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2013年9月20日(金)

SCE河野氏に聞くPS4をはじめとするPSフォーマットの今後の展開――PS4発売以降も長期的な視点で継続していくことが重要【TGS2013】

文:電撃オンライン

 9月19日より千葉・幕張メッセにて開催されている“東京ゲームショウ2013(TGS2013)”。次世代機が揃って国内初のプレイアブルとなり、大きな話題を振りまいている。その立役者の1人、SCEJAプレジデントの河野弘氏に、PS4に向けた施策やPSプラットフォーム全体の今後の展開についてのお話を伺った。

■PS4について、ロングタームでさまざまな施策を継続していくことこそが重要

SCE河野さん
▲ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア プレジデントの河野弘氏。

――今回のTS2013の基調講演で、アンドリュー・ハウス氏(SCE代表取締役社長兼グループCEO)がPS4の販売台数を2013年度中に全世界500万台を目標にするとおっしゃっていましたが、日本での販売目標数字はどれくらいをお考えでしょうか?

 具体的な数字目標はこれから出していきますが、まずは今の勢いをそのままにローンチを迎えて、その後も様々な施策を継続させるのが第一だと思っています。

――先日のプレスカンファレンス“SCEJA Press Conference Asia Session”にて、欧州と北米に次いで日本以外のアジア地域での発売が日本より早い年内と発表されましたが、その意図についてお聞かせください。

 日本のユーザーに対して、大変申し訳ないと思っています。ただ、私たちとしてはどの地域を早くしよう、遅くしようと考えているわけではありません。商品の準備や地域の特性などを考慮して、その地域で販売できる準備が整っているかどうかを念頭に、最良のタイミングを地域ごとに考えたものです。

――地域特性といえば、日本ではPS4に『KNACK』が同梱されるなど、地域ごとで販売にも違いがありますしね。

 北米や欧州では、PlayStation Vita(以下、PS Vita)の2000番が出ないとか、PlayStation Vita TV(以下、PS Vita TV)が発売されないといったことなどもありますので、やはりその地域ごとの特性を考慮した販売戦略を取っています。

 アジア地域の場合は英語版がそのまま販売可能な地域も結構ありますし。ただ、もちろんコンテンツの価値のひとつとして、いち早く体験できるというものがあるということ、そしてそれを希望する熱心なユーザー様が数多くいらっしゃるということは認識しています。

――そういった発売日に関する意見が多いのは、注目を集めていることの証であるとは思います。

 注目をしていただいていることは、大変ありがたいことだと思っています。ですから1つ1つ、我々がやれることをちゃんと準備して、今後もPS4の魅力をしっかりお見せできればと思っています。そして、発売日だけでなく、2月22日以降も、ロングタームでさまざまな施策を継続していくことが非常に重要なことだと思っています。ですから、そこをしっかりやっていって、ユーザー様に伝えていきたいと思います。

■キーワードは“タッチ&トライ”

―― “TGS 2013”におけるSCEブースの見どころを教えてください。

 今回のブース作りは非常に難しいものでした。どのフォーマットも話題が非常に充実していますから。PS3は『グランツーリスモ6』が年内に発売されますし、タイトルラインナップは非常に充実しています。そうしたタイトルを遊んでいただくスペースも確保しなくてはならないし、PS4は日本において、ユーザー様が初めて試遊できる場ですので、当然力も入ります。加えて、PS Vitaも新型が発売されますし、タイトルも充実している、そして、PS Vita TVも世界で初めてのお披露目です。

 PS Vita TVは発表以来、多くのユーザー様からとても高評価な反応を得られていると感じています。ですから、しっかりと説明したいハードでもあります。そうなるとスペースがどうしても足りなくなってしまうので、必死に図面を見てブースの配置を考えていきました。うれしい悲鳴です(笑)。

SCE河野さん

――ユーザーさんには、何を1番に見てもらいたいですか?

 まずはPS4のデザインをじっくりとご覧になっていただきたいですね。これまでプレスカンファレンスなどでは公開しましたが、一般のユーザー様が近くで見るのは初めてだと思いますので。まずは、こういう形なのか、このくらいの角度か、というのをぜひ見てほしいです。そのあとは、できる限りたくさんのタイトルを体験していただきたいです。

 『KNACK』はもちろん、サードパーティ様のタイトルなら『deep down』など……。本当にたくさんのタイトルがそろったと思います。

――ビジネスデイでも、長い行列ができていました。

 朝礼でスタッフに集まってもらったとき、「今年のTGSはPlayStationブース目当てにみんな来てくれることになると思う」と言ったんです。SCEブースには話題がいっぱいありますで。だから混雑が予想されますし、どうやってユーザー様に楽しんで帰っていただくかが重要なので、頑張りましょうと。とにかくプレイしていただくことなのです。

――PS4を体験する機会についてですが、ローンチまでに全国を回られるというお話もありました。気が早いとは思いますがTGS開けからロンチまではどういった展開を予定されているのですか?

