、PlayViewの開発者という立場から見てもビックリしたのは、そのボリュームですね。トータルで2,000ページぐらいのものを作られているって最初に聞いた時は、本当に驚きました。

小菅：アニメを制作したサンライズさんから膨大な量の資料をご提供いただけたからこそ実現できた企画なのですが、その全貌を把握して整理するのが、逆に大変なところでもありました。資料が多岐にわたっているうえに、膨大な数の中からどれを抽出していくかの取捨選択が当然必要なので、そこは苦労しました。その結果、容量としては4GBを超えています。

――ダウンロード版だと、普通のPS3のゲームと変わらないぐらいの容量ですね！

森貞：PlayViewは、媒体の容量が許す限りのデータを扱えるのですが、きちんと構成しないと、コンテンツを見ていくのが大変になるんですよ。その点、この完全版資料集は全体を数階層ぐらいに抑えて、どこに何があるのかわかってさえいれば、かなり直感的に操作できるようになっていると思います。

　開発者としてうれしかったのは、PlayViewの特徴を生かした構成になっているところですね。特に絵コンテのところは、手書きの画像と最終の動画を絶妙に配置したり、PlayViewの特徴をうまく使ってくれていると思いました。

氷川：絵コンテと完成映像の動画や静止画を、1つの画面上で対比した前例は過去にもあると思います。でも、それを全カットにわたって演技までふくめて細かく追ったのは、おそらく初に近いのではないでしょうか。これは気が遠くなるような作業です。

小菅：作業時間の制約もあって実現できなかったんですけど、当初は絵コンテのパートに、中村監督と氷川さんの対談によるオーディオコメンタリーを入れたいと考えていたんです。それも、画像と音声をシームレスに参照できるという、PlayViewの特性を活用する機能を実現したかったのですが……。

――他に何か、今回やりたかったけど実現できなかったというところはありますか？　

小菅：この作品は、湘南や鎌倉といった実在の土地が舞台になっていて、現実に存在している場所を元に、背景が美麗に描かれていたりするんです。ロケハン写真は今回収録しているんですけど、現実の位置関係を再現した地図のようなメニューを作って、キャラクターたちがこの作品世界の中でどんな場所を行き来していたのかイメージしながら、美術ボードが楽しめるようなものも入れたかったですね。

――氷川さんはユーザーの皆さんに、この完全版資料集をどのように見てもらいたいですか？

氷川：やはり資料を見ることによって、もう1回アニメ本編を見る気持ちを高めてほしい、ということに尽きますね。自分自身の反省も込めて思うことですが、資料集は買った時点で満足して、棚に入れてハイ終わり、ってなること多いんです。でもコレクションアイテムとしてではなく、もう1回、アニメを再生して見るきっかけにしてほしいというのが一番の願いで、自分の担当分もそういう意識で執筆しました。

――その意味では、アニメ本編とこの完全版資料集が、“Hybrid Disc”として1枚のBlu-ray Discにまとまっているのは、意義のあることですね。

小菅：Hybrid Disc以外にも、この資料集だけをPlayStation Storeから単体でダウンロードすることもできますので、すでに本編のDVDやBDを購入した人でも、後からこの資料集も購入して、楽しんでもらえればと思います。

→PlayViewの秘められた可能性とは？（4ページ目へ）

(C)眉村卓・講談社／ねらわれた学園製作委員会
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関連サイト

• 『ねらわれた学園 劇場版アニメ＆完全版資料集 Hybrid Disc』公式サイト