News

2014年3月25日(火)

『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』家庭用移植記念インタビュー! 新規収録の温泉シナリオは全キャラクターにスポットが!!

文:さやえんどう

 アーケードで稼働中の美少女対戦格闘ゲーム『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』が、5月29日にPS3/PS Vita用ソフトとして発売される。移植を手掛けるのは、前作『アルカナハート3』が好評だったアークシステムワークスだ。

『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』

 『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』は、全23人のキャラクター(聖女)と、全23体のアルカナ(聖霊)との組み合わせによる、無限の戦略を秘めた戦いを楽しめるのが特徴の対戦格闘ゲーム。移植版では新規シナリオの収録をはじめ、アーケード版の新システムや複数のやり込み要素などがふんだんに盛り込まれている。

『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』 『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』
▲アーケード版が待望の移植! もちろんオンライン対戦にも対応している。▲家庭用ならではの要素として、温泉シナリオが追加される。

 この記事では、アーケード版を開発したエクサムのディレクター・林和磨氏と、アークシステムワークスのディレクター・原浩氏へのインタビューを掲載。根強いファンを持ったシリーズ最新作の魅力や、開発エピソードをうかがった。(※インタビュー中は敬称略)

『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』
▲写真左が原浩さん、右が林和磨さん。ヒロイン3人が見守る中でのインタビューとなった。

■『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』はファンの“『アルカナ』愛”から生まれた

――PS3/PS Vitaへの移植の経緯についてお聞かせください。

『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』

林:まずアーケード版の経緯からお話しします。前作『アルカナハート3』が2009年の年末に稼働してからかなり時間が空いてしまっていたのですが、その間にも熱心な『アルカナ』ファンの方々がオンリーイベントなどいろいろなイベントを開いてくださったんです。そういうイベントに「エクサムさんもどうですか?」と呼ばれて、ファンの方々の『アルカナ』熱に触れることができたことが最初のきっかけでした。

 他に、ラインナップが充実してきたNESiCAxLiveで『アルカナハート3』を遊びたいという意見もあったので、そのまま移植するのではなくシステムを追加してカード対応させたバージョンを作ろうということになったのが、アーケード版の『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』でした。なので『LOVE MAX』というタイトル自体に、“『アルカナ』愛が高まってマックス”といったような意味合いが込められているんですよ。『アルカナ』ファンに向けての一作、という感じです。そのころから、「新しい『アルカナハート』の家庭版を出せないか」とアークさんと話していました。

原:PS Vitaの画面がすごく綺麗だったので、これにも格闘ゲームを出せないのかなという話が出ていたんです。それでまず『アルカナハート3』を動かせるのかというテストをやっていく中で、アーケード版は『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』の時代になっていったんですよ。

――最近の格闘ゲームは移植が多く行われていますが、他社さんのタイトルを移植するということは難しくはないのでしょうか?

『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』

原:アークはもともと『アルカナハート3』の移植をやっているので、『アルカナハート3』をベースにしている今回の『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』に関しては順調にできていますね。

――PS Vitaで格闘ゲームの細かい動きを再現するのは難しそうな印象があるのですが、実際に作っていく中で操作のチューニングなど苦労した点はありますか?

原:操作のチューニングに関しては、アーケードと同じものにしなければならないので、逆にあまり意識はしないですね。コントローラよりボタンの数が少ないなどの点は、そういうハードだからこれで行くしかないよねということでやっています(笑)。

■新規書き下ろし&フルボイスの温泉シナリオに期待!

――家庭用ならではの新要素として、目玉になってくる新規シナリオについてお聞かせください。

林:最初にPS Vita版への移植の話があり、そこでファンの方々が喜んでくれるようなシナリオを新規要素として盛り込むという案が出たんです。PS Vitaらしいタッチ操作を何か使えないか考えたところ、温泉の話をやることになりました(笑)。「みんなで温泉に行く話はどうだろう」と固まったところで、さくらいさんにシナリオをお願いしました。

『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』 『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』
▲新規要素は温泉シナリオ。視界が悪くなったらアイコンをこすって、湯気などを払うことができる。

――『アルカナハート』はたくさんのキャラクターにそれぞれ根強いファンが付いているようなイメージを持っているのですが、この温泉シナリオはどの辺りまでカバーしているのでしょうか?

林:全員にしっかり見せ場があります。そこはさくらいさんのポリシーですから(笑)。

――温泉シナリオはどのくらいボリュームがあるのでしょうか?

