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2013年6月17日(月)

スクエニの新作『THIEF』が気になってしょうがないので、突撃的にインタビュー!【E3 2013】

文:野村一真

 スクウェア・エニックスの新作『THIEF』は、“盗賊が主人公のステルスアクション”。非常に簡単な表現ではあるが、『THEIF』というゲームを端的に表すうえで、最もわかりやすく伝わりやすい言葉だと思う。

『Thief』 『Thief』

 『THIEF』のゲーム紹介記事を執筆している時も感じたのだが、宝を盗むという目的と、盗みに関連する行動を軸に据えたゲーム性を持つ『THIEF』は、ステルスアクション作品の中でも、ゲーム全般においても、かなり独特だと思う。この“独特”であることと、実際に見たデモプレイが“おもしろそう”だったことから、『THEIF』に対して興味が湧き、日本発売が未定ながらもインタビューを申し込んだ。そして、幸いにも15分ほどインタビューの時間をもらい、プロデューサーのSTEPHANE ROY氏にお話をお聞きすることができた。

『Thief』
▲プロデューサーのSTEPHANE ROY氏(Eidos Montreal所属)。

――まず、そもそも『THIEF』がどんなゲームなのか教えてください。

 『THIEF』はステルスアクションです。マスターシーフになれる(目指す)という、一種のファンタジーとでも言いますか、それを体験をするゲームでもあります。ステルスアクションとして他のゲームと違うところは、影(暗闇)ですね。影は主人公・ギャレットの友達というべきか、ギャレットは影の中でこそ真価を発揮します。影の中だとギャレットはすごくパワフルになり、そのパワフルというのはファイター的な強さのことではなく、影を活かした“盗賊らしい”パワフルさとなります。

 ガンガン戦っていくような他のゲームとは違い、『THIEF』は敵をひたすら避けて、見つからないようにするのがメインとなるコアなプレイスタイルが特徴です。プレイヤーはいろいろな敵や物をチェックし、自分の置かれている状況を把握し、敵の音を聞いたりしながら進んでいくことになります。

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――鋭意開発を進めていらっしゃると思うんですが、とくに力を入れているところを教えていただけますか?

 メインの開発というか、ゲームを形作る素材はできあがってまして、今ものすごく重要視して進めているのは、ゲームバランスの部分です。『THIEF』はすごく繊細なゲーム性なので、ギャレットが強すぎたり敵が強すぎたりすると、ゲーム性が崩れてしまって、プレイのおもしろさが損なわれてしまいます。

 例えば、盗んだ宝で武器などをアップグレードできるのですが、そのバランスが悪かったらギャレットが強くなりすぎてしまう。現在、ゲームを完成させる段階に入っていますけど、プレイが楽しく感じられるバランスを構築することに一番力を入れてます。

――元々『THIEF』は、過去に3作発売されていました。今作は創世というテーマで開発されているとのことですが、元々の作品のどんなところを意識しながら、新たに作り上げているのかを教えてください。

 以前の3作から大切に引き継いでいるものとして、第一に主人公のギャレットが挙げられます。なぜかと言うと、彼のDNAなしでは『THIEF』は語れないからです。ギャレットの持ち物であるブラックジャック(気絶させるための棍棒のような武器。音がたたない)や、メイン武器となる弓も引き継いでいます。

 雰囲気やムードも大切にしています。ゲーム全体のダークな感じだったり、陰鬱な大きい街であったり、具体的な年数は公開していませんが中世的な時代背景だったり。

 一人称視点(ファーストパーソンビュー)も重要です。実は、開発段階では三人称視点(サードパーソンビュー)を軸にしたものも試作していました。ですが会議を重ねた結果、一人称視点をメインに据えるべき、という結論に至りました。それはなぜかと言うと、一人称視点のほうがすごく没入感が出るからです。それらを再構築し、ブラッシュアップして今作に持ってきました。

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――『THIEF』には、さまざまなステルスアクション要素が用意されていますが、そのうちの1つであるLight/Shadow Sphere(ライトシャドウスフィア)について教えてください。

 Light/Shadow Sphereには、昔とは比べものにならないほどリアルな表現が可能となった最新の技術を活用しています。例えばこの場所には直接ライトが当たっています。そして、あそこはちょっと薄暗くなっていて、その先のあの場所は暗くなっている。そういった光のグラデーションは現実世界では当たり前なんですが、それと同じことをゲーム中でも表現しています。

 ゲーム中のユーザーインターフェイス(UI)に“スモーク”が表示されており、ギャレットが影に入ることで、そのスモークの色が変わっていきます。これは、プレイヤーに“自分は今、どのぐらい影の中にいるのか”という度合いを教えてくれるものです。視覚化したUIによって、ギャレットが置かれている状況を把握することができるわけですね。先ほどお伝えしましたが、影の中でこそギャレットは真価を発揮するので、Light/Shadow SphereのUIをチェックすることは重要になってくるでしょう。

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――『THIEF』ならではのステルスアクションとして、ギャレットの能力であるFocus(フォーカス)が特徴的です。具体例を含め、Focusついて教えていただけますか?

 そもそもFocusは、使用するたびに画面左下の青いゲージが減少していきます。このゲージは自然回復せず、フィールドの各所に自生しているポピーという花を入手することでゲージが回復します。

 Focusを使うと、環境をスキャンしたり、ピッキングや盗みのスキルを向上させたりすることができます。Focusを使わずに行うことも可能ですが、Focusを使うことで、それらをよりうまく実行できるようになると考えてください。例えば、Pickpoketing(スリ)によって、後ろを向いている衛兵のポケットなどから何かを盗む時にFocusを使うと、複数あるオブジェクトから一気に盗むことができます。

 Focusにはいろいろな使い方があるので、その人のプレイスタイルによって、使いどころがいろいろ変わってくると思います。敵と戦闘する際にFocusを多用するアグレッシブなプレイヤーもいると思いますし、盗賊であることにこだわるプレイヤーは敵に発見されるのを極力避けるので、ステルスに関連するスキルにFocusを使用するでしょう。

 ゲージの残量を加味したFocusの使いどころもポイントとなります。例えば、ゲージが残り少ない状況でFocusを使いたくなる場面が訪れたとします。「使用するとゲージが0になってしまうけど、あえて使ってしまうべきか?」「でも、まだステージは続くので、ここでは使用を控えたほうがいいかもしれない」「もしかしたらステージの後半でFocusを使わないと厳しい場面が訪れるかも……」。このように、ゲージの残量を気にしながらFocusの使用をあれこれ悩む・考えるのも、おもしろいところだと思います。

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――最後にもう1つ教えてください。ギャレット自身にパラメータ的な成長はありますか?

 ギャレットにRPGのようなパラメータはなく、レベルが上がって成長するということもありません。そうした成長はありませんが、ゲームを進めていくと、スキルをどんどんアップグレードさせることができます。また、先ほどお話したブラックジャックや弓をアップグレードするという要素も用意しています。

Thief(C)Square Enix Ltd., 2013. All Rights Reserved. Published by Square Enix Co., Ltd.

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