2013年6月27日(木)
この“新川社長インタビュー”は、日本一ソフトウェアの設立20周年を記念する特設ページ“電撃日本一ソフトウェア”の連載コーナー。社長である新川宗平氏にさまざまな話をお聞きしながら、これまでの長い道のりを振り返っていく。
第23回目となる今回は、今年の1月で10周年を迎えた『魔界戦記ディスガイア』シリーズの総括と、今後の意気込みをお聞きするとともに、昨年12月に発表されたギネス世界記録の認定にまつわる裏話を伺ってきた。
▲日本一ソフトウェア代表取締役社長の新川宗平さん。 |
――“世界でもっとも多くSRPGを作った会社”ということで、ギネス認定されたという話がありましたが、正式に認定された時のお気持ちはいかがでしたか?
新川:この認定なんですが、ギネスのほうから連絡があったわけではなく、登録されているらしいというウワサで知ったことだったんです(笑)。「本当なの?」と調べてみたら、実際に登録されていてビックリしました。
しかも、登録されていたのは2008年のことだったんです。「あれ? そこから先も何本か出してるぞ?」と思って、さらに驚きましたね(笑)。正直、やることをやっていたら、いつの間にか登録されちゃったという感じだったので、うれしさよりも「あ、そうなんだ?」という気持ちが強かったですね。
実はこれ以外にも、すでにギネス登録されていた記録がありました。“世界でもっともレベル上げができるゲーム”と“世界でもっともイニシャルダメージが大きいゲーム”の2つです。まあ、これらは一部のゲームのみに言えるだけで、表に出すものではないということで、公式の発表は行わなかったんですけれど。
――そんなギネス認定を受けている日本一ソフトウェアの次に目指すところとしては、やはり“魔界一”ということで、SRPGのタイトル数に関するギネス記録はこれからもキープしていきたいとお考えですか?
新川:SRPGはゲームファンにも評価されているジャンルですし、我々の得意分野でもあるので、継続して出していきたいとは思います。しかし、下手に「あれを狙うぞ、これを狙うぞ」と振り回されると、失敗しそうですよね。自然体でやった結果、ゆるぎない1位になれたらいいと思っています。
――日本一ソフトウェアのSRPGというと『魔界戦記ディスガイア』シリーズが真っ先に思い浮かぶのですが、シリーズ内でもシステムやストーリーに結構な変化があります。新川社長としては、開発コンセプト的にガラリと変えた作品というのはありましたか?
新川:『魔界戦記ディスガイア4』ですね。まず、グラフィックの面で表現の変化がありました。またストーリーの面で言っても、『魔界戦記ディスガイア』では思うままにやり、『2』でシリアス路線を経験し、『3』で学園モノというサブテーマを盛り込んだストーリーを練ってみて、それを受けての『4』ということになりますからね。経験を重ねた分、いろいろ盛り込めたんじゃないかと思います。
実際、『魔界戦記ディスガイア』の時の評価が大きすぎて、なかなか壁を破れなかったんですが、『4』で初代に並ぶくらいの評価をいただけたので、大きな変化があったということで言えば、やはり『魔界戦記ディスガイア4』ということになると思います。
▲魔界の政治問題をテーマにした『魔界戦記ディスガイア4』。魔界の最下層である地獄で、プリニーの教育係を務めるヴァルバトーレが“政拳奪取”を狙う! |
――『魔界戦記ディスガイア』シリーズは今年で10周年を迎えましたが、これだけ長い期間で展開しているシリーズとなると、遊んでくれるファンの層も変わってきたりするのでしょうか?
新川:変わってきていると思います。『魔界戦記ディスガイア』からずっと遊んでいるという方は、全体の2割くらいなんじゃないでしょうか。その分だけ、新規の方たちが増えてきて、タイトルごとにおよそ10万本前後の売り上げになっていると考えています。『魔界戦記ディスガイア』シリーズへの入学と卒業が、世代を変えて繰り返されているということなんでしょうね。
現在展開中の20周年記念企画では、シリーズをすでに卒業された方たちに、もう一度『魔界戦記ディスガイア』を楽しんでもらいたいということもあって、『魔界戦記ディスガイア』のラハールやエトナ、フロンを主人公とした『ディスガイア D2』を出したという経緯もあります。
▲今年の3月にリリースされた『ディスガイア D2』は、初代『魔界戦記ディスガイア』の直接的な続編にあたるタイトルで、ラハールとエトナ、フロンの3人を主人公に物語が展開する。現在、PS Storeで追加コンテンツも配信中! お騒がせ3人組の、新たな冒険を楽しもう。 |
――初めて『魔界戦記ディスガイア』を遊んだ時、それまでのSRPGとはテイストがかなり違っていて驚いたのですが、そのように新しいゲームを作るにあたって、迷いなどはなかったのでしょうか?
新川:まったくなかったですね(笑)。当時は1年に1本も発売できなければ会社がつぶれるといった状態でしたし、ユーザーさんに何が喜んでもらえるのかわからなったので、とにかく「私たちは、これがおもしろいと思っています」というものを作り上げました。そうして練り上げた結果、完成したのが『魔界戦記ディスガイア』なんです。
この“おもしろいものをトコトン詰め込む”というのが、『魔界戦記ディスガイア』シリーズに求められていることだと思っているので、他のメーカーさんがやらないようなアホなことを、手加減無用でトコトン追及するという精神を、今後もやり続けていきたいと考えています。
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