2013年12月30日(月)
名取:書きたいなぁと思っても、いろんなことがねー、ヨコオさんの頭の中にしかないから。
映島:そう、公式の小説を書いてるって言っても、やっぱりヨコオタロウの見ている世界があってのことですからね。まずはそこからかなぁって。
名取:私、今回はなんて難しいテーマなんだろうって思ったんですよね。「今回は下ネタと笑いでいきます」って言われて、すごく驚いて。
映島:私も。「はい?」って聞き返したほどで。
サガコ:私はでも、最終的にその緩急のおかげで泣けるとこありましたけど……。
名取:どこ?
白本:名取さん、すごい前のめりに(笑)。
名取:いや、聞きたくて。『ニーア』の狼とおじいさんとかは想像ついたんです。自分で書いていても。仮面の王の◯◯◯◯とか。
でもなんて言うんですか。7号の生首が吹っ飛ぶところとか、何が、どういった余韻で場面がもつのかがまったくわからなくて。
でも、ヨコオさんはそこをわかってるんですよね。絵として、ゲームとして、どういう余韻が生まれるかをわかってる。
サガコ:シナリオを書いてる名取さんに、ヨコオさんの見ている景色の全部が見えてるわけじゃないってことですか。
名取:今回は特にそういう側面が強かったですね。だけど、あの『ニーア』という作品が受け入れられたんだって知った時に、もうヨコオさんの言うとおりにしようって思いました。
これどういう意味なんですか? とか、ここをこうやっても、プレイヤーにはわからないんじゃないですか? とか。そういうのは私よりもヨコオさんが知っている。ヨコオさんのゲームを遊ぶ方たちは、そういうのについていける人なんだな、食らいついていける人なんだ、と割り切った。だったらもう言うとおりにしようって思ったんです。
だから『DOD3』は、最初からわかりましたっていうことしか言ってないと思う。
サガコ:各エンディング、それぞれにグッときましたよ。
映島:うん、私も最初のエンディングからヤバかった。
名取:そうですか、それなら、うん。
サガコ:ゲームをプレイしたからこそ得られる感動って、あると思うんですよ。本当になんてことない戦闘シーンの会話で、終盤ぐっとくるところとかもあったりして。戦ってるからこそ、後ろで話されていることがすごく切なくて、ここでそんなこと言われたら絶対泣くわー、泣くわー、ほら泣いたーみたいなのもあったりして。
名取:そのあたりは、小説や映画とはまた違う感覚ですよね。だから、作る側の設計図も違ってくる。
映島:そうかー。だから私が出してほしいと思う知りたい情報と、ヨコオさんが必要だと思う情報の種類は大きく違うのかも。いや、どっちも知りたいですけど!
サガコ:完結したすべてを一本のゲームで味わえてこそだ、という考え方もあるでしょうし、一概には言えないけど。でも小説でしか味わえないとか、ドラマCDならではっていうのも、私は個人的にすごく好きだから、そうやって世界が補完されていく遊びは興味深いです。どこまでついていけるかも、個人の好き好きかなって。
映島:いやー、そういう意味では今回のハードルは高いよ!
名取:高い。
白本:低すぎて、高くなった。
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Character Design : Kimihiko Fujisaka.
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