1人の女性の15年間が描かれる感情体験『BEYOND： Two Souls』のキーマンのデビッド・ケイジ氏インタビュー【E3 2013】

文：電撃オンライン

　開催中の“E3 2013”のSCEブースで、日本でも秋に発売を控える『BEYOND： Two Souls』について、“Quantic Dream”のCEO・デビッド・ケイジ氏にインタビューを行った。

　15年にわたる、1人の女性の人生を追体験する本作において、彼女の成長、心情の変化、霊体エイデンとの関係などがどのように描かれるのか？　気になる部分を直接うかがうことができたので、ぜひ最後まで読んでいただきたい。

――“E3 2013”の前の段階で公開された“ホームレス”のシーンと、今回の力強く戦うジョディのシチュエーションはかなりギャップがあり、驚かされました。この2つのシチュエーションは、ゲーム内ではある程度連続するものなのでしょうか。

　本作自体がジョディの15年間を描いています。その中で彼女のいくつもの体験や感情が変化していくシーンを見せていくのですが、これらを映画『Memento（メメント）』のように時間軸がぐちゃぐちゃになった形で見せていくんです。

　なので、幼少期を体験したかと思えば、突然大人になったり、そして今度はティーンエージャーの時期を体験したりとか、そういった形で見せているので、同じくらいの年代のシーンでも、じつは全然異なる場所でゲームをプレイするということもあります。

――幼少期、ティーンエイジャー、20代というように、時間の流れにそって展開していくわけではないんですね。

　そうなんです。今回、E3でオーディエンスのリアクションがすごくおもしろかったんです。さまざまなシーンが入り乱れているのを見てすごく驚いていたようです。通常のゲームはパターン化していて、アクションを見せたら、その次を見せて…という形なんですが、『BEYOND： Two Souls』では各シーンがかなり異なっていて、アクションをベースにしているシーンもあれば、ホームレスのシチュエーションのようにキャラクターのほうにもっと焦点を当てているシーンもあれば、ジョディの恋愛に焦点を当てているシーンもあったりします。

――ジョディの恋も描かれるんですね。

　きわどいシーンとかを見せるというよりも、すごくリアルで人が見ていて説得力のあるようなロマンスとか、お互いの感情だとかを表現しています。

――彼女の心境だったり体格だったり、年齢に応じていろいろな変化があると思いますが、そこはゲームデザインの部分にも影響を及ぼすのでしょうか。

　ジョディの見た目だけでもかなりのバリエーションがあるのですが、見た目だけじゃなくてそれぞれ動き方も変えているんですね。小さい時にできることと、大人になってからできることは違うので、そういったところでゲームデザインには影響を与えていますね。

――情報が公開されるにつれ、ジョディという1人の人間の壮絶なドラマが描かれていきそうな予感が増してきています。彼女の心情の変化を描くにあたり、とくに注意している部分はどのあたりでしょうか。

　私が気を付けてきたのは、人間らしさの表現です。人間というのは人生で何が起こったのか、どんなことを経験したかによって“自分”というものが形成されていきます。そこをメインのポイントとして考えました。

　もう1つは、ジョディとエイデンの関係ですね。エイデンをただの霊体ではなく、キャラクターとしてしっかり表現することを意識して、ジョディとエイデンの関係性をしっかり描くことを大事にしました。

――ソマリアのトラックのシーンでは、ジョディがエイデンに軽く文句を言っているようなシーンがありました。このシーンでは、ジョディが一方的にエイデンに語りかけていましたが、ジョディはエイデンとなんらかの形でコミュニケーションをとることもあるのでしょうか。

　ジョディもエイデンに話かけることができるんですが、エイデンもたまにジョディに話かけることができます。ただ、ジョディはエイデンの言葉を理解できますが、プレイヤーは理解することができません。

――ジョディはシチュエーションに応じて操作が変化しますが、エイデンに関しても、ジョディの世代やシチュエーションに応じて操作が変化することがあるのでしょうか？

　エイデンの精神状態というのも、ジョディの精神状態に影響を受けるし、エイデンが行ける距離も、ジョディの状態に影響されるし、使える力もジョディに影響されますので、2人の状態というのは密接に関係しています。

――エイデンに操作を切り替えている時は、時間がゆるやかながら流れているようですが、この時ジョディに危険が迫るようなことはないのでしょうか。

　時間の流れはあまり変わってないです。実際ゆるやかになっているわけではなくて、当然、気を付けてプレイしないと、ジョディが危険な状態に陥ったりもします。

――最後に、日本のユーザーにメッセージをお願いいたします。

　『BEYOND： Two Souls』に興味を持ってくれたり、『HEAVY RAIN －心の軋むとき－』をサポートしてくれているユーザーのみなさん、本当にありがとうございます。発売時期にはいろいろなタイトルが出てきますけど、『BEYOND： Two Souls』はすごくユニークで個性的なタイトルなので、ぜひプレイしていただきたいなと思います。また実際に日本に訪れて、皆さんにお会いできればいいなと考えています。

(C)Sony Computer Entertainment Europe. Developed by Quantic Dream.

データ

関連サイト

• 『BEYOND：Two Souls』公式サイト
• 電撃オンライン内“E3 2013”特設ページ