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2013年9月3日(火)

『ドラッグ オン ドラグーン3』キャラクターデザイン秘話インタビュー。藤坂公彦氏が語る『DOD』シリーズらしさとは?【電撃DOD3】

文:タダツグ

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■ウタウタイの妹たちのデザインに込められた『DOD』的こだわり

――では、次はワンについて。彼女についてのこだわりとかはいかがでしょうか?

『ドラッグ オン ドラグーン3』

:これ、藤坂さんの得意なデザインですよね? ワンのデザインって、すごく初期にあがってた記憶がある。

藤坂:うん。最初に描き上がった。元々は、ゼロのデザインがベースになっているというか、ゼロとしてイメージしたラフ案の1つから生まれたものですね。

――なるほど。

藤坂:これ、ファンのみなさんからはすごくマナに似ているって指摘があるんですよ。松下さんにもさっき言われたし……。

――ええ。最初にイラストを見た瞬間、そう思っちゃいました。

:そんなにマナっぽいですかね? 藤坂さんのミスリードかもしれませんよ?

――そうなんですよ。時間軸的には、この時代にマナがこんな歳で存在しているのはおかしいってわかっているんですが……。

:いろいろな意味で、狙っている部分はあるってことです。松下さんのそのリアクションなんかは、ある意味想定どおりですね(笑)。

――うーん、なんでしょう。この踊らされている感覚。

:まぁ、彼女は物語のカギを握る重要なキャラであることは間違いないです。ゲームをプレイすると、きっとびっくりするんじゃないかな。

――なるほど……。では、次にいきましょう。トウですね。彼女のこの黒い花って何か意味はあるんですか? ゼロと対になる何かがあるとか、頭から生えちゃってるとか……。

『ドラッグ オン ドラグーン3』

:その質問、やはりきましたか。さぁ、藤坂さんどうぞ。

藤坂:うーんと、実はトウのこれは黒い花の飾りで、特に深い意味はないんですよね。なんかこう……ごめんなさい。

:ゼロとの対比とか、そういう意味合いはないです。

――マ、マジですか!?

藤坂:あ、同様にオクタの花飾りも設定的なつながりはないです。

:きっと、この時代には花飾りが流行してたんですよ。以上。

――あ、以上なんですね(苦笑)。

『ドラッグ オン ドラグーン3』
『ドラッグ オン ドラグーン3』
▲トウとオクタが身に着けている花飾り。デザイン的なワンポイントとして、ものすごく目が引かれます。

藤坂:僕にとってはただの飾りだったんですよ。今思えば、花にするならそれに見合う意味を考えておいたほうがよかったんでしょうけどね。期待させちゃって申し訳ないです。

――いやいや、謝らないでくださいよ。ちなみに、僕はトウのこのマフラーが好きです。なんかヒーローっぽいじゃないですか。

藤坂:最初は、手にびよーんとした長い袖とかを付けてたんですよ。和服にあるような袖ですね。

:たしかに付いてました。

――でも、完成稿では見当たりませんね。

藤坂:とっちゃった。なんかすっきりさせたくなっちゃったんですよね。

:ちなみにこのトウ、ウタウタイたちの中で唯一、籠手を付けていないことには気づいてますか?

――もちろんです。なんでトウは、籠手を付けていないんですかね?

藤坂:いや、別にみんなに籠手を付けようと思って描いてるわけじゃないですよ? 気が付いたら、なんか描いちゃってるんですけど。で、トウはたまたま描かなかっただけです。

『ドラッグ オン ドラグーン3』
▲他のウタウタイとは異なり、籠手を装備せず、かわりにどこかで見たことがあるようなチェーンのアクセサリーを身に着けているトウ。相思相愛の男性とのペアルックとかだったりしちゃう?

:そこらへんは藤坂さんのフィーリングだと思いますが、最終的に素晴らしいものをあげてきますから。

藤坂:最初のデザインはもっとゴテゴテしてました。それを少しずつすっきりさせていく過程で、たぶん、他の誰かと似たような感じになりそうだったから、思い切ってなくしちゃえって思ったような気がします。

――ちなみに、デザインをあげた順番ってどうだったんですか? お話を聞いている感じでは、必ずしも数字の順番じゃなさそうですよね?

:あ、それおもしろい。どの順番で描き上げたかは僕も知りたいです。ワンとゼロが最初ですよね?

藤坂:いや、今回のお仕事はまず最初に、まだゼロだとかワンだとか細かい設定が決まる前に、ザーッとたくさんのラフを用意して、その中からイメージに沿ったものをブラッシュアップしているので、厳密な順番となると自分でもわからないですね。ただ、トウはかなりあとのほうだった気はします。

:そうだね。ある程度キャラのイメージが固まってきて、バランスとかを考えた時に、元気でボーイッシュなキャラが居てもいいよねって話になって、お願いした記憶がある。

藤坂:露出がすごく多いですし、このデザインがボーイッシュかといわれると、必ずしもそうとは断言できませんけどね。

――このあばらやワキの表現とか、かなりセクシーですよね。

藤坂:このへん、いいでしょう? 露出が多いはずなのに、あざとくエロく見えない感じに仕上げたつもりです。

:そのこだわり、よくわかります。

藤坂:言ってしまえば、トウの服って下着みたいじゃないですか。これ、完全に下着なんですけど、そういうふうに感じないようにできないかって試行錯誤はしています。

――たしかに、こんな格好をしているのに不思議とエロくは見えない……それがすごい。

『ドラッグ オン ドラグーン3』
▲トウ関連のイベントシーンでは、彼女のワキやあばらをガン見しちゃいそうな自分が嫌です。

:今だから言うと、トウのデザインは正直心配していました。ここまで仕上がるまでは、どうなるものか、よく見えませんでしたからね。

――デザイン的に、紆余曲折があったんですか?

