2013年6月11日(火)
米国現地時間6月10日18:00から行われた“Sony PlayStation E3 2013 Press Conference”。閉会直後の熱気も冷めやらぬなか、SCEワールドワイド・スタジオのプレジデント吉田修平氏のインタビュー取材が実現した。
PS4の気になる日本での発売日は? 同時発売のタイトルは? そして発表されたさまざまなタイトルについて、貴重な話を伺うことができた。
──カンファレンスでの吉田さんが出演するパートが結構長かったですね。
そうですかね(笑)。ゲームの部分がビデオだったんで、実際にプレイするデモじゃなかったので、そこでの失敗はなくてよかったです。
──ちょっとドキドキするところなどはありましたか?
自分の原稿を全部自分で作ったのですが、今朝プレゼンテーションの頭のところを変えてくれないかと言われて、せっかく覚えたのに最初のところ変えられたのでどうしようと思っていました。
──今日のカンファレンスのためにどんな準備をされましたか?
最初は2月に行われた“PlayStation Meeting 2013”に向けていろいろ用意をしていました。2月はほとんどムービーでの紹介でしたので、E3では実際にゲームを動かしているところも見ていただきたかったので、チームで頑張りました。この後も、8月にドイツで行われるGamescomや東京ゲームショウに向けてノンストップで準備をしています。
──今回のカンファレンスではどのような点に注目してほしかったのでしょうか。
2月の“PlayStation Meeting 2013”では、PS4はゲームが中心になるというメッセージをきちんと送りたかったので、マーク(リードシステムアーキテクトのマーク・サーニーさん)に出演してもらってどういう思いでPS4を作ったかを紹介してもらいました。今回もゲームが中心であるということは変わらないのですが、ソニーピクチャーズのコンテンツやVideo Unlimited、Music Unlimited、Netflixなども紹介しました。元々エンターテイメントのソニーという会社なので、そこはPS4に自然に行きますよという点も追加でメッセージで入れています。
──PS4本体に関して、今回初めて本体の姿がお披露目されましたが、吉田さんのご感想を教えてください。
私も実は、本体を見たのは2月のイベントの後なんですよ。最初に見た時は薄さに驚きました。比べてみるとPS3の2世代目のものとほぼ同じ大きさなので、ハードチームは大したものだなと思いました。
▲カンファレンスでついにお目見えしたPS4本体。デザインしたのは、SCE所属の隅井徹氏。 |
──PS4の性能や機能が、どのようにゲームに生かされるのかがまだわからないのですが、どのようになるのでしょうか。
徐々にご紹介できればと思うのですが、今回発表した『DriveClub』は、スマートフォンやタブレットなど、どのデバイスでも自分の参加しているクラブの状況がわかったり、フレンドにチャレンジしたりすることができるようになります。ソーシャルネットワークのような感じになりますね。
──DUALSHOCK4で気になる点が、タッチパッドにクリック機構が搭載されているとのことですが。
例えば、カーソルを動かして決定する時に押し込みがないと、指を離した時に決定になってしまって、触っただけで誤動作してしまうこともあるかと思うんです。なので、クリックは絶対に必要だということになりました。クリックと触った場所によって、タッチパッドをいくつかの別のボタンとして扱うなどもできます。
──スタートボタンとセレクトボタンがなくなっていますね。
スタートボタンでスタートしなくてはいけないゲームって、実は少ないですよね(笑)。それよりもシェアボタンを搭載したかったので、あまりボタンが増えすぎるとごちゃごちゃしてしまいますから、オプションボタンにまとめてしまっています。
──DUALSHOCK4の評判はいかがですか?
サードパーティさんやデベロッパーさんからの評判はすごくいいですよ。DUALSHOCK4は、アナログスティックが少し硬めになっていて中心の精度も高いんですよ。なので、細かい動きができるようになっています。DUALSHOCK3で不評だった部分も、きちんとヒアリングをして改善しています。
──ゲームの紹介では、Ready At Dawnとサンタモニカの新作『The Order:1886』がとても気になりました。どのようなタイトルなのでしょうか。
ムービーだけでしたが、まだ雰囲気を感じていただくということで。でも、見ていただくとわかりますが、イギリスが舞台になっています。タイトルから19世紀のイギリスが舞台なのかなと思えますが、なにやらモンスターも登場します。
──時代にそぐわない、SFのような銃が登場していましたね。
なぜ、19世紀なのにあのような武器なのかという点もお見せしたかったんです。明らかにアクションシューターですが、設定やストーリーなどが実はすごくおもしろいものになると思います。開発のReady At Dawnは、PSPの『ゴッド・オブ・ウォー』などを作っていたチームです。彼らがPS4でかなり時間をかけて挑戦しているゲームなので期待してください。
──Quantic Dreamの『The Dark Sorcerer』はとてもおもしろいムービーでした。あれはデモということですが、どのような作品なんでしょうか。
Quantic Dreamはいつも新しいゲームを作る前に、次のゲームで使いたい技術を研究するためにショートムービーを作成するんです。つまりそのPS4版が『The Dark Sorcerer』になります。Quantic Dreamは人間の表情や感情にいつもこだわっていて、今回はコンピューターグラフィックスでの表現が難しいと言われていた、笑いを誘うようなコメディに挑戦しています。
──確かに、あのようなリアルなグラフィックでのコメディ作品はいままでなかったように思えます。
『BEYOND: Two Souls』もそうですが、これまではシリアスな演技をするものが多かったですからね。“笑い”は文化の違いなどもあって本当に表現が難しいんですよ。それを伝えるにはPS4ではないとできないので、それを表現するのが彼らの次のチャレンジですね。『The Dark Sorcerer』はもう完成しています。明日、全編を公開して技術的な部分はブースでお見せできるはずです。
──その技術が生かされたタイトルが今後発表されるということですね。
そうですね。ぜひ『The Dark Sorcerer』は全編を見てください。12分くらいのショートムービーになります。驚愕のエンディングがあるので楽しみにしていてください。
──その他のタイトルについてはいかがでしょう。ローンチタイトルもいくつか発表されましたが、他にもあるのでしょうか。
たくさんあると思いますよ。今回発表したのはサードパーティさん含めて140タイトル以上が発売予定。SCEワールドワイド・スタジオからは20タイトルはPS4の発売から1年以内に発売予定です。『Killzone:Shadow Fall』、『Knack』、『DriveClub』の3つがローンチタイトルになります。ですが、すべてのタイトルを明らかにしている訳ではないので、まだ増える可能性もありますね。
──インディースタイトルもいくつか紹介されましたが、吉田さんが一番気になった作品はどれですか?
やっぱり『Octodad: Dadliest Catch』ですかね(笑)。アナログスティックでいろいろ動かして遊ぶようなんですが、一番気になっています。
──カンファレンスで盛り上がっていたのが、PS4は中古のゲームにも対応するという点でしたがいかがでしたか?
あれは、前からPS3と同じだよねとずっと言っていたんですよ。ゲームもデジタルにどんどん移行していますが、やっぱりディスクが好きだという人もいます。そこは急にガラッと変わらないので、あまり迷いはなく決めていました。ゲームのシェアについては、YouTubeにUsed Game Instructional Videoというものもアップしているのでぜひ見てください。
──他にもさまざまなタイトルが発表されましたが、PS4本体も含めてまだ日本での発売は発表されていませんよね。
そうですね。今回は北米やヨーロッパでの展開をお話しました。まだ日本での発表はしばらくお待ちください。