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2013年9月3日(火)

『ドラッグ オン ドラグーン3』キャラクターデザイン秘話インタビュー。藤坂公彦氏が語る『DOD』シリーズらしさとは?【電撃DOD3】

文:タダツグ

■6人のウタウタイに設定されたイメージカラーのヒミツ

『ドラッグ オン ドラグーン3』

――それにしても、『DOD』については8年ぶりの新作となるわけですが、久しぶりにこのシリーズにかかわってみての感想はいかがですか?

藤坂:そうですね……。以前とは業界の状況が変わっていますし、僕自身の仕事のかかわり方も変わったからかもしれませんが、いただくオーダーの内容が少し変化したように感じる部分はありましたね。

――具体的には、どう変わった感じですか?

藤坂:『DOD1』や『DOD2』の時って、なんだかんだでメジャー志向というか、少しでも多くの人に受け入れてもらおうって考えがあったと思うんですよ。

――世界観や物語はまた別として……少なくともデザイン的な部分でいえば、そういう要求があったってことですかね?

藤坂:そういうことです。たくさんの人に理解してもらいやすいデザインを要求されていたと思うんですね。まぁ、ふたを開けてみたらあんな感じになっちゃったけど(笑)。

――いやいや。

藤坂:それでも、最初に目指したコンセプトは、同じスクウェア・エニックス作品でいうところの『ファイナルファンタジー』であったり、『ドラゴンクエスト』であったりしたわけです。国民的なRPGともいえるこれらの作品に、追いつけ追い越せじゃなくて、ああいうスタンダードになれたらいいよねって、目標にしていました。だから、キャラクターのデザインは、いろいろ偏りすぎないようにしたつもりなんですよ。

――なるほど。でも、『DOD3』は違うと?

藤坂:『DOD3』は、期待してくれているファンの方が、すでに一定の数はいてくれているという前提がありますからね。何よりもまず、そのファンの方たちの目を見て作ろうよって意識が、オーダーから感じられました。

:ターゲットユーザーははっきりしていますから、やるべきことは最初からある程度見えているんですよ。

藤坂:“万人に向けて100万本売るぞ!”というよりは……“まずはわかってる人に向けて喜んでもらえるものを用意しよう”っていうのが、『DOD3』の基本ラインですよね?

:そのとおりです。もちろん、そのうえで100万本売れてくれるとうれしいんですけどね(笑)。ただ、多くの人に受け入れていただくにはまず、既存のファンの方に満足してもらわないことには始まりませんし、そこは最大限の配慮をしているつもりです。

――裏を返せば、『DOD3』は従来のファンではなくとも受け入れられる作品ってことですか?

:ええ。ただ、遊んでくれる1作目からのファンの顔が、シリーズ中最も見えているのが『DOD3』という作品だということです。

『ドラッグ オン ドラグーン3』
▲ファンの喜ぶ顔(もとい、驚く顔)を明確に意識しながら作られているという『DOD3』。発売が待ち遠しい。

――それはファンにとってはうれしいお言葉ですね。ちなみに今回、藤坂さんにとって、柴さんやヨコオさんとは久し振りにチームを組んでのお仕事だと思うんですけど、ヨコオさんからはどんな発注が来たんでしょうか?

藤坂:最初の発注というか、まだ設定などがぼんやりしている段階で聞いたのは、「女の子がいっぱい出てくる、いわゆる『魔法少女まどか☆マギカ』的な作品」って感じでした。

――それ、以前の座談会の時にもお聞きして、思わず笑ってしまった記憶が(笑)。じつにヨコオさんらしい、単刀直入なオファーですよね。

藤坂:もちろん、『まどか☆マギカ』そのものってわけではないので、ヨコオさんが求めているのはビジュアル的なものなのか、世界観の雰囲気的なものなのか、僕なりに解釈しつつ作っていきました。

――藤坂さんが思い描く魔法少女が、このゼロたちってことですね?

藤坂:そう単純なものでもないですけどね(笑)。色づかいとかは影響を受けたというか、いろいろ研究しています。普段の僕は、ちょっと色数をおさえ気味にしちゃうんですけど、今回はなるべくキャッチーな色を前に出したり、試行錯誤しているんです。そういうオファーがヨコオさんからありました。

――ちなみに先ほどのお話で、ウタウタイにはそれぞれにイメージカラーが設定されているとお聞きしましたが、これはもう、ヨコオさんからの発注の段階で決まっていたんでしょうか?

藤坂:いえ。イメージカラーを設定してくれとは頼まれましたが、色を決めたのは僕ですね。提出時に「これで大丈夫?」って出したら、そのまま「大丈夫」ってことになりました。

:でも、ゼロのイメージカラーは試行錯誤があったじゃない。最初はピンクだったよね?

藤坂:そうですね。ゼロはピンクか白か黒かで、けっこう悩みました。3Dモデルも3色ぶん作ってもらって、どれが1番しっくりくるかを考えてましたからね。

――では、もしかしたらゼロが、ピンクがかった服を着ていた可能性もあったんですか?

藤坂:そうですね。まどか的なね。

:まさにピンクです。

――なるほど、わかりやすい(笑)。よくよく見ると、イメージビジュアルのキラキラの色はピンクですもんね。

:最終的には、ゼロのイメージカラーは白か黒にしようって話になり、黒は『DOD1』のカイムの色だから、白にしよう……って感じで決まりましたね。

――ほほう。ゼロの色は白、と。で、ワンは赤ですか?

:そう見えます?

――いや、目の色が赤ですし、イメージビジュアルのキラキラの色も赤ですけど、違いましたか?

:どうでしょう。そこらへんはまだ、いろいろ想像をふくらませていてほしい部分です。ちなみに、ワンの服の色は白ですよ?

――なんだか意味深な(笑)。では、その他の姉妹についてもお聞きしましょう。イメージカラーはトウが青、スリイが紫、フォウが緑、ファイブが黄色ですよね?

藤坂:ええ。というか、他に色分けが出来るなら教えてほしいくらいですけど(笑)。5人で5色ともなると、これしかないでしょっていうか、これ以外の配色が僕には思いつきませんでした。

:いや、もうすごくわかりやすくていいですよ、コレ。

藤坂:でも、こうして見ると青と紫ってちょっと似ているかもしれない。

――それはある意味、仕方ない部分なのでは……。

藤坂:そうなんですよね。ゼロがピンクになる可能性もあったし。

:うん、赤系は外さないといけないって制約があったからね。

『ドラッグ オン ドラグーン3』
▲各キャラに設定されたイメージカラーは、髪の毛や服、瞳などに配色されている。ある意味、戦隊モノを連想させますね。

→ネタバレギリギリ! 各キャラのデザインディテールを詳細チェック(3ページ目へ)

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Character Design : Kimihiko Fujisaka.

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