藤坂:そうですね。もっとファンタジー色を強めたものとか、いろいろいじってたかもしれません。最初はもっと王道感があったんです。

:わかる。正統派ファンタジーRPGとかに出てきそうな王道感だよね?

藤坂:そうそう。巨大な剣を担いでたりとか、僕の中ではものすごく王道なので、最初はこんな下着みたいな服じゃありませんでした。

――このマフラーとかのせいなのか、女性というよりは少年っぽさが出ていると思います。

藤坂:マフラーって、よくあるデザインなんですけどね。僕は、キャラのシルエットはラフの段階である程度決めているんですけど、いざ、本チャンを仕上げるために、そのラフにディテールを当て込んでい中で、それなりの説得力がほしくなるんです。でも、それを自分で考えるのはなかなかたいへんなので、本当はそのタイミングで、キャラの詳細な設定がほしかったりはしますね。そうなると、デザインはまた少し違ったものになっている可能性はあります。

――やっぱり、同じ会社で机を並べて作っていた『DOD1』のころとは環境が変わって、ヨコオさんとの細かい意思の疎通は大変なのでは?

藤坂:そうですね。そりゃあ、同じ会社の同じチームでゲームを作ってる時とは感覚が違いますよ。昔は、まさに描いてる最中にヨコオさんが横から覗き込んできて、「ここは●●だからこうしたい」って意見を言ってくれたりしてましたからね。

:そのぶん、ヨコオさんのフィルターを通さず、藤坂さんの色なり解釈なりを盛り込んだデザインがあがってくるわけですから。たいへんだろうとは思うけど、やっぱり今回はこの形でよかったと思っていますよ。

――たとえばゼロの花のように、思ってもみなかった化学反応が生まれるというのは、そのへんも影響しているかもしれませんね。

藤坂:正直、僕にはよくわからないところですが、おっしゃるとおりかもしれません。

――では、お次はスリイです。彼女はもう、刃が逆向きのハサミって部分に要注目ですよね。このイラストを見てゾゾッとしました。もちろんいい意味で!

『ドラッグ オン ドラグーン3』

藤坂:ほめてもらっておいてなんですが、例によって、これもあんまり意味はないんですけどね(笑)。

――なんと!

:でもたしか、戦う時はハサミを持ちつつ殴るって設定とかなかったっけ?

藤坂:そうですね。このハサミ、僕は「格闘武器としても使えるでしょ」とか「双剣ってことにすれば大丈夫でしょ」と、無茶なことを言っていた記憶があります(苦笑)。この子はすぐに髪が伸びるっていう設定があるから、ハサミは常に持ち歩くと思うんですよね。特に違和感はないと思うんですけど……どうでしょうか?

『ドラッグ オン ドラグーン3』
▲刃が逆さのハサミ。何を切るの? これでお人形さんの何を切るの?

:たしかに、設定的には違和感はないよね。

藤坂:これはね、設定がほぼ何もないままにラフを描き起こしている時、契約的なものが原因で何かゆがみが出たりするのかなって考えながら描いたから、こうなった部分はあるんですよね。契約のせいで髪が伸びちゃうっていうのが、自分の中での設定でした。

:どういう設定なの、それ?(笑)

――でも、これ刃が逆だったら髪の毛も切れなくないですか?

藤坂:うん。まぁ、いいんじゃないですかね。

:いいと思うよ。魔法の力とかで切れるってことにしとけば解決でしょう。デザイン的にこっちの逆刃のほうがかっこいいからね。僕、スリイはけっこう人気出そうだなぁと思ってます。

――ちなみに、ここに髪止めをつけてるじゃないですか。これってもしかして、ゼロとおそろいだったりするんですか?

藤坂:そうです、そのとおり。すごい、よく気が付きましたね!

――いや、完全に当てずっぽうです。ゼロの髪止めって装飾部分が見えないから、気になっただけで。

藤坂:あくまで僕の脳内設定ですが、この髪止めはゼロに対する心の底での憧れとか、実はゼロから貰ったものであるとか、いろいろ想像しながら描きました。

『ドラッグ オン ドラグーン3』 『ドラッグ オン ドラグーン3』
▲ゼロのほうは絶妙に髪の毛で隠れていますが、見えている部分の形がなんとなく似てるんですよね。まさかこんなところにも、藤坂さんの脳内設定が盛り込まれているとは!

――なるほど。オフィシャル設定では“ゼロへの関心は薄い”ってなってますけど、実際のところはわかりませんもんね。藤坂さんの脳内設定っていうのは大事かも。

藤坂:本当に、僕の中での設定なんですけどね。こういうの、気づいてもらえるとうれしいです。

→続く話題は、各キャラのバストサイズ!?


[CHECK]9月9日(月)20時より、『DOD3』のニコニコ生放送を配信!!

 『DOD』ファン待望の特別番組を、9月9日の20:00よりニコニコ生放送にて配信します! 番組名は、番組名は“【電撃DOD3】生放送第3回:『ドラッグ オン ドラグーン3』情報解禁スペシャル<ゲームの電撃チャンネル>”です。

 ゲストに柴貴正プロデューサーと藍井エイルさん、司会に声優の広橋涼さんを迎えて、『ドラッグ オン ドラグーン3』の情報をたっぷりとお届けしていきます。ここで初めて公開される情報も盛りだくさんなので、絶対にお見逃しなく!!



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Character Design : Kimihiko Fujisaka.

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