『ブレイブリーデフォルト FtS』魔王“白鳩”と“蝶尾”には続編『ブレイブリーセカンド』の伏線が！ デザイナーの増田氏と浅野Pにインタビュー

文：ごえモン

■白鳩と蝶尾には続編『ブレイブリーセカンド』との関連性が

――蝶尾が“夏休み”で、白鳩が“結婚式”というお題にされた理由は？

浅野：『ブレイブリーセカンド』のシナリオ的なところからですね。どうぞ、お楽しみに！

――なぜ、金魚と鳩だったのかとても気になるのですが。

増田：“夏休み”と言われても、抽象的ですし人それぞれいろいろなとらえ方があると思います。そこで自分の小さいころの体験をイメージしてみたら、夏祭りの屋台で何かを買ってもらったこと、遠くでぼんやりと光っている明かり、そこに行くまでのワクワク感、ポツンと提灯がついていて、そこで金魚が泳いでいる姿が思い浮かんだんです。動物的なモチーフにしようとは最初から考えていましたので、それをシナリオと合わせながら、こういうモンスターがいたらいいなと思い、蝶尾が生まれました。

　白鳩のほうは結婚式というお題ですが、こういうものは連想ゲーム的なところがあって、結婚式ってよくバーっと鳩が飛ぶじゃないですか。そういうところから思いついたんです。やっぱり、他のモンスターデザイナーの方にはどうしても太刀打ちできないので、自分のテリトリーの中でやろうと考え、ウェディングドレスなどのファッション的な素材を使いながら雰囲気を出していくことにこだわりました。

――白鳩とはすでに戦ってみたのですが、どこか狂気のようなものが混じっているような印象を受けました。

増田：それは僕の特徴なんですかね？　僕の作る作品には「どこか狂気のようなものが必ずある」ってよく言われるんです（笑）。

――Kawaiiと狂気ですね。

増田：僕がやっているKawaiiは表面的な可愛さだけでなく、奥に潜んでいる“そこに行きつくまでの過程”などを表現しているので、蝶尾と白鳩もそれを強調したようなデザインになっていると思っています。

――そのKawaiiの中にある狂気のようなもので、異質な魔王らしさが表現されているんですね。

浅野：そうですね。うまく表現されていると思います。この2体はこれまでのボスとは次元の違うボスなので、狂気というか、敵らしさがいい形で出ていると思います。

増田：アーティストとして表面的なデザインも大切なんですが、そこからメッセージがにじみ出るようなビジュアルにすることが、アーティストとして心がけている部分です。いいデザイナーはいっぱいますが、メッセージをビジュアルで届けるのは難しいことだと思っていて。ゲームのボスは個人個人が対峙するものなので、対峙した人それぞれの心にグッとくるようなモンスターを作りたいと思っていました。

――見た瞬間「今までの敵と全然違う!?」とグっときました。

増田：実際に3Dモデルになったものを見てみると、確かに他のデザインとは違うものになっていますね。

――足元の鎖を見て「結婚式なのになぜ鎖？」という疑問から、いろいろと考察しています。

増田：結婚には“縛られるもの”というイメージもあると思っています。そういった、いろいろなコンテクストを拾ってもらって「こういうつもりで作ったのかな？」と考えていただけると、おもしろいと思います。

――金魚の体が透けているのはどういう意図なんですか？

増田：金魚には透明感みたいなものがあるじゃないですか？　例えばですが、蝶尾の中に主人公たちの忘れられない思い出などが入っていて、それをパーっと出しながら主人公たちを攻撃する、なんてことも考えていました。

浅野：全部が全部を取り入れられてはいないのですが、ラフやスケッチからアイディアをいただいて、攻撃方法にしているものもあります。蝶尾の体から玉が出てきて稚魚が生まれる、という動きはラフからいただいたアイディアですね。もちろんアレンジもさせてもらっていて、白鳩は絵だと足が地面についているのですが、立って歩くと動き的に具合が悪かったので、ゲームでは飛んでいます。

増田：ラフでは自分がやってほしいことの100％を書いています。そこから何かをくみ取っていただいて、実現してもらえたらいいなと思っていました。白鳩の動きを見せていただいたら、攻撃する時にグルっと回っていたんです。そういうところは想像以上で、自分が持っている以上のものが表現されていたので「これ、本当に自分が作ったの？」と見ていて感じました。

浅野：先ほど増田さんが言われた素材ですが、この素材感はポリゴンやテクスチャが得意なものでは決してありません。その制限の中、白鳩のひらひらや体の中の細かさ、蝶尾の半透明の感じ、ミラーボールのような目、パーツの細さなど、開発チームはよく再現していると思います。

増田：浅野さんを驚かすことを最優先に考えていたので、このデザインが実際にゲームとして実装されることは忘れていました（笑）。たぶん、ゲームの知識があると「こういうデザインはゲーム的に再現できないんだろうな」とか考えて制限されてしまうのですが、ゲーム開発の知識がないぶん自由にやらせていただいたので、作っていて楽しかったですね。

――第一天と第四天ということは、この他にも魔王がまだまだ登場すると考えていいのでしょうか？

浅野：そうですね。第一と第四と数字がありますが、そこにもちゃんと理由があります。ちなみに、白鳩と蝶尾というネーミングの由来は見た目からきています。

→欧州版『BDFF』が好調なスタート。海外でも通用する？（3ページ目）

(C)2012,2013 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
MAIN CHARACTER DESIGN：Akihiko Yoshida.
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