News

2014年2月27日(木)

生きているのに新しい七不思議に任命!? 『僕が七不思議になったわけ』で電撃小説大賞《金賞》に輝いた小川晴央先生にインタビュー

文:電撃オンライン

 『僕が七不思議になったわけ』で、第20回電撃小説大賞《金賞》を受賞した小川晴央先生のインタビューをお届けする。

『僕が七不思議になったわけ』

 本作は、学校にまつわる七不思議を司る精霊・テンコさんと、新たな七不思議の引き継ぎに仮登録されてしまった高校生・中崎夕也を描く物語。生きながら七不思議となった中崎は、任命したテンコとともに学校で起こる事件を解決していくことになるのだが……。

 インタビューでは、小川先生による本作の執筆にまつわるエピソードなどを語っていただいた。100%の力を出し切ることを目標として書かれた本作の魅力を感じていただければ幸いだ。

――いよいよメディアワークス文庫『僕が七不思議になったわけ』が発売されます。今の素直な心境を教えてください。

 緊張と期待と不安と恐怖でドキドキです。動悸が凄すぎて肋骨が壊れかけています。

――生きているのに学校の七不思議の1つに仮登録されてしまった……。そんな主人公が活躍する物語を描こうと思った動機を教えてください。

 実はこの設定自体は、出発点というわけではありません。アイディアを練る中でこの形になりました。結果としてただ主人公が七不思議にかかわるよりも、組み込まれてしまった方がインパクトがあるものになったのでよかったです。

――今回、物語を作る上で、特にこだわったところや苦労して書いたところはありますか? また、執筆にはどれくらいの期間をかけましたか?

 だらだらとアイディアを練っていただけの期間も含めれば半年くらいかかっていると思います。こだわりとは少し違いますが「自分らしいものを、100%で書く」を目標にしていました。その目標のせいで「もしかしたら受賞から遠ざかり、つまらない作品ができてしまうかも」というネガティブな自分と折り合いをつけるのに苦労していました。

――メディアワークス文庫と電撃文庫、どちらからリリースするか編集部内で相談があったと聞いています。小川さんとしては、どの年齢層に読んでもらいたい……といった希望はあったのでしょうか?

 前述した通り「自分らしいものを、100%で書く」が目標だったので、書いている時は年齢層やレーベルはあまり意識していませんでした。「できてから考えればいいや!」と……。結果完成したものを見ると、中高生から大人までいろんな方に読んでもらって、感想が聞いてみたい。と思う作品になりました。そういう意味ではメディアワークス文庫から出ることになり、嬉しいです。

――主人公の中崎君をオカルト的な世界へ導く案内役として、精霊の少女・テンコが登場します。キャラクターメイクのコツや彼女が誕生した経緯を教えてください。

 作品におけるテンコさんの役割に合わせて、キャラクターメイクをしていきました。コツは教えてほしいくらいです(笑)。矢羽柄の袴を身に纏っているのですが、理由の半分くらいは僕の趣味です。

――学校の七不思議をテーマにしているとお話かと思ったら、予想外の展開に!? 電撃小説大賞の選考委員の間でも、物語の構成力が高く評価されていましたが、ご自身はどう思われますか?

 昔から構成力が褒められることは、他の要素に比べて多かったとは思います。今回もそういった部分を褒めてもらえて素直に嬉しかったです。ただ作品構成はあくまで道具であって、その先に僕が伝えたかったものが表現できているか、という方が大事なので、そっちの方が気になります。

 なんか大事なこと言ってるようですが、これも人からの受け売りを自分の意見にさせてもらってます(笑)。構成力も別の所も、これから磨いていきたいです。

――ご自身としては本作を通じて、どのような想いが読者のみなさんに伝わればよいと思いますか?

 最終的に読んでくれた方それぞれに感じてもらえたものが正解ですので、読者の方々にお任せしたいです。ただそれがポジティブなものであったら、僕としてはとても嬉しいです。だからといって別に、何も考えず何も込めずに作品を書いたわけではありませんよ(笑)。

――今回の出版にあたり、担当編集の方からどのようなアドバイスをいただきましたか?

 細かい調整の部分で特に色々とアドバイスをいただきました。作品の性質上、そういった細かい調節が一番難しく大切なので、本当に助かりました。

 何よりもこの作品の一番大切な部分をしっかりと尊重したうえでのアドバイスだったのが嬉しかったです。そういった部分以外のアドバイスもたくさんいただき、そのおかげで何倍も作品がよくなりました。本当に感謝です。

――ズバリ!! ご自身が考える本作の魅力はどこでしょうか? 3つほど選んで、その理由も教えてくださるとうれしいです。

 1つ目はよしづきくみち先生に描いていただいた表紙です。読み終わった後にもう一度見ていただくと、また少し違った感じ方ができる部分も含めて、作品の空気感をよく表した、素敵なものを描いていただけました。2つ目はお話の流れです。笑えてドキドキして少しホロリとできるかもしれません。詳しくは言えませんが。3つ目はみなさんが読んで、是非教えてください(笑)。

――突然ですが、ゲームで熱中しているものがあれば教えてください。

 強いてあげるなら『マインクラフト』というパソコンゲームです。根気もセンスもありませんが、ないなりに楽しんでいます。

――今後、電撃小説大賞を目指す方への応援やアドバイスなどお願いいたします。

 まだまだアドバイスを出来る人間ではありません。少なくとも僕は「自分らしいものを、100%で書く」という目標を持ってこの作品を書きました。という報告だけで許してください(汗)。

――お話は変わりますが、小川さんが七不思議的な奇妙な体験をしたことがありますか? また、精霊の少女・テンコが目の前に現れたら、どう対処しますか?

 実は霊的な体験をしたことはありません。怖くて心霊スポットなどには近づけないのです。テンコさんのような幽霊少女が現れてくれたら……、嬉しいような、うっとうしいような……(笑)。

――最後に今後の抱負もふくめ、読者の方へメッセージをお願いいたします。

 今回この作品は電撃小説大賞《金賞》という素晴らしい賞をいただけましたが、この評価はあくまで作品であって僕への評価ではないと思っていますし、先を行く先輩や、尊敬し目標にしている人達と比べたら本当にまだまだなので、調子に乗りたいところをぐっとこらえて、もっと作品を書いて、もし可能ならみなさまのお手元まで届けることができたらいいなと思っています。よろしくお願いします。

 あとできれば『僕が七不思議になったわけ』も是非よろしくお願いします。

データ

▼『僕が七不思議になったわけ』
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:KADOKAWA
■発売日:2014年2月25日
■定価:本体550円+税
 
■『僕が七不思議になったわけ』の購入はこちら
Amazon.co.jp

関連サイト