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2013年6月13日(木)

カプコンの開発の中心人物である小林裕幸氏が“次世代”を感じたタイトルとは? 独占インタビューをお届け【E3 2013】

文:電撃オンライン

 『戦国BASARA』シリーズや『バイオハザード』シリーズなど、カプコンのメジャータイトルを代表作に持つ小林裕幸氏は、今やカプコンの開発チームの中心人物となっている。彼がE3で次世代機に触れ、感じたこと、気になったタイトルについて、現地で直撃した。

 なお、今回のE3では担当したタイトルの出展がなく、受けたインタビューはこの1本だけだったそうだ。トップクリエイターの貴重な言葉を聞いてみよう。

小林裕幸氏インタビュー
▲小林裕幸氏。写真は昨年撮影したもの。

――XboxとPlayStationのカンファレンスをご覧になって、Xbox OneとPS4の率直なご感想を教えてください。

 Xbox Oneに関しては、かなりのオリジナルタイトルの発表があったので、新ハードのワクワク感が結構ありました。北米と欧州では、いいラインナップがそろっていますね。

 次世代機が持ついろいろな幅で作られているなと。例えば、グラフィックに重きを置いているものと、グラフィックではないその他のおもしろさを追及しているものと、バリエーション豊富でおもしろいと思いました。

 PlayStationのカンファレンスは、(次世代になると)マルチタイトルが多いので、PS4は(Xbox Oneのカンファレンスと)同じようなラインナップになってしまうのかな? と思っていたのですが、どちらかと言うと丁寧にPS3とPS Vitaの話もあって。あとは、価格の印象が強かったですね。

――プレスカンファレンスで発表されたPS4とXbox Oneの価格について、ご感想を教えてください。

 Xbox Oneの価格は、あれだけの性能でKinectが標準で付いていたら仕方がないとは思います。逆にPS4は、カメラをオプションにして本体自体の価格を下げてきたので、違うテクニックを使ってきたな、という感じはしています。パッと見た時の印象としては、やはりPS4のほうが安いと感じると思いますが、オプションやPlayStation Plusの年会費などトータルで考えるとそんなに変わらないのかなと考えています。

 カメラがオプションになって、あるものとないものの差がユーザーに出てしまうと、ソフトの作り手側としては作りにくいかなとは思います。

――各カンファレンスで紹介された内容の中で、気になったタイトルやサービスについて教えてください。

 Xbox Oneは、インソムニアックゲームズの『SUNSET OVERDRIVE』がおもしろそうですね。ちょっと他と毛色が違って、そういった切り口もあるのかと思って。

小林裕幸氏インタビュー 小林裕幸氏インタビュー

 PlayStationカンファレンスでは、発売の近いPS3の『The Last of Us』もきちんとプッシュされて、力が入っているのを感じました。『BEYOND: Two Souls(ビヨンド:ツー ソウル)』のE3トレーラーでは、主人公の女の子(ジョディ・ホームズ)がめちゃくちゃ戦っていて、今までの発表と違うベクトルのシーンに意外性があって驚きましたね。

 それと、ユービーアイソフトの『THE DIVISION(ザ ディビジョン)』が気になります。まず、街並みが本当に実写並のクオリティで。オープンワールドで、マルチプレイで皆といろいろ遊べて、iPadと連携しての戦略性があって、集団での遊びになっているんですよね。まさにオンラインならではのゲームだと思います。最新の次世代機のクオリティを感じました。

小林裕幸氏インタビュー 小林裕幸氏インタビュー

――Xbox OneやPS4といった次世代機で、クリエイターとしてどのようなゲームを作ってみたいですか?

 機能を使えば使うほど、時間とお金はかかります。限られた時間と予算の中でいろいろな機能を実装するには、難易度が高いと思います。今回のE3では、幅広いラインナップを見せていただいて、どこに力を入れて制作するのかが問題になるのかなと。

 PS3の時も大変でしたけれど、それでも、ある程度の幅で皆制作されていたと思うんです。でも今回は、選択を間違えるとお金をかけた分、取り返しのつかないものを作ってしまいそうで(笑)。

 ユーザー層に合わせて、どこに力を入れるか配分を考えて作っていかないといけないと思います。選択を間違えると、せっかく時間とお金をかけて作った所が、「そんなところ、別に興味がなかった!」と言われてスコーンと売れないゲームになってしまうようなことも起こります。

 グラフィックだけにこだわってしまうと、それはそれで間違ってしまうし、かと言って何もしない訳にもいきません。

――「できることが多いがゆえに」と言うことですね。

 今回、次世代機はオンラインプレイがメインになっています。オンラインに特化したものを制作するのもありですが、なまじオンライン機能を搭載してしまうと、それに技術と予算がとてもかかってしまうので、それをどれくらいやるかを考えないと難しいと思います。全くやらないってことはないですけれど、“どこまでやるか”が問題ですね。『バトルフィールド4』では64人対戦ができるとかもあって、キリがない世界ですから。

 逆に小さいタイトルでも、アイデア次第で魅力が出ると思います。昔の携帯ゲーム機やファミコンもそうですけれど、アイデア勝負をしていた時代がありましたよね。今はハードの進化によって、逆にまたそれが起きている気がします。

――今はビッグタイトルばかりでは成り立たないですからね。

 フルプライスでは出せないけれど、その分安く、ある程度のお客さんに向けたものを出すのもおもしろいと思います。ちゃんとしたフレンチ料理を食べるのもいいけれど、立ち食いフレンチもいいよね、みたいな感じで。今はそういった幅が出てきている気がします。

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