原:全編に音声が入っているので、声を聞きながら1キャラごとのシナリオを読んでいくと、それなりに時間はかかると思いますよ。詳しく計ってはいないですが、通しでデバッグしようとすると半日潰れますね。

林:ボイスはもちろん新規で録り下ろしになっています。丸々1本別の話がついてくる感じですね。温泉シナリオは完全に独立したものになっていて、純粋に物語を楽しめる形になっています。

原:最初から全キャラクターの全シナリオが読めるわけではなくて、読み進めるとまた違うシナリオが開放されていきます。いろいろなキャラのシナリオが絡まって最後の場所に辿り着く、という形です。

――家庭用というとシナリオの他にもいろいろなモードが選べると思いますが、その中でイチ押しのモードはありますか?

原:トレーニングモードは前作から何カ所か改良を加えています。受け身関連で実際のプレイに近い感覚でトレーニングできるようになったり、体力の設定をいじれるモードを入れたりと、プレイヤーの方々からいただいた意見を参考にして作っています。

――前作『アルカナハート3』に、16:9モードがありましたよね。

林:実は『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』をアーケードで稼働させる時に、画面の比率を16:9にしようか我々も悩んだのですが、やはり画面比を変更するとゲーム性が大きく変わってしまうんです。ですので、これまで遊んできてくれたプレイヤーさんのことを重視して『アルカナハート3』のプレイ感を引き継げるよう、従来の4:3の画面比のままで行くことにしました。

原:家庭用のほうも、アーケードの『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』を遊ぶ! というコンセプトで制作しているので、遊び方を統一させるために16:9モードの搭載は見送りました。スペースにはキャラクターのリンクアニメや、アーケードと同じように戦績が表示されるようになっています。

林:アーケード版にもあった星を獲得するトライアルを入れてもらっているので、その内容も表示されますね。

原:「この対戦相手、トライアル10がゴールドになってるよ!」と驚くことができます(笑)。

――PS Vita同士のオンライン対戦はいかがでしょうか?

原:結構動きますよ。ただ、やはり無線ということで、有線でプレイする据え置き機と比べると、どうしてもラグを感じてしまう瞬間はありますね。あとは当然ですが、プレイする環境にも左右されます。社内の開発室だと他のタイトルも無線を飛ばしているので、その影響もあったり。

――ネットワーク対戦というと、僕の周りで格闘ゲームをやり込んでいるプレイヤーから、『アルカナハート3』のネット対戦はすごいんだという話をよく聞きます。僕も実際にプレイしてラグをほとんど感じなかったので、こんなにクオリティが高くてゲームセンターは大丈夫なのかと、うれしかったり心配してしまったりするんですが……。その辺りは、今回も期待していいのでしょうか?

原:はい。前作『アルカナハート3』のネットワークプログラムをベースとして、その上に『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』で必要なものを乗せ直してチューニングをしているので、前作同様に快適なものになっていると思います。

――あれだけ快適なのには何か秘密があるんですか?

原:僕も以前プログラマーに聞いたことがあるんですけど、「当たり前のことを粛々とやっているだけです」と言われました(笑)。

(一同笑)

原:ちゃんとネット対戦を使って練習できるようになっていないと家庭用移植版の存在意義が1つ減ってしまうような気がするので、そこは大切にしています。

『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』 『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』
▲『アルカナハート3』で好評だったオンライン対戦は、今作でも快適にプレイできるようなので、楽しみにしていよう!

――今回の家庭用移植版の対戦バランスに関しては、現在稼働しているアーケード版とまったく同じと考えていいのでしょうか?

林:そうですね。現在ゲームセンターで動いている最新バージョンと同じものです。

――家庭用の発売は、新しいユーザーに目を向けてもらうチャンスだと思いますが、実際に前作の『アルカナハート3』の時の手応えはいかがだったのでしょうか?

林:アーケード版の『アルカナハート3』が稼働した時点で、前作までとは大きく雰囲気が変わっていたこともあって、『3』から入ってきたプレイヤーさんも結構いらっしゃったんですよ。そこからさらにアークさんに家庭用移植版を出してもらったことによって、また新しくプレイを始める方も多かった感触がありますね。家庭用移植版から始めて、今はゲームセンターで大会に出場しているプレイヤーさんもいらっしゃるようですし。

――あれだけトレーニングモードが充実していると、家で練習ができちゃいますもんね。

林:実は、いわゆるパッド勢の人でもうまい人が居たりするんですよ。すごい動きをしていて、聞くまではパッドで操作しているとわからないくらいです。

――『アルカナハート』は、大会が開催されると非常に多くのプレイヤーが集まるイメージがあるのですが、家庭用移植版のほうで何かプレイヤーが参加できるイベントの企画はあるんでしょうか?

