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2014年2月20日(木)

PS4版『新生FFXIV』βテスト直前! 制作秘話&新情報について吉田直樹氏にインタビュー&PS4版先行体験レポートをお届け!

文:ほっちゃん♂

 PS4版のβテスト開始まで秒読み段階となったスクウェア・エニックスよりサービス中のPS3/PC用MMORPG『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア(以下、新生FFXIV)』。今回、プロデューサー兼ディレクターである吉田直樹氏にPS4版の特徴や新たなプレイスタイル、さらに3月配信予定のパッチ2.2『混沌の渦動』についてインタビューを行った。また、先日行われた体験会で実際にPS4版とPS Vitaでのモートプレイに触れたレポートをまとめたので、そちらにも注目していただきたい。

『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』
▲プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏。

■PS4版はハイスペックPCと比べても遜色ないクオリティでプレイ可能

――PS4版の現在の開発状況はいかがですか?

 工程の90%は終わっていて、あとはSCEさんにチェックをしていただくだけです。新ハードですから、レギュレーションがPS3とは違うので、そういった部分をSCEさんとお話しながら手探りでやっているものが残っているくらいですね。どちらかというと、パッチ2.2で追加される要素のいくつかにPS4版でもバグが確認されているので、その辺りの修正をしています。

――PS4版はPC版をベースにし、そこからさらにPS4用に特化したものとお話がありました。

 PS4はPCと違い、グラフィックやCPUのメモリといったハードウェア構成が固定化されているので、それぞれのパイプラインに見合った処理を行っています。描画に関してもシェーダー(影)などはPS4用に描き直していたりもしますね。

――PS4版を待っている人は、現状のハイスペックPCと同等、もしくはそれ以上のクオリティで表現されると期待している人も多いと思います。こちらはいかがですか?

 たぶん人によって感じ方の違いがあると思いますが、現状のハイエンドPCと比べても遜色ないと思います。フレームレート(画面の描画)も60fpsから低くなっても30fps維持、オーディンF.A.T.Eでのプレイヤー大集合と大乱戦では、さすがにもう少し落ちますが、それが最低ラインですね。表示人数はハイスペックPCとまったく同じです。

『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』

――PS4版は何より画面で見える範囲がPS3版と比べても格段に広いのが印象的です。現在PC版でプレイされている方にとっても、大きいテレビを使って高画質の状態でプレイできるのは魅力的だと思います。

 そうですね。表示距離だけでなく、ロード時間に関しても格段に速くなっています。ただ、最終的にはハードディスクの性能にここは直結するので、そこしだいになりますが。

――PS3版を制作した時と比べて、やはりPCをベースにできるPS4版のほうがラクですか?

 比較にならないほどスムーズでしたね。PS4の設計にはマーク・サーニー氏(PS4のリードアーキテクト)がかかわっているので、作り手がどのようにGPUやCPU、メモリを使うかわかったうえでのハードウェア構成になっています。基本的にPCのゲームを作るのと同じ感覚なので、ラクをさせてもらったぶん、最適化に力を入れました。

■SHARE機能とリモートプレイを使った新たなゲーム体験を提供

『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』

――PS4に搭載されているSHARE機能はゲームタイトルによっては公開できるものに制限がかけられる場合がありますが、『新生FFXIV』ではその制限がありませんよね。

 すでにPS3版とPC版でサービス中ですし、この部分で何か情報制限をかけるつもりはありません。ですから、SHARE機能を使ったライブストリームを世界中でやっていただければと思います。

――PS Vitaでのリモートプレイも、実際に触れてみてかなりの衝撃を受けました。このプレイ感覚は素直にすごいです。

 『FF』シリーズは27年という歳月をかけて進化してきた作品ですが、今回PS4版をリリースするにあたり、PS Vitaを使って外出先からでもゲームをプレイでき、なおかつそれがスペックダウンしているわけじゃなく、ただモニタのサイズが違うだけっていう衝撃はかなり大きいと思うんです。それを味わっていただくためにも、公開範囲には制限をかけないほうが『新生FFXIV』の魅力がより増していくきっかけになると思います。2月22日のオープンβテストからSHARE機能やリモートプレイも使えますし、クライアントも無料でダウンロードできますので、PS4の実力を測るベンチマークソフト的にご利用してくださってもかまいません。PS4を購入された方にはぜひとも触れていただきたいです。

――リモートプレイを制作するにあたり、大変だった部分は多々あると思いますがいかがですか?

