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2013年9月19日(木)

PS4とPS Vita TVによるPS4リモートプレイも披露された“TGSフォーラム2013”基調講演第1部レポート【TGS2013】

文:イトヤン

 千葉・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ2013。初日となる本日9月19日、“TGSフォーラム2013”の基調講演が行われた。

東京ゲームショウ2013

 この記事では、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の代表取締役社長 兼 グループCEOのアンドリュー・ハウス氏らが登壇した第1部“「プレイステーション4」が創造する世界”の模様をレポートする。

 この講演ではPS4のコンセプトや特徴が語られたのに加えて、PS4がスマートフォンやPS Vita TVと連動する際の動作を紹介する、世界初公開の技術デモも披露された。

■誰もが“つながる”時代の体験を、PS4で提供したい

 基調講演の冒頭では、SCE代表取締役のアンドリュー・ハウス氏が登壇し、これから発売するプレイステーション4(PS4)の基本コンセプトが語られた。

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▲アンドリュー・ハウス氏

 ハウス氏はまず、現在の社会でゲーム専用機がどのような役割を採るべきかという分析から始めた。ゲーム専用機、中でも家庭のTVにつなぐ据え置きゲーム機はコアゲーマー向けだと言われるが、「最先端のゲーム体験を求める人は決して少なくない」とハウス氏は語った。世界的に見れば、『コール オブ デューティ』や『グランド・セフト・オート』といったタイトルは大ヒットしており、ニッチなマーケットとは呼べない規模の売り上げを記録している。

 ただ同時にハウス氏は「ゲーム“専用機”という呼び名は古くなってきたと感じる」とも言う。なぜなら現在のゲーム機は、ゲームだけでなく映像や音楽など、多機能な総合エンターテインメントマシンへと進化しているからだ。

 また一方で、タブレットやスマートフォンの登場によって、新しいゲームの市場も誕生している。そして「タブレットやスマートフォンでゲームを楽しむユーザーは、よりソーシャルな体験を求めている」とハウス氏は分析する。

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 続いてハウス氏は、こういった状況を踏まえた上での、次世代ゲーム機に求められる要素を挙げた。最先端のゲームを楽しめることは非常に大事だが、それに加えて以下のようなことが求められているという。まず、他のデバイスより優れたUIで積極的にネットワークコンテンツを提供すること。次に、大人から子どもまで家族みんなで楽しめる体験ができること。そしてあらゆるゲームのジャンルで、ソーシャルな機能を強化すること。ハウス氏によると、これらの要素を実現するために、PS4が開発されたという。

 「PS4では、最高水準のゲーム体験を提供したい。だが同時に、誰もが“つながる”世の中だからこそ実現可能な体験を、プレイステーションユーザーに提供したい」とハウス氏は強調した。

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 ここでハウス氏によって提示されたのが、PS4のコンセプトとなっている“Connected UX”と“Shared Experience”という考え方だ。このうち“Connected UX”とは、“ユーザーが常にゲームの世界とつながっている体験”を意味している。

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 もう1つの“Shared Experience”は、ハウス氏によると、SCEが最も力を入れているものだという。「バーチャルなプレイスタイルも大事だが、家族や仲間が同じ空間で一緒にゲームを楽しみたいという思いは、万国共通のはず」と、ハウス氏は語った。

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 さらにハウス氏は、ゲーム開発における環境の変化についても言及した。ゲーム開発の現場では現在、二極化が進行しているという。制作費の高騰や開発規模の大型化が進む一方、モバイルゲームの発達によって小規模な開発も躍進している。「今後ゲーム業界は、ハリウッドとインディーズが共存する映画業界のようになっていく」と、ハウス氏は分析した。その上で「PS4では開発のしやすさを徹底的に追求していくと同時に、どんな小規模なスタジオでも自分たちでゲームを配信できるような、フレキシブルなビジネスモデルを提供する」と語った。

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 こうしたアプローチによって、PS4にソフトを提供する開発スタジオは、6月のE3で発表された500社から、現在では620社までに拡大しているとのこと。さらに「SCEでは2013年度に、PS4は500万台の販売を見込んでいる」と、ハウス氏は語った。

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 最後にハウス氏は、先日のプレスカンファレンスで自身が発表した新ハード“PlayStation Vita TV”についても触れた。ハウス氏によると、PS Vita TVの特徴は2つあるという。1つはどんなリビングルームにもフィットする小さな筐体、そしてもう1つは、PS VitaはもちろんPSPのソフトやPS1のアーカイブスなど、1300ものゲームタイトルに発売日からアクセスできるという、ゲームライブラリーの豊富さだ。

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 さらにSCEでは、Gaikaiの技術を使用したクラウドベースのゲームサービスを、2014年にアメリカで開始することを発表しているが、このサービスはPS4やPS3に続いて、将来的にはPS Vitaにも提供される。ハウス氏は「同じシステムである以上、このサービスはPS Vita TVでも実現できる」と語ったが、具体的な開始時期などに関しては、今後改めて説明するとした。

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→ユーザーフレンドリー&デベロッパーフレンドリーがPS4の開発コンセプト
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