2014年1月30日(木)
――新武将についてお聞きしたいのですが、ゲーム中の設定とアクションについて教えていただけますでしょうか。
山本:左近からいきましょうか。蹴りと双刀というところで、スイッチするキャラクターです。普段の攻撃の中でも気軽に切り替えが可能で、同じ入力でも2つの技があるため、その特性をうまく見極めて使っていくキャラです。もともと、ブルース・リーのジークンドーのような雰囲気を持ったキャラをやりたいなと思っていました。
――そこは衣装にも現れている感じでしょうか?
山本:そうですね。あとは、あえて右と左の色を変えているなど、スイッチした時に映えるような衣装にしています。スイッチという機能が、丁か半かというイメージもあり、博打キャラになっています。
――武将と博打というのが、繋がりにくかったのですが、どういうところから設定づけられたんでしょうか?
門脇:カジノで一発当てたとか、アメリカンドリームを掴んだというのを山本がよく話していましたね。義輝というカジノのディーラーがいて、カジノに来た2人の人物がいる。賭けに勝った左近と、負けた勝家みたいな感じでした。本作ではギャンブルというキーワードは、企画段階から何度も出てました。
あとは、刀を鳴らすモーションが演出であります。個人的には好きですね(笑)。
山本:蹴りのアクションではエクストリームマーシャルアーツがモチーフです。モーションキャプチャーも入っているのですが、見ていてもどういう風に動いているのかわからないようなアクションが展開してました。
――蹴りに関してはその部分がかなり生かされていると。
山本:ただ、素直に蹴るのではなく、左近らしい皮肉っぽさも入っているため、ひねりのような回転が加わっているものが多いですね。
――空中でも自由に切り替えができて、かなりアクション性の広いキャラだと感じました。先ほど話題にも出てきた勝家はいかがでしょうか?
山本:勝家には、車のミッションギアが上がったり下がったりというイメージがありました。薙刀をグルグル回して切っていく中で、行動を強化することで1枚刃、2枚刃、3枚刃と増えていき、時間が経つと刃の数が減っていくんです。定期的にクラッチを切って上げていくというイメージで、制作しました。
攻撃ボタンを長押しすることで貯めることもできるんですが、技の最後にステップを踏むことでも上げることができるので、供給しながら攻撃していくキャラです。
――最初に触った時に勝家の気持ちよさはすごいと思いました。この薙刀はどこから出たのですか?
山本:いつか作ってみたかったんですね、この某ロボット風の薙刀を。
――なぜこの薙刀だったんでしょうか?
山本:ギャンブルのルーレットを回すというイメージが本作にあったので、回す要素がいろいろと詰められています。義輝も笏(しゃく)を回しますし、左近でいうと体を回しています。
――勝家の膝や肩にある板は、なんでしょうか?
山本:勝家の兜は、歴史上のものをモチーフにしていて、そこから生まれました。幾何学的なイメージが、勝家全体のモチーフとして入っているんですね。
勝家の人生って何を映すかによってガラッと変わっていくようなイメージがあって、それはある意味で万華鏡のよう。通常攻撃や固有技も縦縦横横××○○みたいな形があるのも、そういうところからです。肩当てとひざ当てもそれをモチーフにしています。
――左近と違って、勝家はかなりガッチリした甲冑のキャラという印象でしたね。
山本:未来を切り拓いている人といない人で、立場が違えば逆だったかもしれない。丁か半かというところで、この2人には表か裏かというテーマがあります。性格や立場こそ違うんですが。ある意味で密接にリンクしている部分がある。2人とも属性が同じ風にしているのは、意図的にしました。
門脇:3つ目のPVでも、2人の対比が出ていると思います。
――では、後藤又兵衛をお願いします。
山本:ストーカー気質っぽくいて、閻魔帳という某殺すノートのようなものを持っています。“殺すリスト”を実際につけているということで、執拗(しつよう)に追いかけるイメージもありながら、ネチっこくて残虐な感じを再現できないかと画策しました。奇刃(きば)という変わった武器を使うんですが、投げたり、ガリガリとこすり取るようなイメージの攻撃にしています。最終的なデザインでは、恐竜のようなイメージに仕上げています。
――キャラクターの顔も相まってか、すごく印象は強いですね。
山本:キャラクター作りでいうと、僕は『戦国BASARA』の原点に戻りたいというのがあったんです。『1』の時はストーリーはそれほど多くなかったんですが、キャラクターをたくさん作った。『2』以降で話を作る時にとがった部分は意識していたんですが、『1』ほど無邪気には作っていなかったんです。
『1』は勢いと「こういうキャラクターだ!」という無邪気さを発揮していたので、今回はそういうキャラを作りたいなと考えました。
――山本さんの中で原点に帰るというイメージだったんでしょうか。
山本:そうですね。
――又兵衛の話題に戻りますが、アクション的には武器を使いつつ、自分の爪でも攻撃するというキャラ。格闘攻撃というところにも恐竜的なイメージがあるということでしょうか?
山本:仕草とか獰猛さはイメージがあります。戦い方はブーメランが飛んでいる間にいろいろなことができるんですよ。いろいろな方向に飛ばすことができるブーメランであり、残虐に攻撃する刀でもある。
投げている時にキャッチしないで爪でひっかいたりもできるんですが、戻ってきている間に別の固有技を入力すると違う技に派生します。
――どのキャラもそうなのですが、派生する技の数がかなり多いと感じました。技を考えたうえでゲームとしてどう落としていくかを考えるのでしょうか? それともキャラクターのイメージを固めたうえで、派生する技を考えてデザインを作られるのでしょうか?
山本:最初にキャラクター性を作る時に、武器とか戦い方もその時に大枠は作ってしまいます。こんな戦い方をしようとか、某ロボットのような薙刀を使うとか……。
そこから、実際の攻撃時のアクションや個性付けとかを同時に別ラインで考えていくんですね。それぞれの戦い方のコンセプトを固めていき、他の武将とかぶらないようにというところで苦労します。
――続いて山中鹿之介について。動物と一緒に戦うという、今までにない武将ですね。
山本:これも、今までにやりたかったアクションが詰まった武将です。1人で2キャラを操作することはハードルが高かったんですけど、ナンバリングタイトルだということもあって、「もうやっちゃえ!」ということで詰め込みました。鹿のおやっさんが身につけている武器や鎧を借りて戦うという、半人前のキャラクターですね。
アクション的に見ていてもおもしろいですし、触っても楽しいキャラクターに仕上がっています。本当に心強くて、頼もしいんですよ。
門脇:おやっさんがね(笑)。
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