 ボタンの数が違うところですね。おそらくどのメーカーさんもPS Vita用のUIを作るのに苦労されていると思うんです。『新生FFXIV』はフルゲームサポートだからこそ、最低限僕たちが違和感なく遊べるようにカスタマイズしてあります。さらにリモートプレイ用の設定を別に保存させ、リモートプレイに移行した時に自動でスイッチするようにしたりと、皆川(リードUIアーティスト兼リードWebコンテンツアーティスト、皆川裕史氏)がいろいろ考えてくれています。最近の彼はずっとPS4とPS Vitaばっかり触っていましたし(笑)。ボタンのカスタマイズもできるので、よりこだわりたい方は工夫されると思います。

――そうなると、ゲーム体験という意味で、PS4版は大きく変わりそうですね。

 PSPのころも、録画したドラマを入れて通勤中などに観る方が徐々に増えていったと思います。これと同じように、PS4でゲームにログインさせたままにしてWi-Fiを使い電車の中や昼休み中にちょっとだけ生産や釣りをして、家に帰ってきたら本格的にプレイするといったスタイルがこの1年で進むと思うので、すごく楽しみですね。

『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』 『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』
『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』 『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』
▲PS4版はさまざまな機能に対応しており、まさに万能機といったところ。

――ちなみにですが、PS4版のログイン方法はPS3版と変わらないのでしょうか?

 同じです。PlayStation NetWorkがメンテナンス中でも、ゲームにログインさえしておけば遊び続けられます。

――PC版はDirectX 11版の対応も発表され、今後もより美しいグラフィックに進化していくと思います。映像演出が追加されるのであれば、PS4版にも対応されていきますか?

 PS4だけでなくPS3版も、やれる限界のところまでやりますよ。パッチ2.16からは雨濡れの表現が加わり、クルザスにいると吐息が白くなったりしますし。

――ちなみにそれらの表現は、PS4版で実現できたからこそ追加したのでしょうか?

 いいえ。MMORPGというジャンルで最高のグラフィックス表現を提供していくにあたり、ローンチのタイミングで胸をはって最高といえるクオリティにしましたが、実はまだまだやれることは残っていました。その中から取捨選択してラインを引き、タイミングを見て映像表現を追加しているので、PS4版に合わせたというわけではありません。グラフィックス班はクオリティを上げつつ、パフォーマンスを落とさないという魔法みたいなことを成し遂げるために動いてくれています。なので、先ほども話したようにまだ最終調整中ですが、雨濡れの表現もPS3版にも入りますよ。

――グラフィック面でもどんどん進化していくという部分では、今後はハードごとの格差が広がっていくと思います。この部分に関してはどうお考えですか?

 僕たちとしてはPCのOSと同じような考えをしていて、サポートできる範囲は極限までサポートしますが、ゲームの進化上どうにもならなくなった場合は乗り換えをお願いする形になると思います。ただ、少なくとも現在開発中の拡張パックの設計では、PS3版ももちろん仕様に入っています。ですからそこまで早いタイミングではありませんが、数年後にPS3版からPS4版への移行を推奨させていただく可能性はそれなりに高いと思います。そこの部分は挑戦的、革新的というところとの線引きだと僕は考えていますし、次世代ハードが普及さえすれば乗り換えない理由はないですからね。

――ちなみに、PS4へ乗り換えるというタイミングで、マクロなど設定を移行する手段は用意される予定でしょうか?

 PS3からPS4へは、なんとかなりそうです。PC版は専用のサーバーを立てるしかなく、計算はしているんですが、サーバー保存にしようにも情報量が多く大変なんです。引き続き検討を行っていこうと思います。

→パッチ2.2『混沌の渦動』でエオルゼアはどう変化していくのか!?(2ページ目へ)

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ILLUSTRATION: (C)2013 YOSHITAKA AMANO

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