原:まだ発売後のことにまで手が回っていないんですが(笑)。でも、そういうものを何かやりたいなとは思います。

林:3月22日にはアーケード版の“エクサムカップ”の決勝大会があるので、その後に家庭用移植版が発売して、という流れで何か。オンライン大会みたいなものでもいいのかもしれないですけどね。“エクサムカップ”が終わった後も、続けて『アルカナハート』を盛り上げ続けていきたいと思っています。

■“アークシステムワークス”というブランド力

――まず原さんに質問させていただきたいのですが、最近はアークさんのところで家庭版をリリースするメーカーさんが増えてきて、アークさんのところに格闘ゲームが集まってきた印象があります。その辺りについてはどうお考えですか?

原:古くは『ギルティギア ゼクス』の時に画面の解像度をひと回り大きくしましたし、『ブレイブルー』でも他の会社に先んじてグラフィックに力を入れたので、そういうところで一目置いてもらえるのはうれしいですね。

『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』

――林さんから見て、アークシステムワークスさんはどういったイメージを抱かれていますか?

林:格闘ゲームにとどまらず、いろいろなジャンルのゲームを作っていらっしゃるところがすごいと思いますね。格闘ゲームでも『ギルティギア イグザード サイン』では最新の技術を取り入れていて、その意欲はなかなか真似できないなと思います。コンシューマの移植では、ネットワーク関連も含めてとても信頼感があります。ユーザーさんから安心できるメーカーとして受け入れられるのも、なかなか難しいことでしょうし。

原:そういうブランドイメージは壊さないように頑張っていきたいですね(笑)。『ブレイブルー クロノファンタズマ』でオンラインロビーを搭載したように、コミュニケーション面にも踏み込み出しました。『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』では残念ながら実現できなかったのですが、そういった側面も大事にしていきたいですね。

――今後の『アルカナハート』のゲーム以外の展開についてもお聞かせください。

林:昨年はグッズをたくさん出させていただきましたが、今年も引き続きやっていく予定です。特に、抱き枕カバーの企画はまだ進行中なので(笑)。今、折り返しの12人目にきたところです。ただ、“乳順”で作っているせいで、まだはぁとが出ていないんですよね。

『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』 『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』 『アルカナハート3 LOVE MAX!!!!!』
▲『アルカナハートAR抱き枕カバー』は、冴姫、シャルラッハロート、リリカの3人の受注を受付中。気になるキャラがいたら、この機会にぜひ手に入れておこう!

――僕も、はぁととアンジェリアは買おうと思っています(笑)。それでは最後に、この記事を読んでくれている読者の方々にメッセージをお願いします。

原:存分に練習できる環境を用意しましたので、まずはたっぷり遊んでいただければと思います。温泉シナリオでは、ゼニアとリーゼの姉妹の話をぜひ読んでほしいですね。『アルカナハート3』より後の話なので、ゲーム本編をクリアしてから読むとより深みが味わえるようになっています。

林:やはり温泉シナリオは、原作であるさくらいさんに書き下ろしてもらったものなので、ファンの方々にはぜひ楽しんでいただきたいと思います。マニアックな話になりますが、兵藤アナが身体を張ったレポートをしている貴重なイラストもありますので、ファンの方はそちらも必見です(笑)。

 今回もアークさんに移植を担当してもらっていますので、アーケード版からの移植度に関しては安心してもらえればと思います。ネットワーク対戦も快適に遊んでいただけると思います。もともとコンシューマ版を遊んでくれていて、アーケード版はまだプレイしたことがないという方も、今作で腕を磨いて“エクサムカップ”みたいなアーケードの大会に出てもらえるとうれしいです。『アルカナ』ファンは温かい方が多いので、大会に出たりすればすぐに仲よくなれるのではないかと思います。紳士ばかりですからね(笑)。

(C) EXAMU Inc. / ARC SYSTEM WORKS
※画面は開発中のもの。

データ

▼『アルカナハート3 LOVE MAX(ラブマックス)!!!!!』
■メーカー:エクサム/アークシステムワークス
■対応機種:PS3
■ジャンル:FTG
■発売日:2014年5月29日
■価格:6,800円(税抜)
▼『アルカナハート3 LOVE MAX(ラブマックス)!!!!!』
■メーカー:エクサム/アークシステムワークス
■対応機種:PS Vita
■ジャンル:FTG
■発売日:2014年5月29日
■価格:6,800円(税抜)
▼『アルカナハート3 LOVE MAX(ラブマックス)!!!!!』ダウンロード版
■メーカー:エクサム/アークシステムワークス
■対応機種:PS3
■ジャンル:FTG
■発売日:2014年5月29日
■価格:6,800円(税込)
▼『アルカナハート3 LOVE MAX(ラブマックス)!!!!!』ダウンロード版
■メーカー:エクサム/アークシステムワークス
■対応機種:PS Vita
■ジャンル:FTG
■発売日:2014年5月29日
■価格:6,800円(税込)

関連サイト