 今回、我々は“タッチ&トライ”をキーワードに掲げています。PS Vitaのときもキャラバンをかなりやりましたが、今回も全国を回ります。10月5日からの予約受け付け開始以降になると思いますが、そこではPS4だけでなく、PS Vita TVなどもアピールしていく予定です。PS Vita TVは、PS4のリモートプレイ用のマシンとして予約された方がすごく多いですし、PS4を中心とした新しいゲームライフを体験いただけるよう努めていきます。

――PS Vita TVは、非常に広がりのあるハードであるように感じました。

 PS4のリモートプレイはもちろん、やはり大画面でPS Vitaやりたいとおっしゃるユーザー様の声を多く聞きます。それがあの値段で、そして、動画サービスも充実しています。コアなゲームユーザー様も、ライトな層、ファミリー層も、多くのユーザー様に、テレビを中心としたコミュニケーションの輪をつくるハードとしての魅力をアピールしていきたいです。

――価格のお手ごろさも魅力的ですよね。

 コンパクトな形状で、PS Vitaタイトルが大画面で楽しめる。また、1300以上ものタイトル、リモートプレイの機能に加え、PS Vitaに対応している各種ネットワークサービスをTVで楽しむことができる新しいデバイスとして、楽しんでいただけたらと思います。今後は、もっと多くのユーザー様に広めるため、使い方を分かりやすく説明する動画コンテンツなどの施策を準備しているところです。

――PS Vita TVのほか、今後のPSフォーマットで力を入れていきたい部分などはありますか?

 PS4にしてもPS Vita TVにしてもそうですが、私たちが力を入れねばならないのはPlayStation Plus(以下、PS Plus)の部分です。会員数をできるだけ増やしていきたい。月々500円でたくさんのタイトルをプレイできるし、PS4のオンラインプレイもある。私たちとしては、会員であるということのメリットを感じてもらえるよう、プログラムそのものを魅力的にしていく必要があります。

 日本ではゲームアーカイブスを中心に100タイトル以上遊べますし、今後も継続して力を入れていきたい部分です。会員ならではの特典をどうやって生み出すかがキーになると思います。まずは遊べるタイトルを用意する、そして新作ですね。『DRIVE CLUB』などはPS Plusエディションとして入っていますし、過去のライブラリーだけでなく新しいタイトルも入れていくことがアクションになります。また、クラウドを介してのセーブデータ管理なども、もっと遡及していきたいですね。

――クラウドのお話が出ましたが、日本ならではのクラウドを利用した展開はありますか?

 クラウドについては、これからもお伝えしていくことがたくさんあります。まずはゲームをプラットフォームフリーで遊べるということ。例えばPS3のタイトルを遊べるようにするなど、そういったことの実現が重要になります。

 あとは、カンファレンスなどで公開したイメージビデオのような世界をどうやって実現するかです。ゲームを開かれたものにするというか、ゲームをプレイする人だけでなく、見てる人も楽しめる、参加できるというものにしていかなければいけないのではないかと。それを実現できる可能性が、PS4にはあると思うんです。あのビデオは、私たちが思う遊びをビジュアライズして提案したものなのですが、ユーザーの方から私たちが考えもしなかったような提案が出てくるような予感がしています。

――あのPVに登場するのは大学生なのですが、その年代をイメージして制作した理由は何でしょうか?

 デジタルエンターテインメントにおいて、若い人たちが流行や製作者側が思いもよらない新しい遊び方を生み出しているじゃないですか、PS4もユーザーさんが自分たちで生み出す新しい遊び方をしてもらいたい、また、そういったことができるハードですので、そういった思いを込めて制作しました。

■ゲーム業界の全体の盛り上がりにつながるようなこと

――最近はプレコミュなど、ユーザーさんとのコミュニケーションを非常に重視しているように思います。

SCE河野さん

そうしたことは今後もやり続けていかねばならない部分です。以前は、SCEに対して発言する場がないとよく言われていました。WEBサイトにはフィードバックという項目もあったんですが、誰も気づかないような場所においてあって、そういうのはビジネスをやるうえではよくない。もちろん厳しいご意見もありますが、それも含めてのフィードバックですので。

 2010年後半からは、そうしたユーザー様の声を積極的に聴くという大きな決断をしました。それがプレコミュになり、たくさんのイベントを行い、開発の方々と直接対話できるような場を設けることもできました。ユーザー様の愛情を感じるぶん、厳しい意見を受ける覚悟もしています。ユーザー様が少しでも喜んでもらえるような議論を、今繰り返し行っている最中ですね。

――最後に、TGS2013からPS4のローンチまで我々ゲームユーザーは、どういった気持ちで待っていてほしいと思いますか?

 PS4の発売前に、まずはPS Vitaの2000番をぜひ手に取っていただきたいです。PS4ともつながっていますし、どんどんタイトルも出てくるのでぜひPS Vitaで遊んでほしいです。

 その少し後、11月にはPS Vita TVも発売されるのでそちらも試していただきたいですね。最後にPS4についてですが、現在、キャラバンのほか、予約をしていただいた方に対して何か応える方法はないかと議論している最中です。そういった情報もプレコミュを通して出していきます。

 いろんな意見をいただいて、それも込みでのコミュニケーションを続けていきたいと考えていますし、いろんなメディアを通してまだまだ情報を発信していきますので、期待して待っていてください。ゲーム業界の盛り上がりにつながるようなことを、今後も継続してやっていきたいと思っています。

■東京ゲームショウ2013 開催概要
【開催期間】
 ビジネスデイ……2013年9月19日~20日 各日10:00~17:00
 一般公開日……2013年9月21日~22日 各日10:00~17:00
【会場】幕張メッセ
【入場料】一般(中学生以上)1,200円(税込)/前売1,000円(税込)
※小学生以下は無料

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